2月14日から22日までの8日間、アメリカ最大のステージレース、第4回ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)が開催される。今年はランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)の復活でアメリカ国内は大盛り上がり。各チームともツール・ド・フランスと見間違うほどの強力なメンバーで挑む。

山岳、平坦、個人TTの充実したラインナップ

第7ステージ・コースプロフィール第7ステージ・コースプロフィール image:www.amgentourofcalifornia.com第4回目ツアー・オブ・カリフォルニアは、今年も「ゴールデンステート」カリフォルニア州で盛大に開催される。

100年の歴史を有する本場ヨーロッパのクラシックレースと比べると、その歴史の深さは天と地ほどの差。しかしその開催規模は、ヨーロッパレースのそれと遜色無い。いや、それ以上だ。

第8ステージ・コースプロフィール第8ステージ・コースプロフィール image:www.amgentourofcalifornia.com過去3大会は全8ステージ・走行距離1100km前後で開催されていたが、今年は9ステージ・走行距離1260kmにスケールアップ。平坦コースから山岳コース、そして個人タイムトライアル有りの充実したコースレイアウトが実現した。

レースは州都サクラメントでのプロローグで幕が開く。直角カーブが計6つ登場する3.9kmの個人タイムトライアルで、ここを最速で駆け抜けた選手に総合トップの証イエロージャージが与えられる。TTスペシャリストのみならず、超ハイスピードを短時間維持できるスプリンターにも勝機が有る。

レース序盤は平坦ステージがメイン。逃げ切りを狙う選手とスプリンターチームの争いが、連日繰り返されるだろう。世界を代表するスプリンターが集結するだけに、スプリント勝負は超ハイレベルな闘いになる。

総合争いが加熱するのが第6ステージから。ソルバングで行なわれる24kmの個人タイムトライアルが、総合成績にシャッフルをかけるだろう。そして最終2ステージはいずれも山岳コース。第7ステージには標高1495mのミルクリーク・サミットが、最終第8ステージには標高1562mのパロマル・マウンテンが登場する。

最終決戦地となるパロマル・マウンテンは、19kmかけて高低差1280mを登り切る。21のスイッチバックを持つこの登りが、4代目チャンピオンを選び出す。総合争いは最後まで決して気が抜けない闘いになるだろう。


出場メンバーは豪華絢爛、国内外のスターがズラリ

3連覇を目指すリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)3連覇を目指すリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) photo:CorVosカリフォルニアの盛り上がりは、出場メンバーの豪華さにも起因する。出場する17チームのうち、UCIプロツアーチームは実に8チーム。各チームとも、そのままの布陣でツール・ド・フランスに挑んでもおかしくないほど、ベストメンバーを揃えてきた。

過去2大会で連覇を飾ったリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)は、強靭なアスタナチームを引き連れて3連覇に挑む。ライプハイマーは個人TTでリードを広げ、山岳で遅れないオールラウンドな実力の持ち主。今年はランス・アームストロング(アメリカ)というかつてない最強の相棒を得た。

すでにダウンアンダーでレースに復帰しているランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)すでにダウンアンダーでレースに復帰しているランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ) ガン克服後にツール・ド・フランス7連覇を達成したアームストロングは、復帰初戦のツアー・ダウンアンダーを総合29位で完走。これが復帰第2戦目となる。アスタナはホセルイス・ルビエラ(スペイン)やヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)、クリストファー・ホーナー(アメリカ)ら、万全のアシスト体制を備える。

2006年のジロ・デ・イタリア覇者イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、久々のビッグステージレース出場だ。2年間の出場停止処分を終え、再びグランツールの頂点を目指すバッソ。イタリアの期待を背負ってカリフォルニアに降り立つ。

開催国アメリカ期待のクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)開催国アメリカ期待のクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン) photo:CorVos昨年総合3位のクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)は、今年こそライプハイマーを王座から引きずり降ろしたい。2006年大会総合2位のデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ)やトム・ダニエルソン(アメリカ)らも揃っている。

チームコロンビアはジョージ・ヒンカピー(アメリカ)を中心に、マイケル・ロジャース(オーストラリア)やトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)ら、総合力のある選手が揃う。このガーミンとコロンビアの2チームは、アメリカ強豪チームの名にかけて、イエロージャージ獲得を目指す。

久々のビッグステージレースに出場するイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)久々のビッグステージレースに出場するイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:CorVos3年連続新人賞を目指すロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)の前に立ちはだかるのは、難敵アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)だ。サクソバンクは2007年総合2位のイェンス・フォイクト(ドイツ)や、兄フランク・シュレク(ルクセンブルク)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)まで揃えてきた。いずれの選手も総合上位に食い込む実力の持ち主だ。

昨年のツール・ド・フランス覇者カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)も忘れてはならない。イニーゴ・クエスタ(スペイン)とともに、山岳ステージでビッグチームに殴り込みをかける。

フロイド・ランディス(アメリカ)率いるOUCH-Maxxisフロイド・ランディス(アメリカ)率いるOUCH-Maxxis photo:www.teamouch.com多数出場するアメリカのプロコンチネンタル/コンチネンタルチームの中で、タイラー・ハミルトン(アメリカ)所属のロックレーシングは話題に尽きない。フランシスコ・マンセーボ(スペイン)やオスカル・セビリャ(スペイン)、ホセエンリケ・グティエレス(スペイン)など、「諸事情でトップチームを離れた選手」が揃っている。

そしてこの人、フロイド・ランディス(アメリカ)もレースに帰ってくる。2007年ツールで総合優勝に輝いたが、のちに発覚したドーピング違反によってタイトルを奪われたランディス。1月30日に出場停止期間が明けたランディスは、アメリカのOUCH-Maxxisチームで復帰を果たす。


熱いスプリントを繰り広げる猛者たち

カタールですでに2勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)カタールですでに2勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア) photo:CorVos昨年ステージ優勝を飾っているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)昨年ステージ優勝を飾っているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:CorVos総合優勝を争うオールラウンダーだけでなく、カリフォルニアには世界トップクラスのスプリンターも集結する。平坦ステージでは、スプリンターチームがトレインを組む光景が何度も見られるハズだ。

現在最も勢いのあるスプリンターと言えば、23歳のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)だろう。昨年ツールでステージ4勝を飾ったこの怪童は、今シーズンはツアー・オブ・カタールで2勝を飾っている。昨年のカリフォルニアでは第6ステージを先頭でゴールしたが、レース途中にチームカーを風よけに使ったとして降格。今年こそ持ち前の爆発力で勝利を狙う。

昨年ステージ優勝を飾ったトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)は、すでにツアー・オブ・カタールで3度目の総合優勝。その勢いはカリフォルニアでも継続するか。

カリフォルニアの最多優勝記録を持つのはフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)。毎年欠かさずステージ優勝を飾っているアエドは、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)らとともにステージ6勝目を目指す。

他にも元世界チャンピオンのオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)や、新チームに移籍したトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)、ダウンアンダー最終ステージを制したフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)が揃う。これらの選手は、初日のプロローグでも注目したい。