フィニッシュ9km手前の2級山岳で絞り込まれた約60名によるゴールスプリント。開幕2連勝を飾ったルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)が、再びゴール前を支配した。



ピレネー山脈を離れ、カタルーニャ州を南下するピレネー山脈を離れ、カタルーニャ州を南下する photo:Tim de Waele


ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第5ステージボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第5ステージ image:www.voltacatalunya.cat今大会最長218.2kmで行なわれたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第5ステージ。2日間にわたって山岳バトルが繰り広げられたピレネー山脈を後にし、丘陵地帯を一路南下する。コースは平坦基調だが、フィニッシュラインの9km手前に2級山岳リーリャ峠が控えているのが特徴だ。

逃げグループを形成するピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)ら8名逃げグループを形成するピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)ら8名 photo:Tim de Waeleすでに総合で遅れているピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)を含む8名がレース序盤から逃げを試み、メイン集団とピレネー山脈を背にリードを拡大。一方のメイン集団はカチューシャが前半から徹底的にコントロールする。

カチューシャがコントロールするメイン集団カチューシャがコントロールするメイン集団 photo:Tim de Waeleレース後半に差し掛かると、オメガファーマ・クイックステップやランプレ・メリダ、キャノンデールがメイン集団を牽引。諦めずに逃げ続けたブルグハートらは残り27kmで早くも吸収された。

ゴールスプリントで圧勝したルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)ゴールスプリントで圧勝したルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waele2級山岳リーリャ峠(登坂距離6.3km/平均勾配4.8%)の登りに差し掛かると、ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が先陣を切ってアタック。続いてリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)が飛び出して先行する。

今大会3勝目を飾ったルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)今大会3勝目を飾ったルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waeleヴェストラが吸収されると今後はアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がカウンター。総合2位・4秒遅れのコンタドールの動きには、当然リーダージャージのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がすぐに反応した。

総合上位陣によるアタックが落ち着いた隙を突いてヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)が飛び出すと、そのまま単独で2級山岳リーリャ峠の頂上をクリアする。ハイスピードダウンヒルを単独でこなしたフグルサング。しかし後方から追い上げる60名ほどの集団に残り4kmで吸収された。

ジャイアント・シマノやオメガファーマ・クイックステップがメイン集団を率いて、フィニッシュ地点バルスの街に差し掛かる。いくつものテクニカルコーナーを抜けて、最終ストレートでスプリントがスタート。メスゲツの加速が群を抜いていた。

第1ステージと第2ステージに続いて、両手を広げてフィニッシュしたメスゲツ。前日までの山岳ステージをグルペットでこなしたスロベニアンスプリンターが大会3勝目をマークした。

「昨日の寒いステージの影響で、今日は脚が空っぽに感じた。だからこの結果は想定外だ。最後の登りで向かい風が吹いていたことが功を奏したのだと思う。集団内で登りをクリアしてからは、チームメイトが状況をコントロールしてくれた。最後はワレン・バーギルの力を借りて集団の前に上がったんだ。平均年齢の低い今回のチームでしっかりと結果を出せて嬉しいよ」と語るメスゲツは、先輩スプリンターであるジョン・デゲンコルブ(ドイツ)と並ぶ今シーズン4勝目。マルセル・キッテル(ドイツ)のシーズン3勝を上回っている。

別府史之(トレックファクトリーレーシング)は1分36秒遅れの集団でフィニッシュ。チームメイトのロベルト・キセロフスキー(クロアチア)は総合11位から10位に順位を上げることに成功している。

選手コメントはチーム公式サイトより。



ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2014第5ステージ結果
1位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 ポール・マルテンス(ドイツ、ベルキン)
5位 ミシェル・クレダー(オランダ、ワンティ・グループグベルト)
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
7位 アダム・イェーツ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)
9位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 ダヴィデ・ヴィガノ(イタリア、カハルーラル)
107位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
5h16'00"









+1'36"


個人総合成績
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
23h03'34"
+04"
+07"
+10"

+17"
+18"
+26"
+42"
+48"


山岳賞
スタフ・クレメント(オランダ、ベルキン)

スプリント賞
ミヘル・コッホ(ドイツ、キャノンデール)

チーム総合成績
ガーミン・シャープ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele