オランダ在住で二児の母である荻島美香が、オランダで開催されたシクロクロスシリーズのベーゼル大会で初優勝を飾った。荻島選手によるレースレポートをお届けする。

表彰台の中央に立つ荻島美香表彰台の中央に立つ荻島美香 photo:Mika Ogishimaベーゼルはオランダシクロクロスシリーズで初めての場所で、リンベルグでもマーストリヒト北方に位置している。小雨が降っていたがドロドロのマディーなセクションは見当たらなく、30mほどのインナーローを要する上りがいくつも交差し、その後迎える砂場は深く、ほとんど乗ることは出来るが、1か所は20mほどの上りを担がなければならない。

スタート前にデュカスのカットンが壊れかかっているのをいつも私のピットに入るハリーが発見し、予備として持って行っていた泥専用タイヤのリノを使うことにした。リノは泥専用なだけあってグリップは約束されるが、乾いた土壌や砂では確実に重い。そのようなハプニングもあったが、コーナーでのグリップは約束されているので気落ちせずにスタートラインに立った。

ランキング上位に入っている私は2番目にコールされ、ちょうど真ん中からスタートする事となった。後ろの子が私の横に並びたいと申し出たが、狭い道に前列5人並ぶのが1番トラブルのないスタートが切れると思ったので、譲ることはなかった。

元来ならスタートの悪い私だが、今日は違っていた。それでも8番手くらいから第1コーナーに入り、次のコーナー後には4番手に上がってすでに4人の先頭集団となっていた。

一気に4人もパスしたせいで体が動かなくなり離れかけたが、前の3人もスピードが上がらなかったので休む事が出来た。いつアタックを仕掛けようか計っていた時に先頭2人が落車した。これはチャンスだと思ったのだが、2人で完璧に道をふさいでしまって決め手にはならず、4人のまま進んだ。

2番手につけていた私は、いつ行こうかとタイミングを計っていたところ、砂地を自転車で担いで駆け上がった後の上りで先頭が遅く感じたので、一気に抜き去り休まず踏み続けて下りに入るまで我慢した。誰も後ろにいる気配を感じなかったので、駆け引きすることなく自分の走りに集中して残り3周を独走態勢とした。

最大25秒のアドバンテージを取るものの、疲れからか細かいミスを連発し始め、最終周に入る頃には17秒まで詰められていたが、ミスをしなければ追いつかれることはないと確信して走っていたので、落ち着いてゴールを目指した。

簡単でないコースで勝てたことは、私にとってすごい自信に繋がる1勝となった。

text&photo:荻島美香