フジが誇る2種類のレーシングバイク、軽量クライミングマシン「SL」とエアロロード「TRANSONIC」。ブエルタ・ア・エスパーニャ出場のカハルラルが使用する両モデルの最上位グレードに、シンプルな新デザイン「AVANTGARDE」が登場した。



「クールの誕生」をコンセプトに開発されたAVANTGARDEデザイン「クールの誕生」をコンセプトに開発されたAVANTGARDEデザイン (c)アキボウコンセプトは「クールの誕生」。日本で古来から受け継がれる「粋」の精神をエッセンスとしたフジの新たなデザインパターンが「AVANTGARDE(アヴァンギャルド)」だ。フジのファンから、同ブランドの日本総代理店であるアキボウに寄せられた「もっとシンプルなグラフィックのレーシングバイクが欲しい」という声を受けて誕生したもので、国内のみで展開される。

富士山を模したフジのブランドロゴを思わせるトライアングル柄のグラフィックがフォークブレードとのチェーンステーの内側に配され、各所に小さなバイクネームなどが記される点を除き、塗装は全て省略。これにより、レーシングバイク本来の洗練されたフォルムを更に引き立たせることに成功した。流行に左右されないミニマルデサインは、永く乗り続けても飽きづらく、バーテープやタイヤを変えることで、その時の気分に合わせたルックスにカラーコーディネートすることができる。

2017年モデルでは、軽量クライミングマシン「SL ELITE」とエアロロード「TRANSONIC ELITE(トランソニック)」という2種類のハイエンドモデルで「AVANTGARDE」デザインが用意される。下記には両モデルのアウトラインを紹介していこう。



フジ TRANSONIC ELITE(Avantgarde Black)フジ TRANSONIC ELITE(Avantgarde Black)
「TRANSONIC ELITE」は、音速領域に突入する瞬間という英単語を冠したエアロロード。トラックバイク「TRACK ELITE」やTTバイク「NORCOM STRAIGHT」を開発する際に繰り返し行った風洞実験からのフィードバックを投入することで、優れた空力性能を実現した1台だ。

トップチューブ以外の全てのチューブに、翼断面形状を採用。前後のダイレクトマウントブレーキやフォークショルダー周りのインテグレーテッド設計、臼式のシートクランプ、シートチューブのカットオフなどと合わせて、空気の乱れを徹底的に抑制している。

翼断面形状のチューブを用いて空気抵抗の低減を追求したリアトライアングル翼断面形状のチューブを用いて空気抵抗の低減を追求したリアトライアングル 緩やかにベンドしたダウンチューブ緩やかにベンドしたダウンチューブ エアロ形状のフロントフォーク。ブレードの内側にはトライアングル柄のグラフィックがあしらわれるエアロ形状のフロントフォーク。ブレードの内側にはトライアングル柄のグラフィックがあしらわれる

チェーンステーの内側にもトライアングル柄のグラフィックがチェーンステーの内側にもトライアングル柄のグラフィックが トップチューブにはブランド名とバイクネームが記される(ダウンチューブのグラフィックは市販品と一部異なる)トップチューブにはブランド名とバイクネームが記される(ダウンチューブのグラフィックは市販品と一部異なる)


同時に、プロチームとの共同開発によって「TRANSONIC ELITE」ではエアロロードが抱える欠点の解消を目指した。トラックバイクにも採用される耐久性重視の「C10」カーボンを採用や、大口径チューブやアシンメトリックチェーンステー、PF30規格の採用によって高剛性化を図り、各チューブ接合部の鋭角側のRを大きくとることで縦横の剛性バランスを最適化。トップチューブを扁平形状とし、ダウンチューブやシートステーにはベンドを与えることで、衝撃吸収性を高めている。

ジオメトリーは理想のトレイル値を実現するためにヘッドチューブアングルとフォークオフセットを細かく調整しており、安定感を重視しつつも俊敏さを兼ね備えたハンドリング特性を実現。扱いやすさに配慮したことも特徴の1つで、制動力に優れるダイレクトマウントブレーキに対応し、フロントディレーラー付近にはチェーンウォッチャーを標準装備した。

フジ SL ELITE(Avantgarde Black)フジ SL ELITE(Avantgarde Black)
「SL ELITE」は、激闘となった2011年のブエルタ・ア・エスパーニャでファンホセ・コーボ(スペイン)の個人総合優勝に貢献した「ALTAMIRA」の後継にあたるクライミングマシン。「Worth The Weight」を開発コンセプトに、さらなる軽さを追い求め生まれた1台だ。

SLの軽さに最も大きく貢献しているのが、「High Compaction Molding」というフジ独自のカーボン成型法だ。これは、応力集中を引き起こす各チューブの接続部のシワやヒダ、そして重量増の原因となる余分なレジンを徹底的に取り除き、同時にカーボンの積層を強力に圧縮して滑らかに仕上げるテクノロジーのこと。ALTAMIRAでもこの製法は採用されていたものの、さらにSLではシートチューブやフォーククラウンに適用している。

極薄のシートステーは、板バネの様にしなり衝撃を和らげてくれる極薄のシートステーは、板バネの様にしなり衝撃を和らげてくれる ねじれ剛性を高めた8角形断面のダウンチューブねじれ剛性を高めた8角形断面のダウンチューブ 緩やかなベンドを持つフロントフォーク緩やかなベンドを持つフロントフォーク


さらに、SLは前三角と左右のシート+チェーンステーという3パーツのみとし、最後に焼き固めて成型する前段階のジョイント部をALTAMIRAの8箇所から4箇所へと低減。より素材の性質を引き出すことを可能に。この他にもケーブルストッパーなどのスモールパーツに軽量素材を採用するなど、徹底的に無駄を削ぎ落とすことで、軽量化を追求。結果フレーム単体としてはブランド史上最軽量の695gを実現した。

一方で、プロユースにも耐えうる剛性を兼ね備えるSL。より高張力なカーボンを使用するためにダウンチューブを従来の円断面から8角形断面へと変更し、BBにはPF30規格を採用することで軽量化と同時にパワー伝達効率を向上。フロントフォークのブレード内にはリブを設けており、2種類のフォークオフセットと3種類のヘッドアングルの組み合わせによるトレイル値の最適化と合わせて、安定感に優れながらもシャープなハンドリングフィールを手に入れた。

ヘッドチューブには、富士山を模したブランドロゴがそびえるヘッドチューブには、富士山を模したブランドロゴがそびえる トップチューブに記されたバイクネームトップチューブに記されたバイクネーム

PF30規格のボリューミーなBB。軽量モデルながら、優れたパワー変換効率を兼ね備えるPF30規格のボリューミーなBB。軽量モデルながら、優れたパワー変換効率を兼ね備える チェーンステーの内側にはトライアングル柄のグラフィックがあしらわれるチェーンステーの内側にはトライアングル柄のグラフィックがあしらわれる


もちろん快適性やトラクション性能にも配慮されており、ALTAMIRAから板バネの様にしなる極薄のシートステーを踏襲する。加えてフレームサイズごとに調整されるチューブ径やレイヤリングによって過剛性を防止。軽量高剛性フレームにありがちなピーキーな乗り味を抑え、急勾配の登りから荒れた路面の下りまで幅広いシチュエーションをカバーするオールラウンドな走行性能を実現するに至った。なお、クランク周りにはチェーン落ちによる破損を防ぐためのプロテクターが標準装備となっている。

サイズは両モデル共に46cm、49cm、52cm、54cm、56cmの5種類をラインアップ。販売はフレームセットにて行われる。デリバリー開始は10月からを予定しており、現在フジ取り扱いディーラーにて予約受け付け中。予約したユーザーの中から先着30名限定でオリジナルサイクルキャップ&Tシャツをプレゼントするキャンペーンを実施中だ。



フジ TRANSONIC ELITE(フレームセット)
フレーム素材:C10 ultra high-modulus carbon
BBシェル:PF30
フォーク:FC-330 carbon monocoque w/ tapered carbon steerer
ヘッドセット:FSA 1-1/8"upper, 1-1/2" lower, integrated w/ carbon top cap
シートポスト:Transonic aero carbon, 300mm(46-52cm), 350mm(54-61cm)
サイズ:46cm、49cm、52cm、54cm、56cm
カラー:Avantgarde Black
価 格:240,000円(税抜)

フジ SL ELITE(フレームセット)
フレーム素材:C15 ultra high-modulus carbon
BBシェル:PF30
フォーク:FC-330 carbon monocoque w/ tapered carbon steerer & carbon dropout
ヘッドセット:FSA Super Lite, 1 1/8” upper - 1 1/2” lower, integrated w/ carbon top cover
サイズ:46cm、49cm、52cm、54cm、56cm
カラー:Avantgarde Black、Matte Carbon/Gold
価 格:250,000円(税別)

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