ベルギー、フランドル地方に居を構えるレーシングバイクブランド、リドレーより、軽量オールラウンダー「HELIUM X」をインプレッション。プロ選手に愛用される上級モデルの血を色濃く受け継ぐミドルグレードの実力を問うた。



リドレー HELIUM Xリドレー HELIUM X photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
1990年に設立された塗装会社を起源に、今やベルギーを代表するバイクブランドとなったリドレー。2005年にはダヴィタモン・ロット(現ロット・ソウダル)に機材サポートを開始し、現在に続くまでビッグレースにおいてリドレーバイクの姿を見かけないことはないほどの確固たる地位を築いている。

そんなリドレーは現在、使用用途に分けて3種類のラインアップを揃える。同社のお膝元ベルギーで行われるロンド・ファン・フラーンデレンやパリ~ルーベといった過酷な石畳レースを走り抜くためのエンデュランスバイク「FENIX」。平坦のコースで先頭を力強く牽引し、スプリントで勝利するためのエアロバイク「NOAH」。そして、グランツールの厳しい山岳を軽快に登るための軽量オールラウンドバイク「HELIUM」である。

HELIUMシリーズ伝統とも言える快適性の要である細身のシートステーHELIUMシリーズ伝統とも言える快適性の要である細身のシートステー トップチューブ上には等高線を模したデザインが施されるトップチューブ上には等高線を模したデザインが施される フロントフォークはストレートフォークを採用しハンドリング性能を向上フロントフォークはストレートフォークを採用しハンドリング性能を向上


この中から今回紹介するのは、軽量オールラウンダーである「HELIUM」シリーズのセカンドグレードに位置付けられる「HELIUM X」だ。2017年モデルとしてデビューし、ハイエンドモデルである「HELIUM SLX」のテクノロジーを受け継ぎつつカーボングレードを落とすことで、軽量かつコストパフォーマンスに優れた1台に仕上げられた、現在リドレーイチオシのニューモデルだ。

フレーム形状は 「HELIUM SLX」とほぼ同一としながらも、素材を30T、24Tのハイモジュラスカーボンに変更。弾性率の異なる2つのカーボンをバランス良く適材適所に配置することで、重量の増加を抑えつつ剛性を確保した。フロントトライアングルもボリュームアップがなされ、軽量バイクながらパワーを十分に受け止める剛性を獲得している。

ボリュームアップにより剛性を確保したフロントトライアングル ボリュームアップにより剛性を確保したフロントトライアングル  上側1-1/8、下側1-1/4とした上下異径ヘッドチューブによってヘッド剛性を強化上側1-1/8、下側1-1/4とした上下異径ヘッドチューブによってヘッド剛性を強化

ロット・ソウダルチームのロゴが入るロット・ソウダルチームのロゴが入る ダウンチューブには石畳でテストしたことを示すステッカーが貼られるダウンチューブには石畳でテストしたことを示すステッカーが貼られる


リア三角はHELIUMシリーズのアイデンティティでもある細身のシートステーを継承しており、しなやかさによる高い振動吸収性を確保。もちろん他のリドレーバイク同様、石畳でのテストによる耐久性は実証済みだ。チェーンステーはドライブ側にボリュームを持たせた左右非対称設計としているほか、BBはプレスフィット30を採用しパワー伝達性を高めている。

ケーブル類のワイヤリングは従来モデルより改善されていることが特徴。ハンドリングに影響の無いようルーティングが見直されるとともに、ブレーキケーブルも内装に変更され、すっきりとしたルックスに進化した。フロントフォークは反応性に優れたストレートフォークで、レースに対応するシャープなハンドリングを追求。上側1-1/8、下側1-1/4とした上下異径ヘッドチューブの高い剛性も相まって、優れたコーナリング性能を発揮してくれるはずだ。

シートチューブには使用されたカーボンの種類を示すステッカーが貼られるシートチューブには使用されたカーボンの種類を示すステッカーが貼られる BB規格はPF30となるが、試乗車にはアダプターを介しJISのBBが組み付けられるBB規格はPF30となるが、試乗車にはアダプターを介しJISのBBが組み付けられる


リアエンドもカーボンモノコック成形であり軽量化を実現。クライミングバイクとして気になるフレーム重量は900g(Mサイズ)となっており、フォーク重量の350gと合計して1250gと、ミドルグレードとしては軽量な仕上がりを見せている。販売はフレームセットで行われ、価格は268,000円(税抜)と比較的買い求めやすい価格に抑えられている。

カラーは地図の等高線をトップチューブにデザインした2016年ロット・ソウダルチームカラーと、黒をメインにチームカラーである深い赤色が随所に入るシックなデザインの2017年ロット・ソウダルチームカラーの2種類だ。サイズはXXS、XS、S、Mの4種類展開。

シートチューブから細く伸びるシートステーにリドレーのロゴが入るシートチューブから細く伸びるシートステーにリドレーのロゴが入る ダウンチューブには大きくリドレーのロゴが配されるダウンチューブには大きくリドレーのロゴが配される ワイヤー類は全て内装されるためすっきりとした印象にワイヤー類は全て内装されるためすっきりとした印象に


軽量山岳バイクとしてリドレーラインアップの一角を担う「HELIUN X」。コストパフォーマンスも高く実用性の高いバイクを2人のインプレライダーはどう評価するのか。今回テストしたバイクはコンポーネントにシマノ アルテグラを、ホイールにファストフォワードのF4Rを装備し、オーソドックスなアッセンブルにまとめた仕様だ。それではインプレッションに移ろう。



ー インプレッション

「軽量バイクながら快適性が高く乗りやすい仕上がり」山崎嘉貴(ブレアサイクリング)

軽量バイクというと一般的に高剛性でビギナーにとっては扱いづらいフレームが多くなりがちですが、このバイクはコンフォートで跳ねる感じが少ないため、快適性が高く乗りやすく出来ていますね。もちろん重量も軽いので、登りも軽くこなすことができ、オールラウンドに楽しめるバイクだと感じました。ヒルクライムに特化した雰囲気のバイクではないですね。

「軽量バイクながら快適性が高く乗りやすい仕上がり」山崎嘉貴(ブレアサイクリング)「軽量バイクながら快適性が高く乗りやすい仕上がり」山崎嘉貴(ブレアサイクリング)
フレームは全体にエラストマーが入っているかのように縦方向にしなる感覚があり、フロントフォークが路面から受けた衝撃を後ろに流すように吸収していきます。乗っていて嫌な部分がなく、とても快適性が高いフレームですね。リアバックに柔軟性があるので、路面追従性も非常に高いと言えるでしょう。

一般的なハイエンド軽量バイクはギアを軽めにし、短い出力でリズムよく漕がないと足が疲労してしまいますが、このバイクは重めのギアでグイッと力をかけるとパワーを一瞬溜めて、はじき出すように出力し進んでいくんです。反動がリニアに脚へと戻ってくるわけではないので、前述したようなハイエンドバイクと比べても疲労は少ないと感じました。

今回のインプレバイクにはF4Rが装着されていましたが、バイクの低重心を助けるため横風に煽られてふらつくこともなく、相性は非常に良かったです。フレーム自体の衝撃吸収性が高く快適性が高いため、高剛性のカーボンホイールを普段使いできるほどだと感じます。先ほどからソフトと言い続けているものの、極端な柔らかさで力が逃げることもなく、全体的な剛性バランスにも優れています。総合的に見れば弱点がないフレームと感じますし、特に日本人のサイズ感にはぴったりだと思います。

HELIUMというと、リドレーのラインアップの中でもクライミングバイクとしての流れを汲む血統ですが、とてもオールラウンドなロードレース用のバイクに仕上がっています。快適性と反応性のバランスが高いので、ロードレースだけでなく、ロングライドや山岳グランフォンドまでこなす万能さを感じます。

シチュエーション問わず、疲れを感じることなく走破できる性格は、他のバイクよりもアドバンテージでしょう。一般的な社会人の方々に広くオススメできる1台です。

「登りが得意なオールラウンドバイク」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)

同時にテストした「FENIX」と比べると重量が軽く登りが得意。軽量バイクにも関わらず、石畳での走行試験も行っているためか振動吸収性もしっかりしています。ロングライドや峠越えのツーリングなども快適にこなせる快適性を持ち合わせた、オールラウンドな仕上がりが特徴だと感じました。

「登りが得意なオールラウンドバイク」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)「登りが得意なオールラウンドバイク」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s) ハイエンドモデルに比べてカーボンのグレードを下げているためか、剛性が高すぎることはなく、一般のホビーレーサーにベストな踏み心地だと思います。もちろん脚残りも良いため、長時間のレースでも脚がダメージを受けずらく、少しでも集団で粘れたり、勝負所を待つことができるはずだと思いますね。

FENIXのようにフレーム全体のしなりが効いているため、振動吸収性が高く快適です。特に細身のシートステーが効いてるのか、リアバックを中心に柔軟性が生まれているように感じます。荒れた道を走っても疲労を最小限に抑えて走ることができますね。

踏み味に関して言えば、ハイケイデンスでも、トルクをかけた踏み込みでも、どの踏み方でもスイスイと進んでくれます。ライダーに踏み方を限定させない懐の深さがありますね。フレームにはしなり感がありますが、BB周りの剛性が確保されているためパワー伝達効率が高く感じます。そのため、漕ぎ出しが軽く、ゼロ発進や、高速域からの加速でもフレームが即時に反応してくれます。レース中にアタックがかかった場面でも対応できる、レーシングフレームとしての性格もしっかり感じました。

ハンドリングはフロントフォークが軽く柔軟性があるためか、少しマイルドな印象を受けました。ブレーキングに関しても、高速域から一気に急制動していくとフロントフォークが若干ぶれる感覚がありますが、どちらもレースユースとして全く問題ないレベルだと思います。

価格的にはセカンドグレードですが、他社のトップグレード並みのポテンシャルを持っているため、コストパフォーマンスは非常に高いですね。ヒルクライムに特化したバイクが欲しくて1gでも削りたいという方はハイエンドモデルでもっと軽量な物があるかもしれませんが、一般のホビーレーサーでロングライドやグランフォンドなども含めて幅広く使いたい方には、とてもオススメの一台です。

リドレー HELIUM Xリドレー HELIUM X photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
リドレー HELIUM X フレームセット
素材:30T、24Tハイモデュラスカーボン
BB規格:PF30(68×46)
シートポスト径:27.2mm
サイズ:XXS(410)、XS(440)、S(470)、M(500)
フレーム重量:900g(Mサイズ)
カラー:HELX02As(2016年ロット・ソウダルチームカラー)、HELX06As(2017年ロット・ソウダルチームカラー)
価格:268,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

山崎嘉貴(ブレアサイクリング)山崎嘉貴(ブレアサイクリング) 山崎嘉貴(ブレアサイクリング)

長野県飯田市にあるブレアサイクリング店主。ブリヂストンアンカーのサテライトチームに所属したのち、渡仏。自転車競技の本場であるフランスでのレース活動経験を生かして、南信州の地で自転車の楽しさを伝えている。サイクルスポーツ誌主催の最速店長選手権の初代優勝者でもあり、走れる店長として高い認知度を誇っている。オリジナルサイクルジャージ”GRIDE”の企画販売も手掛けており、オンラインストアで全国から注文が可能だ。

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遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)遠藤健太(サイクルワークス Fin’s) 遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)

新潟県長岡市に店舗を構えるサイクルワークス Fin’sの店長。学生時代にBMXから始まり、MTBやロードバイクまで幅広く自転車を楽しむ、バリバリの走れる系店長。スポーツバイク歴は18年にもなり、2012年には全日本選手権ロードに出場した経験も。お店は完璧なメカニックサービスを提供するべく、クオリティの高い整備が評判だ。ショップ主催のサイクリングやレース活動に積極的で、初めての人から実業団レースで活躍したい人まで手厚いサポートを心がける。

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ウェア協力:GRIDE

text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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