2018/08/19(日) - 18:03
好評連載中のツールプロバイク第11弾は、バーレーン・メリダのバイクたちにフォーカス。注目はチームリーダーを務めたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)のバイク。軽量カスタムが施されたREACTOや、機械式コンポーネントを使ったパヴェ用マシンを紹介します。
好調のままレースを進めていたものの、ファンのカメラに引っかかる落車によってDNFとなってしまったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)。"メッシーナの鮫"は今ツールに向けて、カスタムチューンされたREACTO TEAMをメインバイクとして持ち込んだ。
過去にジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャを全て制したことを表すカラーリングが施されたこのREACTOは、山岳勝負を踏まえできる限りの軽量化が施されていたことが特徴だ。例えばクイックリリースは軽量チタン製に取り替えられ、ボトルケージは1つ15gのエリート・Leggeroに、さらにフレームのクリア塗装を省略することで、エアロフレームながら6.89kg(SRMのモニター無し)という軽さに行き着いている。
また、サドルはサプライヤーのプロロゴではなく、フィジークのAntares 00。表皮を張り替えるカムフラージュをしているが、これはニバリのカスタムとして定番の品。アルミステム(OS 99)とカーボンハンドル(K-FORCE)という組み合わせもプロ選手らしい堅実なものだ。
パヴェステージでは春先のフランドルクラシックでテストしていたものから、更に微変更を行ったバイクを投入した。REACTOから軽量オールラウンダーのSCULTURA TEAMに乗り換え、堅実性を求めてコンポーネントを機械式(R9100系デュラエース)に、ボトルケージは樹脂製の製品に変更。なおこの際、フロントディレイラーとチェーンリングは旧型の9000系を使用していた。ロンド・ファン・フラーンデレンでは更にタイヤクリアランスを確保するためのエントリグレードのブレーキキャリパーやパヴェレースでお馴染みのCiussi GELボトルケージを装備していたが、今回のツールでその2箇所は通常仕様となっていた。
また、パヴェステージではスペア(第3)バイクとして、昨シーズン使われていたブルー/レッドのマシンも準備されていた。
TTバイクはフレーム各部のボリュームが増し、フロントブレーキキャリパーがフォーク内蔵化された新型のWARP TTが供給されている。チームカーのルーフ上に用意されたサブバイクは先ごろまで使われていた旧型WARP TT。スペアバイクはタイトなケーブルルーティングで渋くなるレバー/キャリパーの戻りを補完する目的か、キャリパーにバネを仕込む工夫が見てとれた。
TTバイクで目を引いたのが、メンバー全員が使った一切のブランドネームが取り払われたフロント用ディープリムホイール。ブレーキトラックに細かい溝を設けて制動力を強める「AC3」のステッカーが存在することからも分かる通り、この製品の正体はカンパニョーロのBORA WTO 77。コンチネンタルのGRANDPRIX TTを取り付け、チューブレス運用することでさらなる速さを狙っていた模様。後輪のディクスホイールはプロ供給専用品のPODIUM TT PRO LTD(チューブラー)、通常ステージではALX表記のあるCOMPETITION PRO LTD(25mm)、パヴェステージではRBX表記の28mmモデルとコンチネンタルの各種製品を使い分けていた。
また、チームタイムトライアル用に準備されたWARP TTのチェーンリングはTAの58-44T。なおロードバイクにはSRMのオリジナルカーボンクランクで統一されていたものの、WARP TTに用いられたいたクランクはアルミ製と思われる、市販品には存在しない細身の製品。昨年のロードバイクに取り付けられていた姿が確認できるため、お下がりとしてTTバイクに移されたものと思われる。
ハンドルはヴィジョンのMETRON 5Dを使う選手が多いが、例えばソニー・コロブレッリ(イタリア)のバイクには上ハンドルが一直線形状となった新型「6D」が取りつけられていた。5月のツアー・オブ・ジャパンでも目撃されていた製品で、バーレーン・メリダには優先して投入されているのだろう。
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
好調のままレースを進めていたものの、ファンのカメラに引っかかる落車によってDNFとなってしまったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)。"メッシーナの鮫"は今ツールに向けて、カスタムチューンされたREACTO TEAMをメインバイクとして持ち込んだ。
過去にジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャを全て制したことを表すカラーリングが施されたこのREACTOは、山岳勝負を踏まえできる限りの軽量化が施されていたことが特徴だ。例えばクイックリリースは軽量チタン製に取り替えられ、ボトルケージは1つ15gのエリート・Leggeroに、さらにフレームのクリア塗装を省略することで、エアロフレームながら6.89kg(SRMのモニター無し)という軽さに行き着いている。
また、サドルはサプライヤーのプロロゴではなく、フィジークのAntares 00。表皮を張り替えるカムフラージュをしているが、これはニバリのカスタムとして定番の品。アルミステム(OS 99)とカーボンハンドル(K-FORCE)という組み合わせもプロ選手らしい堅実なものだ。
パヴェステージでは春先のフランドルクラシックでテストしていたものから、更に微変更を行ったバイクを投入した。REACTOから軽量オールラウンダーのSCULTURA TEAMに乗り換え、堅実性を求めてコンポーネントを機械式(R9100系デュラエース)に、ボトルケージは樹脂製の製品に変更。なおこの際、フロントディレイラーとチェーンリングは旧型の9000系を使用していた。ロンド・ファン・フラーンデレンでは更にタイヤクリアランスを確保するためのエントリグレードのブレーキキャリパーやパヴェレースでお馴染みのCiussi GELボトルケージを装備していたが、今回のツールでその2箇所は通常仕様となっていた。
また、パヴェステージではスペア(第3)バイクとして、昨シーズン使われていたブルー/レッドのマシンも準備されていた。
TTバイクはフレーム各部のボリュームが増し、フロントブレーキキャリパーがフォーク内蔵化された新型のWARP TTが供給されている。チームカーのルーフ上に用意されたサブバイクは先ごろまで使われていた旧型WARP TT。スペアバイクはタイトなケーブルルーティングで渋くなるレバー/キャリパーの戻りを補完する目的か、キャリパーにバネを仕込む工夫が見てとれた。
TTバイクで目を引いたのが、メンバー全員が使った一切のブランドネームが取り払われたフロント用ディープリムホイール。ブレーキトラックに細かい溝を設けて制動力を強める「AC3」のステッカーが存在することからも分かる通り、この製品の正体はカンパニョーロのBORA WTO 77。コンチネンタルのGRANDPRIX TTを取り付け、チューブレス運用することでさらなる速さを狙っていた模様。後輪のディクスホイールはプロ供給専用品のPODIUM TT PRO LTD(チューブラー)、通常ステージではALX表記のあるCOMPETITION PRO LTD(25mm)、パヴェステージではRBX表記の28mmモデルとコンチネンタルの各種製品を使い分けていた。
また、チームタイムトライアル用に準備されたWARP TTのチェーンリングはTAの58-44T。なおロードバイクにはSRMのオリジナルカーボンクランクで統一されていたものの、WARP TTに用いられたいたクランクはアルミ製と思われる、市販品には存在しない細身の製品。昨年のロードバイクに取り付けられていた姿が確認できるため、お下がりとしてTTバイクに移されたものと思われる。
ハンドルはヴィジョンのMETRON 5Dを使う選手が多いが、例えばソニー・コロブレッリ(イタリア)のバイクには上ハンドルが一直線形状となった新型「6D」が取りつけられていた。5月のツアー・オブ・ジャパンでも目撃されていた製品で、バーレーン・メリダには優先して投入されているのだろう。
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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