3月30日、ベルギーでKBCデパンヌ3日間レース(UCI2.HC)が開幕した。ワンディクラシックさながらの難コースが設定された3日間のステージレースの初日、第1ステージは、小集団でのスプリント勝負でストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)が優勝を飾った。

スプリントでパオリーニやガスパロットを下したストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)スプリントでパオリーニやガスパロットを下したストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor VosKBCデパンヌ3日間レース(正式名称KBC Driedaagse De Panne - Koksijde)は、ベルギー・フランドル地方を舞台にした3日間のステージレース。メジャークラシックに登場する急坂をいくつも越えるクラシックコースさながらのコースが設定されており、週末に迫ったロンド・ファン・フラーンデレンに向けてフランドル地方はクラシック熱を上げて行く。

開催期間は3日間だが、最終日に2ステージ(ロードレースと個人TT)が行なわれるため、ステージ数は4つ。最終個人タイムトライアルで総合成績が大きく変動する可能性が高い。

スプリント勝利を飾ったストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)スプリント勝利を飾ったストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos初日の第1ステージは、北海沿いのミッデルケルケから86kmかけて内陸部のオーデナールデに向かい、そこから急坂を含む56kmの周回コースを2周する。クルイスベルグやレベルグなど、クラシックでお馴染みの急坂が12カ所設定された本格派だ。

レースは序盤からアタックが繰り返されたが、大きなリードを得る逃げグループが生まれないまま進行。後半の周回コースに入ると、ようやくフローリス・フーシンニン(オランダ、スキル・シマノ)を含む10名が抜け出した。

山岳賞ジャージを獲得したフローリス・フーシンニン(オランダ、スキル・シマノ)山岳賞ジャージを獲得したフローリス・フーシンニン(オランダ、スキル・シマノ) photo:Cor Vosレースが慌ただしさを増したのは、ゴールまで33kmを残した石畳のバルケンベルグ。集団からダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)らがアタックを成功させて先頭グループに合流し、19名がメイン集団から逃げる展開。

やがてゴール16km手前のクルイスベルグで先頭グループは崩壊。積極的に動いたフレデリック・アモリソン(ベルギー、ランドバウクレジット)にミラー(ガーミン・トランジションズ)やパオリーニ(アックア・エ・サポーネ)、ガスパロット(アスタナ)、オス(リクイガス)、シェネル(Bboxブイグテレコム)、ヴェストラ(ヴァカンソレイユ)が追いついて先頭は7名に。

リーダージャージに袖を通したストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)リーダージャージに袖を通したストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vos最後まで後続グループは追いつかず、勝負は7名によるゴールスプリントに持ち込まれた。スプリントで先行したのはオスで、後方からシェネル、パオリーニ、ガスパロットが追い上げる。しかし有利な勝負になると予想されたパオリーニとガスパロットは伸びず、抜群のスプリントを見せたシェネルが先頭でゴールに飛び込んだ。

シェネルはこれまでシクロクロスライダーとして成績を収めて来た選手で、昨年からプロツアーチームのBboxブイグテレコムで走る26歳。悪路を走り抜くテクニックとパワーを活かし、前週のドワーズ・ドア・フラーンデレンでは4位に入っている。「北のクラシック」で注目のフランス人選手だ。

「今日はレース序盤から積極的に動いたんだ。最初は日曜日(ロンド)に向けてのトレーニング的な意味合いが強かったけど、徐々に脚が回って来た。過度な喜びは禁物だけど、本当にこれは素晴らしい勝利だよ」。これまでプロレースで数勝を飾っているシェネルだが、HC(超級)の勝利は初。キャリア最大の勝利を飾ると同時に、リーダージャージを手にした。

この日はステージ8位以下が45秒も遅れたため、実質的に総合争いはステージの上位7名に絞られたと言っていいだろう。ステージ優勝を飾ったシェネルは昨年の大会で総合9位。総合成績にも期待が集まるが、本人は冷静に状況を読んでいる。「僕はTTスペシャリストじゃないから総合優勝は狙えない。総合争いはミラーが有利だろうね」。その言葉通り、ステージ7位のミラーが総合優勝に向けて最高のスタートを切った。

KBCデパンヌ3日間レース2010第1ステージ結果
1位 ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)      4h34'28"
2位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
3位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
4位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
5位 フレデリック・アモリソン(ベルギー、ランドバウクレジット)
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ)
7位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)    +03"
8位 ニコ・エークホウト(ベルギー、アンポスト・ショーンケリー)     +45"
9位 ヨハン・クーネン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
10位 マルコ・バンディエラ(イタリア、カチューシャ)

個人総合成績
1位 ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)      4h34'18"
2位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)       +04"
3位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)           +06"
4位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ)         +07"
5位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)               +10"
6位 フレデリック・アモリソン(ベルギー、ランドバウクレジット)
7位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)    +13"
8位 ニコ・エークホウト(ベルギー、アンポスト・ショーンケリー)     +55"
9位 ヨハン・クーネン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
10位 マルコ・バンディエラ(イタリア、カチューシャ)

ポイント賞
ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)

山岳賞
フローリス・フーシンニン(オランダ、スキル・シマノ)

チーム総合成績
リクイガス

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos