3月31日、冷たい雨と風が吹くフランドル地方でKBCデパンヌ3日間レース(UCI2.HC)の第2ステージが行なわれ、逃げ切った4名によるゴールスプリントを制したセバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)が優勝。ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が総合首位に立った。

雨の中を逃げ続けるグリブコ、テュルゴー、ジルベール、モーリス雨の中を逃げ続けるグリブコ、テュルゴー、ジルベール、モーリス photo:Cor Vos第2ステージは内陸部のゾッテヘムから北海沿いのコクスアイデまでの214kmで行なわれる予定だったが、雨と風の厳しい気象条件を考慮して、主催者は終盤の周回コースの周回数を削減。全長188kmで行なわれた。

先週末のヘント〜ウェベルヘムで登場したばかりのケンメルベルグとモンテベルグが設定されているが、この日選手たちを苦しめたのは北海から吹き付けた冷たい風だ。多くの選手が途中リタイアを喫するサバイバルレースが繰り広げられた。

積極的に逃げグループを牽くアンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)積極的に逃げグループを牽くアンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) photo:Cor Vos序盤から飛び出したのはフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やダニー・ペイト(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)を含む12名。この大きな逃げグループは、徐々に人数を減らしながら、最大10分のリードを得て逃げ続けた。

メイン集団も人数を減らしながら進行し、横風区間でリーダージャージを着るストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)が脱落してしまう。やがて集団はスピードを上げ、後半にかけて逃げグループとのタイム差を詰めた。

4名でのスプリント勝負を制したセバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)4名でのスプリント勝負を制したセバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム) photo:Cor Vosゴール地点コクスアイデの周回コースに入る頃には、先頭はジルベール、テュルゴー、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、イェンス・モーリス(オランダ、ヴァカンソレイユ)の4名に。懸命に逃げグループを牽いたのは、総合13位につけていたグリブコ。後続グループの追撃は届かず、最後は4名によるゴールスプリント勝負に持ち込まれた。

スプリントで力を余していたのは、リーダージャージを着るチームメイトを集団内に残していたことで逃げグループの先頭交代を免れていたテュルゴー。結果的にBboxブイグテレコムはリーダージャージを失ったが、ステージ2連勝で面目を保った。

総合リーダージャージに袖を通したルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)総合リーダージャージに袖を通したルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) photo:Cor Vos「リーダージャージのシェネルが集団内にいたから、今日は逃げグループ内で力をずっと温存出来た。自分自身の調子も良かったんだ。チームの快進撃をこうして継続することが出来て良かったよ」。テュルゴーは今シーズン初勝利。Bboxブイグテレコムはクリテリウム・アンテルナシオナルでピエリック・フェドリゴ(フランス)が総合優勝に輝くなど、好調の波に乗っている。チームとしては今シーズン8勝目だ。

横風区間で集団から脱落したリーダージャージのシェネルは7分近く遅れてフィニッシュ。代わって、41秒遅れの後続グループ内でゴールしたルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が総合首位に立った。

積極的に逃げグループを牽いたグリブコは、タイム差0秒でリーダージャージに手が届かず。しかし、これまでウクライナのTTチャンピオンに4回輝いているグリブコは、総合優勝に向けて好ポジションにつけていると言っていいだろう。最大のライバルと目されるデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)は、12秒差の総合4位につけている。

選手コメントはチーム公式サイトより。


KBCデパンヌ3日間レース2010第2ステージ結果
1位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)     4h55'07"
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
3位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
4位 イェンス・モーリス(オランダ、ヴァカンソレイユ)
5位 ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)             +41"
6位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
7位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ)
8位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、チームHTC・コロンビア)
9位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
10位 ジェームス・ヴァンラントシュート(ベルギー、ベランダス・ヴィレムス)

個人総合成績
1位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)     9h30'10"
2位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
3位 フレデリック・アモリソン(ベルギー、ランドバウクレジット)      +09"
4位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)     +12"
5位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)    +1'30"
6位 イェンス・モーリス(オランダ、ヴァカンソレイユ)          +1'37"
7位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ)            +2'15"
8位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
9位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、リクイガス)         +2'18"
10位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、チームHTC・コロンビア)+2'21"

ポイント賞
ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)

山岳賞
フローリス・フーシンニン(オランダ、スキル・シマノ)

チーム総合成績
ヴァカンソレイユ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos