2010年4月4日、フランスで開催されたプランタン・ブル(Printemps Bleu de la Sainte Marie la Mer)で、エキップアサダ強化選手(エカーズ)の木下智裕が優勝を飾った。同じエカーズの涌本正樹は5位、福田高志は18位。

プランタン・ブルは地中海沿いの平坦な2.2kmコースを40周するレース。以下はcyclismejaponに掲載された木下智裕によるレースレポート(抜粋)。

左端が涌本正樹、中央の白袖が木下智裕左端が涌本正樹、中央の白袖が木下智裕 photo:cyclismejapon残り15周に入るときには後続との差は完全に開き、ようやくこの中での戦いになると確信する。ここからは落ち着いて余裕のありそうな選手を探す。大体マークすべき選手は4人、頭に入れた。先々週のレースの優勝者もその一人。何人かこのグループから脱落する選手が出るものの、ペースを維持したまま残り6周まで進む。

残り5周半、一人の選手がアタック。20秒ほどの差を維持しながら逃げつづける。トップグループは牽制気味。嫌なムードになっているので引きますよ!と先頭を長く引く。同調してくれた選手も引いてくれて、残り2周で完全に吸収。

積極的にレースを展開する木下智裕積極的にレースを展開する木下智裕 photo:cyclismejaponひとまず安心。だが吸収したと同時にカウンターアタックが掛からないように、何人かでペースを維持する。小さいアタックは掛かるが集団のペースが落ちない為、そこまで差が広がらない。自分としては、スプリントに持ち込めば絶対に勝てる自信があったので、脚を使ってもペースを維持し、アタックが決まらないよう、致命的な差にならないように注意した。

ラスト1周の鐘を聞く。ゴール地点の風向きを最終確認。進行方向に対して左前方から強風が吹いている。道幅も広いし、右に空いたスペースをよく見て勝負かければ余裕で勝てる。勝ったらどんなガッツポーズしようかなと一瞬思う。新城幸也選手がTOJの東京ステージ勝ったときのアレでいこう!と思うが、勝ってから考えよう。イカンイカンと思って集中しなおす。

表彰を受けるEQADSの木下智裕表彰を受けるEQADSの木下智裕 photo:cyclismejapon残り1キロ。一人アタック、涌本選手も反応。なにくそと思って集団を引き連れて追走。最後のコーナーを抜けて、残り400mで吸収し、集団はひとつになる、この時点で自分は3番手。スプリントする為には集団の位置が前すぎると思い、慎重に3人を前に入れる。

先行した選手の右から抜けば勝てる。右にはいつでも出られるように下ハン持ち、指は変速レバーに掛けて待機。残り250mからスプリントが始まる。右から2人先行する。瞬時にそれを追った選手の右斜め後ろに入る。

前の選手は風を全身に受けながらスプリントしているが、まだ踏まない。ゴール前150m、先行した選手の右後ろから、最大出力で加速する。100メートルから先頭に出て後は加速し続けていく。

そして勝った。嬉しくて派手にガッツポーズした。

まず一勝目。 今日は確実に自分が思うようにレースを動かせたと思う。これはこれでひとつ自信にして、さらにレベルの高いレースで勝利数を増やせるよう、調子云々ではなく、常に高いレベルの練習を日々積み重ねたい。


text&photo:cyclismejapon