2010年4月22日、ジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.1)第3ステージが比較的難易度の低い山岳コースで行なわれ、ゴール25km手前の上りでアタックを成功させたアレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)が独走勝利。新城幸也(Bboxブイグテレコム)はステージ20位だった。

スタート直後に始まった1級山岳ロッレ峠の頂上付近スタート直後に始まった1級山岳ロッレ峠の頂上付近 photo:Cor Vosこの日は、前日のゴール地点である1級山岳を再び上り、サンマルティーノ・ディ・カストロッツァを通過して更に標高1984mの1級山岳ロッレ峠に向かう。残りは短い上りが数カ所登場するだけの“トレンティーノの中では難易度の低い”山岳ステージ。集団スプリントが予想された。

レースは序盤の1級山岳ロッレ峠で動いた。平均勾配6%のこの上りで飛び出したのは、前日に大きく遅れて総合争いから脱落したステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)ら10名。

平坦なレヴィコ湖沿いをゴールに向かう平坦なレヴィコ湖沿いをゴールに向かう photo:Cor Vosヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス)やエマヌエーレ・セッラ(イタリア、カルミオオーロ・NGC)を含むこの強力な逃げグループは、メイン集団とのタイム差を広げつつ、雪の積もるロッレ峠頂上を通過した。

しかしリーダージャージ擁するアスタナを中心とした集団コントロールによって、タイム差は3分以上に広がらず。結局ガルゼッリらの逃げグループは、ゴール28km手前から始まるヴィゴロ・ヴァッタロの上り(カテゴリー無し)で吸収された。

後ろを振り返りながらゴールするアレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)後ろを振り返りながらゴールするアレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) photo:www.girodeltrentino.com逃げを吸収した集団は再び活性化し、このヴィゴロ・ヴァッタロでアレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)、ヨハン・チョップ(スイス、Bboxブイグテレコム)、エゴール・シリン(ロシア、カチューシャ)の3名がアタックを成功させる。

メイン集団では、ヴィゴロ・ヴァッタロでステージ優勝候補のアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)が脱落。先頭では、下り区間でチョップとシリンを引き離したベルトリーニが独走を開始した。

集団を振り切ってゴールに飛び込むアレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)集団を振り切ってゴールに飛び込むアレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) photo:Cor Vosベルトリーニ独走。チョップとシリンを飲み込んだメイン集団には、ペタッキが追いついて本格的な追撃開始。ラスト10kmでタイム差40秒。ラスト3kmでタイム差30秒。トレント市内の平坦コースを逃げ続けるベルトリーニは、14秒のリードを保ったままラスト1kmのアーチを通過した。

トレントの歓声に包まれる中、ベルトリーニが逃げ切った。後方からスプリント体勢で迫り来る大集団を振り切って、ベルトリーニが独走のままゴール。僅か2秒届かなかったメイン集団は、下馬評通りペタッキを先頭にゴールした。

トレントにゴールしたジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)を迎える家族 左に新城幸也(Bboxブイグテレコム)トレントにゴールしたジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)を迎える家族 左に新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:www.girodeltrentino.com「この喜びは言葉では表現出来ない!キャリアの最後に地元で優勝を飾るなんて最高だ。(2年前に)ジロ・デ・イタリアでステージ優勝も達成したし、これ以上の結果は無いよ」。ベルトリーニはこの日のゴール地点トレントから僅か20km南に位置するロヴェレート出身。1971年生まれの38歳が、地元で渾身の独走勝利を飾った。

メイン集団は73名でゴール。新城幸也はステージ20位で第3ステージを終えた。総合上位陣も集団内でゴールしたため総合成績に変動は無く、アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)が総合リーダージャージを守っている。

ジロ・デル・トレンティーノは翌第4ステージで千秋楽を迎える。最終ステージは1級山岳アルペ・ディ・パンペアーゴ(標高1757m・平均勾配10.1%)にゴールする難関山岳コースだ。

スタート地点はジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)がプロ初勝利を挙げた場所。そして、ゴール地点のパンペアーゴは、2003年のジロでシモーニがマリアローザを着てステージ優勝を飾り、2度目の総合優勝を決定づけた難関山岳。ジロを前に、激しい山岳バトルが繰り広げられることになりそうだ。

レース展開や選手コメントはレース公式サイトより。

ジロ・デル・トレンティーノ2010第3ステージ結果
1位 アレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) 4h02'04"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)               +02"
3位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)
4位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
5位 サイモン・クラーク(オーストラリア、ISD・ネーリ)
6位 ミカイロ・カリロフ(ウクライナ、カチューシャ)
7位 ダニエーレ・ラット(イタリア、カルミオオーロ・NGC)
8位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)
9位 サイモン・ゲスク(ドイツ、スキル・シマノ)
10位 クシシュトフ・シュザヴィンスキ(ポーランド、ミケ)
20位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)

個人総合成績
1位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)       9h05'06"
2位 リカルド・リッコ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)          +26"
3位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)     +29"
4位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)                +37"
5位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)         +38"
6位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、カチューシャ)              +55"
7位 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル)      +1'06"
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、リクイガス)          +1'07"
9位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア、アックア・エ・サポーネ) +1'10"
10位 トマシュ・ノゼ(スロベニア、アドリア・モビル)           +1'12"
82位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)                +20'38"

新人賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)

チーム総合成績
アンドローニ・ジョカトーリ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.girodeltrentino.com