UCI(国際自転車競技連合)は8月17日、ツール・ド・フランス期間中にナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)の検体からUCIが禁止する鎮静剤トラマドールを検出したと発表。総合6位を含む同選手のツール成績を剥奪した。



ツール・ド・フランスを総合6位で終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)ツール・ド・フランスを総合6位で終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) photo:CorVos
ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)の検体から2度に渡り検出されたのは、オピオイド系の鎮痛剤の1つであるトラマドール、及びその2つの主要代謝物。7月8日(第7ステージ)と13日(第11ステージ)の検体から検出されたトラマドールは、WADA(世界アンチドーピング機構)が定める禁止薬物には該当しないものの、その副作用からUCIが2019年より禁止している物質だ。

これによりUCIはキンタナの総合6位を含む2022年ツール・ド・フランスにおける全成績を剥奪。しかし、あくまでもトラマドールはUCI規則に基づく違反である(ドーピング違反ではない)ことに加え、キンタナにとって今回が初犯であることから競技資格の剥奪には至らないと発表した。

この発表を受けてキンタナは自身のSNSを通して声明を発表。「UCIによるニュースに驚いている。この物質については知らず、またキャリアを通して使用したことはない。弁護団と共にあらゆる手を尽くして弁護の準備をする」とコメント。また総合エースとして出場を予定している8月19日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャについては「ブエルタには出場し、チームと母国、そしてファンのために全力を尽くす」と出場する意思を伝えた。

この処分が下される前日に、アルケア・サムシックとの3年の契約延長(2025年まで)が発表されたキンタナ。今回のUCIによる処分に対しては、10日以内にスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てをすることが可能だ。

text:Sotaro.Arakawa