パリ市のバックアップを得て大手スポンサー獲得を目論んでいたB&Bホテルズ KTMが、所属選手に他チームとの移籍交渉を許可したことがわかった。同チームはプロチームのライセンス申請を延長したものの、新スポンサーが見つからないでいた。



2年連続でツール・ド・フランスに出場したB&Bホテルズ KTM)2年連続でツール・ド・フランスに出場したB&Bホテルズ KTM) photo:Makoto AYANO
B&Bホテルズ KTMのジェローム・ピノーGMが選手たちに他チームとの移籍交渉を認める通達を送ったのは12月2日のこと。これによりチーム加入の合意をしていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)はもちろん、2023年以降の契約が残るピエール・ロランやアレクシー・グジャール(共にフランス)の今後も不透明となった。

本来であれば10月15日までとされたプロチームのライセンス申請を延長したB&Bは、次なる締切である11月30日まで新しいスポンサーを獲得することはできなかった。ピノー氏はチームの存続を目指すと語っているものの、2022年のチーム予算である500〜700万ユーロ(約7〜10億円)の確保も難しい状況であるとフランスメディアでは報じられている。

B&Bホテルズ KTMは2018年創設したフランス・ブルターニュを本拠地とするプロチーム。ブライアン・コカール(フランス、現コフィディス)を中心に2021年には念願のツール・ド・フランスに初出場し、フランク・ボナムール(フランス)が見事総合敢闘賞に輝く活躍を見せた。

ベテランとなり”逃げ屋”としてのライディングスタイルが確立したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)ベテランとなり”逃げ屋”としてのライディングスタイルが確立したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) photo:CorVos
パリ市のバックアップを得て更なるビックスポンサー獲得を目論んでいたB&Bは、カヴェンディッシュ中心のチームにすべくリードアウト役としてラモン・シンケルダム(オランダ)やマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、UAEチームエミレーツ)らの獲得を目指していた。

しかし、ピノー氏がアプローチしたと言われるスーパーマーケットチェーン「カルフール」やアマゾン・フランスら5社からの返答はなく、加入確実とされていたシンケルダムはアルペシン・ドゥクーニンクのチーム合宿に参加する姿が確認されている。

またB&Bは来季女子チーム創設も計画しており、その中心選手として今年フランス国内選手権でロードと個人タイムトライアルの2冠を達成したオードリー・コードンラゴ(フランス、トレック・セガフレード)の獲得を予定していた。だがこの計画も消滅がほぼ確実となったことで、コードンラゴも来年以降の所属チームが不透明となった。

text:Sotaro.Arakawa

最新ニュース(全ジャンル)