1月21日(土)、埼玉県にある国営武蔵丘陵森林公園で、浅田顕氏が代表を務めるシクリズムジャポンが主催する「ロードバイク集団走行安全講習会」が開催された。大学生を中心に130名以上が参加した講習会の模様をレポート。あわせて、浅田氏にこの講習会の狙いや今後について話を聞いた。



130名以上が参加したロードバイク集団走行安全講習会 photo:Satoru Kato

シクリスムジャポンが主催するロードバイク集団走行安全講習会は、先日発表された選手育成プロジェクト「ロード・トゥ・ラヴニール(RTA)」の一環として、U23以下の選手を対象として参加者募集が行われた。今回は日本学生自転車競技連盟(学連)も加わることになり、130名超の参加者を集めての講習会となった。

今回の講習では、公園北側のサイクリングコースを使用した photo:Satoru Kato
浅田顕氏自ら図を見せて説明する photo:Satoru Kato


会場は埼玉県滑川町にある国営武蔵丘陵森林公園。2011年にJプロツアーのタイムトライアル大会が開催されたこともある、公園北側の1周約5kmのサイクリングコースを使用して行われた。丘陵地帯のゆるやかなアップダウンが繰り返され、車1台分ほどのコース幅でカーブが連続するコースは、タイムトライアル開催時も難コースと評されたほど。サイクリングコースとしてはハードな部類だ。

そんなところで集団走行練習?と思われるかもしれないが、今回の講習では実際のレース同様な状況を再現する狙いがある。

並走しながら隣との間隔を詰める練習 photo:Satoru Kato

カーブも並走したまま自分のラインを保持 photo:Satoru Kato

講習は段階的に人数を増やしていく方式。最初は2人並走で肩をぶつけ合いながら走行。それを4名、6名とグループの人数を増やし、先頭交代しながら並列走行をする。講習後半では前走者の間に前輪を差し込んでの走行。最後はコース幅いっぱいの4名並走の間に後ろの3名が前輪を差し込み、その後ろから4名、さらにその後ろに3名が続いて互い違いに重なる集団走行が実践される。

徐々に内容が高度になっていく photo:Satoru Kato

最後は実際のレース同様に間隔が詰まった集団走行となる photo:Satoru Kato

各段階で2周ずつ走行。時間の都合で1周に短縮された段階もあったものの、走行距離は合計70〜80kmに及ぶ。途中の休憩が無いため、募集要項では補給食の携帯が推奨されていた。最初は雑談まじりに走っていた参加者も、周回を重ねるほど脚にくるコースに会話も減り、中には集団からちぎれる参加者も出るほどだった。



RTAの一環としての集団走行講習会と聞いて「?」と思われる方もいるだろう。浅田氏によれば、欧州遠征に連れて行った選手が集団走行を出来ず、スタート前のローリングで終わったことがあったという。今回の講習の目的は、密集度の高い集団内でも安全に走行できるための基礎的な技能を身につける点にある。

課題の説明の中で浅田氏は「視界を広く、周りを見るように」と、しきりに注意を促していた。トップ選手が集団の前方と後方を行き来していることがあるが、視野を広くしているからこそ出来ることだ。

一方、学連は昨年のインカレロードでの事故以降、レース開催を取りやめて安全講習に時間をかけ、今月末からのレース再開に向けて登録する全学生に実地と座学の受講を必須としている。今回の講習会はそのひとつとされ、関東圏の大学生を中心に120名以上が参加した。

浅田顕氏「基礎的な技術をおろそかにしてる選手は少なくない」

シクリズムジャポンの浅田顕代表 photo:Satoru Kato

「今回の講習内容はナショナルチームの冬季の準備合宿でU23向けに毎回やっていて、ジュニアカテゴリーでもやっていた定番のメニューです。今回学連さんからの要望があったのでお手伝いができればと思い、RTAでは学連のタイムトライアル大会で協力して頂くので、我々も出来ることで協力したいと考え、実現しました。

普段から「ぶつかり稽古」をしておくことも落車予防になる photo:Satoru Kato
今回は学連さんの義務講習とされていました。本来ならこういう講習を必要と思う人達に受けてもらうのが一番良いのですが、大学生や高校生など、こういう基礎的な技術をおろそかにしている選手も少なくないので、義務にしてしまうのもひとつの手かなと思っています。

一般向けの講習はナショナルチームの活動が忙しかったのでなかなか出来ていませんでしたが、今回使わせていただいた武蔵丘陵森林公園さんにも好意的に受け入れて頂けたので、今後原点に還ってやっていきたいと思っています。

可能なら隔月くらいのペースで今回のような講習会を出来れば良いなと考えています。特にユース向けの集団走行練習が気軽に出来るように、毎月・毎週の決まった曜日と時間で始めるような、定期的に出来るのが理想です。ただ会場の問題もあるので、森林公園の方とも今後の方針を話し合っているところです。

今回の内容はU15、U17向けの内容でもあるので、若い層にもっと広めていけるようにしたいですね」



text&photo:Satoru Kato

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