ティレーノ〜アドリアティコは2日目は強豪スプリンターによるスプリント決着。ヨーロッパ王者のファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)が勝利し、プロ通算40勝目を飾った。



これが復帰2戦目となるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)による圧巻のTT勝利で幕を明けたティレーノ〜アドリアティコは2日目。コースは前日の発着地点であるカマイオーレをスタートし、ティレニア海沿岸を南に下りフォッローニカに至る210kmの平坦コースだ。

集団スプリントが濃厚なこの日に逃げたのは、ローランド・テールマン(スイス、チューダー・プロサイクリングチーム)に加え、チーム・コラテックとエオーロ・コメタが2名ずつを送りこんだ計5名。しかし集団スプリントに持ち込みたいディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)を擁するジェイコ・アルウラーとファビオ・ヤコブセン(オランダ)のスーダル・クイックステップが中心となりプロトンを牽引したため、タイム差が4分以上に拡がることはなかった。

チーム・コラテックとエオーロ・コメタが1名づつを送り込んだ5名による逃げ集団 photo:CorVos

この日はジェイコ・アルウラーとスーダル・クイックステップが中心となりプロトンをコントロール photo:CorVos

逃げグループではステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)が3級山岳をトップ通過して山岳賞ジャージを獲得する。そしてジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が集団先頭で牽引したプロトンは、残り20km地点で逃げ集団を吸収。そして大方の予想通り、強豪スプリンターたちによるスピードバトルが幕開けた。

クイックステップやアンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、そして今季初勝利を狙うアルペシン・ドゥクーニンクがトレインをぶつけ合いながら最終ストレートに突入。するとマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)がリードアウトを終え、集団先頭のスピードが一瞬緩んだ隙を突いてフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)が加速した。

残り300mからの加速に3車身のリードを得たガビリアだったが、ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が追いつき、その背後についていたヤコブセンが飛び出し横並びに。最後はヤコブセンとフィリプセン、ガビリアの3人がハンドルを投げてフィニッシュラインを通過。直後にヤコブセンの勝利が告げられた。

ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)とヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)がハンドルを投げる photo:CorVos

アラフィリップと勝利の喜びを分かち合うファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

「調子の良さは感じており、更にチームからの信頼がモチベーションと勝利への欲望を引き上げてくれた。チャンスさえあれば自分のスピードを披露できると分かっており、素晴らしいリードアウトによる教科書どおりのスプリントとなった。両親が観戦に来てくれるなかで掴んだ勝利は特別だ」とプロ通算40勝目を飾ったヤコブセンはそう喜んだ。

翌日のティレーノ〜アドリアティコ第3ステージは、レース序盤に距離12.5km/平均4.2%と中盤に距離5.3km/平均4.5%の登りが設定された丘陵ステージ。しかしフィニッシュまで約100kmは平坦路が続くため、再び集団スプリントが予想される。

今季2勝目を飾ったファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ティレーノ〜アドリアティコ2023第2ステージ結果
1位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) 5:06:33
2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)
4位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
5位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
6位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
7位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
8位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
9位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
個人総合成績
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 5:19:01
2位 ナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +0:28
3位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:31
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:34
5位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +0:39
6位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:41
7位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)
8位 カスパー・ピーダスン(デンマーク、スーダル・クイックステップ) +0:47
9位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:48
10位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)
その他の特別賞
ポイント賞 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
山岳賞 ステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)
ヤングライダー賞 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos