ティレーノ〜アドリアティコ3日目は2連続でスプリント決着。ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が制し、ワールドチームに昇格したアルペシン・ドゥクーニンクに今シーズン初勝利をもたらした。



ティレニア海に面したフォッローニカを出発したティレーノ〜アドリアティコ3日目 photo:Tirreno-Adriatico

ティレニア海からイタリア半島を横断してアドリア海を目指すため「コルサ・デイ・ドゥエ・マーリ(二つの海のレース)」とも呼ばれるティレーノ〜アドリアティコ。その3日目は序盤に距離12.5km/平均4.2%の登りを越え、中盤にも距離5.3km/平均4.5%の丘が設定された丘陵ステージ。逃げ切りの可能性もあるレイアウトだが、前日に続きトップスプリンターの争いとなった。

リーダージャージを纏うフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)を先頭にフォッローニカの街を発ち、アクチュアルスタートが切られる同時にダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)と兄マッティアがアタック。それをプロトンから飛び出したチーム・コラテックが追う展開でレースは進行した。

最大6分40秒のリードを得たバイス兄弟は、この日2つあるカテゴリー山岳を弟のダヴィデがトップ通過。その約2分後方で追走するステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)から山岳賞ジャージを奪い取ることに成功した。

前日に勝利を挙げたファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

終盤に横風分断が発生したプロトン photo:Tirreno-Adriatico

コラテックの2人を捉えたプロトンは、フィニッシュまで70kmを残してバイス兄弟を吸収。このまま集団スプリントまで距離を消化していくと思いきや、ユンボ・ヴィスマが速度を上げたプロトンを横風が襲った。

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の強力な牽引もあり、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)やサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)など有力な総合勢を含む20名の先頭グループが形成される。一方、後続集団はファビオ・ヤコブセン(オランダ)が遅れたためスーダル・クイックステップが中心となり追走。そしてジュリアン・アラフィリップ(フランス)の尽力もあり、追走集団は残り4kmで先頭に合流を果たした。

連続するコーナーによって集団が引き伸ばされ、どのチームも人数を揃えられないなかヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)を背後に従えたマチュー・ファンデルプール(オランダ)が先頭へ。残り100mでファンデルプールが役割を終え、絶好の位置からスプリントを開始したフィリプセン。背後についたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)に並ぶことすら許さず、フィリップセンが代わりにガッツポーズするファンデルプールに見送られながら先頭でフィニッシュラインを通過した。

ファンデルプールから絶好のリードアウトを受けたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

チームに初勝利をもたらしたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

フィリプセンと勝利を分かち合うマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Tirreno-Adriatico
 
「勝利はどんな時でも気持ちがいいもの。特にチームメイトが尽力してくれた中での勝利は格別だ。チームメイトのジャンニ・フェルメールスが今朝のミーティングで残り10kmから横風に注意するよう伝えてくれた。ユンボの牽引は強力だったものの、何とかガンナに食らいついた。最後はマチューが素晴らしいリードアウトをしてくれたおかげで、ロングスプリントから勝利を掴むことができた」とフィリプセンはレースを振り返った。

今年ワールドチームに昇格したアルペシンにとって、これが2023年シーズンでようやくとなる勝利。「シーズン序盤はチームとして予想通りに進まなかった。だがまだ始まったばかりなので慌ててはいけない」とフィリプセンは語っている。

翌日の第4ステージはグレッチョを出発してアドリア海に至る、今大会最長距離の218km。レース終盤は最大19%の区間が登場するトルトレート(距離4.4km/平均4.5%)を4度越えるタフなステージだ。

表彰台で勝利を喜ぶヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Tirreno-Adriatico

リーダージャージを守ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:Tirreno-Adriatico

ティレーノ〜アドリアティコ2023第3ステージ結果
1位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) 5:19:08
2位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
4位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリングチーム)
5位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
6位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
7位 エドワルト・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
8位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
9位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)
10位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
個人総合成績
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 10:38:09
2位 ナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +0:28
3位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:31
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:34
5位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +0:39
6位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:41
7位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)
8位 カスパー・ピーダスン(デンマーク、スーダル・クイックステップ) +0:47
9位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:48
10位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)
その他の特別賞
ポイント賞 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
山岳賞 ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)
ヤングライダー賞 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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