「レースの3日前、ファンデルプールが”クーテンベルグで仕掛けるべき”と教えてくれた」と、独走勝利の内幕を明かしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。ピドコックを引き離し、驚きの2位入賞を果たしたヒーリーなどアムステルゴールドレースを終えた選手たちの言葉を紹介します。



優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

独走勝利を決めたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

信じられない勝利だ。まさかあれほど早い段階で先頭グループが形成されるとは思っていなかった。先頭集団ではパンクに見舞われ、(理想とする勝ちパターンである)独走勝利を疑った。しかし何とかペダルを踏み込み、思い描く形でフィニッシュラインに到着することができた。

パンク後もチームカーがなかなか来なかったので長い時間そのまま走らなければならなかった。しかし幸運にも登りの麓でバイク交換することができた。その間はさすがにナーバスになったよ。早い段階で僕が先頭集団に入り、プロトンではヒルシとトレンティンが控える理想的な展開だった。

アムステルゴールドビールを飲むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

―レース前に「登りの名前さえ分かっていない」というコメントをしていた。だが、仕掛ける目星ぐらいはつけていたか?

ああ。マチュー・ファンデルプールが「クーテンベルグでアタックするべきだ」と教えてくれたんだ。「登坂の中でも最も厳しく、君の脚質に合っているだろう」ってね。

―それはいつのこと?

レースの3日前だ。彼がメッセージで教えてくれたんだ。もちろん僕は彼に感謝を伝えたよ。

次はこれまで成績を残すことができていないラ・フレーシュ・ワロンヌだ。でもいまのコンディションは最高だし、良いチームがいるから良い走りができるだろう。

2位 ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)

2位に入ったベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

世界最高の選手に敗れての2位だ。だから今日は良い日だったと言えるだろう。UAEは序盤から厳しいレース展開に持ち込み、逃げにリードを与えなかった。だから僕の目標は、先頭から30〜40位の位置を守ることだった。

集団の人数が徐々に減っていくなか、残り100km地点の登りで逃げ集団が早くも捕まり、先頭集団が形成された。プロトンにはニールソン・パウレスが控えていたこともあり、僕は集団牽引に加わらない選択ができた。そしてレース展開が厳しくなるにつれ、先頭から選手が脱落していった。結果的に最後まで残った僕が強かったということだ。

3位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 

表彰台に挙がったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)  photo:CorVos

力を出し尽くした。ここまで長いレース距離に苦しんでいた。今日はマシな方だったものの、最後の20kmがとても長く感じた。先頭集団に入り、登りで加速したのは身体を暖めるため。ポガチャルによる飛び出しに対し、僕ができることはなかった。今日は調子が良かったものの、最後の最後で力が足りなかった。ただそれだけだ。

5位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン)

追走実らず、5位に沈んだアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

48時間前にジロ・デ・シチリアのクイーンステージを制した僕にとって5位は悪くない結果だ。長時間に渡る移動と、たった4時間の睡眠しかとれていないのだからね。

最近のビックレースは残り80〜90kmから終盤が始まる。だから有力選手の動きに反応し、ポガチャルやピドコックの集団に入ることができた。それほど力を使わずに集団に入ることができ、重要なのは同じ集団に居続けることだった。自分のサイクルコンピュータに表示される数値を見ても、自分が悪くない走りをしていることがわかった。それぐらいいまのポガチャルは圧倒的なんだ。

6位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)

不振に喘ぐチームに勝利を届けることができなかったアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

先頭集団にいたのにもかかわらず6位という結果に対し、満足と失望が半分半分だ。更に上の順位を争える自信はあったものの、行き場を塞がれる形で先頭3名から遅れてしまった。でも脚の状態は良く、この調子のままラ・フレーシュ・ワロンヌに向かいたい。

15位 ティシュ・ベノート (ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

レース後半は終始追走を強いられたティシュ・ベノート (ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

最良の日ではなかった。登りで先頭集団が形成された時、僕は40番手ぐらいの位置にいた。だが道は狭く、その動きに追従することはできなかった。他のチームと協力して追走したものの届かなかった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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