急ぎ足でピレネー山脈から中央山塊を駆け抜けた2023年ツール・ド・フランスは、1度目の休息日を経てフランス中央部で再始動。フランス独立記念日に登場する超級山岳グラン・コロンビエールや、今大会最後の山頂フィニッシュである第15ステージに注目だ。



7月11日(火)第10ステージ
ビュルカニア〜イソワール 167.2km(丘陵)


第10ステージ ビュルカニア〜イソワール 167.2km image:A.S.O.

7月11日(火)ビュルカニア〜イソワール image:A.S.O.
クレルモン・フェランで第1週目の疲れを癒やした選手たちは、レース主催者も”逃げ向き”と太鼓判を押す丘陵ステージに臨む。167.2kmと比較的短いコースは3級山岳の登坂から始まり、直後に3級山岳と逃げを目指したアタックを誘発する。その後もカテゴリーのつかない1,000m超えの登りをこなしながら、59.9km地点でようやく中間スプリントがやってくる。

レース中盤からも2級、3級と”逃げ屋"にとって好ましい丘が連続し、最後は3級山岳シャペル・マルクス(距離6.5km/平均5.6%)の頂上から少し登り、27kmのダウンヒル+平坦路の先にフィニッシュ地点が待っている。

総合成績が動くような難易度ではないものの、休息日明け特有の”思わぬ失速”に苦しむ選手も出てくるかもしれない。注目はマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)やマグナス・コルト(デンマーク)。またトーマス・デヘントの代役を託されたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)やサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)らベテランたちも狙ってくるはず。

フィニッシュ予定時刻:午前0時31分頃(日本時刻)



7月12日(水)第11ステージ
クレルモン・フェラン〜ムーラン 179.8km(平坦)


第11ステージ クレルモン・フェラン〜ムーラン 179.8km image:A.S.O.

7月12日(水)クレルモン・フェラン〜ムーラン image:A.S.O.
中央山塊を耐えたピュアスプリンターたちにとって、5日ぶりの出番がやってきた。そしてここを逃せば第18ステージまで平坦ステージがやってこないため、是が非でも獲っておきたい勝利となる。

この日のスタート地点は7月23日(日)より行われるツール・ド・フランス・ファムの開幕地クレルモン・フェラン。フランス最古の街を出発した一向はS字を下からなぞるように北上する。コース途中で3つの低難度のカテゴリー山岳を越え、フィニッシュ地点の引かれたムーランに到着。2019年パリ〜ニースに登場したこの街は、サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利した場所で、終盤のレイアウトは全く異なるものの、その時にレースを左右した強い風には注意が必要だ。

フィニッシュ予定時刻:午前0時30分頃(日本時刻)



7月13日(木) 第12ステージ
ロアンヌ〜ベルビル・アン・ボジョレー 168.8km(丘陵)


第12ステージ ロアンヌ〜ベルビル・アン・ボジョレー 168.8km image:A.S.O.

7月13日(木)ロアンヌ〜ベルビル・アン・ボジョレー image:A.S.O.
フランス5大山脈の全てを巡る第110回ツールはその3つ目であるジュラ山脈を前に、クラシックレースのような丘陵ステージに臨む。設定されたカテゴリー山岳は5つで、パリ〜ニースでもお馴染みの風光明媚なぶどう畑を駆け巡る。勝負所となるのは残り64.1kmから登る3連続(3級、2級、2級)の丘。いずれも登坂距離は5.2〜5.5kmだが、特に最終山岳クロワ・ロジエは平均勾配7.6%と厳しいため、ピュアスプリンターの出番はないだろう。

クロワ・ロジエ頂上からベルビル・アン・ボジョレーのフィニッシュ地点までは28.4kmと距離があるため、独走や小集団によるスプリントなどあらゆる可能性を残す、展開予想の難しいステージとなる。ちなみに前回ツールがロアンヌを出発したのは2008年のことで(その時のフィニッシュ地点はモンリュソン)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス)が逃げ切り勝利を飾った場だ。

フィニッシュ予定時刻:午前0時33分頃(日本時刻)



7月14日(金)第13ステージ
シャティオン・シュル・シャロンヌ〜グラン・コロンビエール 137.8(山岳/山頂)


第13ステージ シャティオン・シュル・シャロンヌ〜グラン・コロンビエール 137.8km image:A.S.O.

7月14日(金)シャティオン・シュル・シャロンヌ〜グラン・コロンビエール image:A.S.O.
フランスの革命記念日であるこの日に、ジュラ山脈が誇る標高1,501mの超級山岳グラン・コロンビエールが登場する。ツール初登場のシャティオン・シュル・シャロンヌをスタートし、東に向かう最初の75kmは真っ平ら。その後は中間スプリントに向けて勾配4%に満たない登りをクリアし、人数が絞られた集団は谷を下って名峰グラン・コロンビエールに突入する。

ツール5回目の登場にして、複数ある登道のうちキュロズ側を使うのは4回目。登坂距離17.4km/平均勾配7.1%という過酷さを誇るものの、登坂の中盤と終盤に平坦区間を含むため体感的には平均8〜9%であり、最大勾配12%区間を越えながら標高差1,245mを駆け上がる。

今大会2度目の超級山岳フィニッシュで繰り広げられるのは逃げも隠れもできない力勝負。第9ステージのように逃げ集団がステージ優勝を狙い、後方ではマイヨジョーヌ争いという構図もあり得る。しかし直前のカテゴリーのつかない登りでユンボ・ヴィスマがペースを上げてUAEチームエミレーツのアシスト陣へ攻勢に出ると、ステージ優勝はプロトンから生まれる可能性も考えられる。

フィニッシュ予定時刻:午前0時22分頃(日本時刻)



7月15日(土)第14ステージ
アンヌマス〜モルジンヌ・レ・ポルト・デュ・ソレイユ 151.8km(山岳)


第14ステージ アンヌマス〜モルジンヌ・レ・ポルト・デュ・ソレイユ 151.8km image:A.S.O.

7月15日(土)アンヌマス〜モルジンヌ・レ・ポルト・デュ・ソレイユ image:A.S.O.
ジュラ山脈を足早に駆け抜けた選手たちはステージを挟まずアルプスへと突入する。第2週目も残すところ後2日となった第14ステージには、5つのカテゴリー山岳が登場。「選手たちにレマン湖の美しさを楽しむ余裕はない」とレース主催者が語る通り、スタート直後に3級山岳をクリアし、続けざまに2つの1級山岳(クーとフー)を越えてく。

コース後半からは今大会も出場するヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)が独走勝利を飾った2016年第20ステージと同じコースを辿る。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が下りで飛び出した1級山岳ラマ峠(距離13.9km/平均7.1%)をクリア後、コースは下りと平坦を挟んで最終超級山岳ジュー・プラーヌへ。

距離11.6kmの登坂は平均勾配8.5%と厳しく、登りの後半は10%近い急勾配。そして頂上から約4kmの平坦区間を挟んで、フィニッシュまで9kmのダウンヒルが始まる。細くて急勾配の下りで要求されるのは、年々その重要性が高まるダウンヒルテクニック。ちなみにこの日の獲得標高差は4,200mオーバーで、平坦路がほどんどないレイアウトゆえグルペットで進むスプリンターたちにとっては受難の日となる。

フィニッシュ予定時刻:午前0時33分頃(日本時刻)



7月16日(日)第15ステージ
レ・ジェ・レ・ポート・デュ・ソレイユ〜サンジェルベ・モンブラン 179km(山岳/山頂)


第15ステージ レ・ジェ・レ・ポート・デュ・ソレイユ〜サンジェルベ・モンブラン 179km image:A.S.O.

7月16日(日)レ・ジェ・レ・ポート・デュ・ソレイユ〜サンジェルベ・モンブラン image:A.S.O.
第2週目の最終日、第15ステージが今大会最後の山頂フィニッシュとなる。その出発地点レ・ジェはツール初登場ながらも昨年のMTB世界選手権が行われるなど、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)にとってはお馴染みの地。逃げグループの形成を誘う30km付近のカテゴリーのつかない丘を越え、最初に挑む1級山岳フォルクラ・ド・モンマ(距離7.2km/平均7.3%)から獲得標高差4,400m超えのステージは本格的に幕を開ける。

その後1級山岳クロワ・フリ(距離11.3km/平均7%)と3級山岳を立て続けにクリアし、最終山岳の直前に立ちはだかる最大勾配17%の激坂、2級山岳アムラン(距離2.7km/平均10.9%)を駆け上がる。

そしてフィニッシュ地点まで残り7kmを切ったところから、1級山岳サン・ジェルヴェ・モン・ブランの登りが始まる。直前の勾配17%ほどではないにせよ、頂上に向けて徐々に上がる勾配は平均7.7%(フィニッシュ手前は10.1%)と易しくはない。第2週目の最後に白熱のマイヨジョーヌ争いが繰り広げられる。

フィニッシュ予定時刻:午前1時15分頃(日本時刻)



7月17日(月)休息日



text:Sotaro.Arakawa
Amazon.co.jp

カマルグ セルファン 250g

カマルグ
¥562 (¥2 / グラム)

カマルグ グロセル 1kg

カマルグ
¥1,167 (¥1 / グラム)

最新ニュース(全ジャンル)