引き続きアルプスを舞台とする第3週目は、22.4kmの個人タイムトライアルで幕開け。クイーンステージとなる超級山岳ラ・ロズ峠や難関山岳が登場する第20ステージなど、勝負どころが詰め込まれたステージ詳細を紹介します。



7月18日(火)第16ステージ
パッシー〜コンブルー 22.4km(個人TT)


第16ステージ パッシー〜コンブルー 22.4km image:A.S.O.

7月18日(火)パッシー〜コンブルー image:A.S.O.
第110回ツール・ド・フランス最後の休息日を終えた選手たちは引き続きアルプス山脈を駆け巡る。大会唯一の個人タイムトライアルは22.4kmと短く(昨年は13.2km&40.7km)、コース断面図では平坦から緩やかな登りのように見えるが、実際はラストにTTバイクからノーマルバイクに乗り換えるほどの急勾配が待ち受ける。

パシーを出発した選手たちは約2kmの平坦路を進み、5つの鋭角コーナーを越えながら斜面を登っていく。その後はなだらかな下りを経て7.1km地点の第1中間計測地点を通過。しばし平坦路でスピードに乗った後、第2中間計測(16.1km地点)の直後から2級山岳ドマンシー(距離2.5km/平均9.4%)に突入する。序盤から7.5%に達する登りはその1/3を過ぎて11%に跳ね上がり、その後も10%の勾配が続いていく。しかしその登りが終わってもそこは第3計測地点であり、フィニッシュ地点は1kmの平坦路を挟んで2km先の丘の上(勾配約6%)にある。

ステージ優勝を争うのはTTスペシャリストではなく(そもそも多くが出場していないが)、登りにも長けたオールラウンダー。マイヨジョーヌの行方はもちろん、ノーマルバイクへの乗り換えの有無などチーム毎の戦略にも注目が集まる。

フィニッシュ予定時刻:午前0時36分頃(日本時刻)



7月19日(水)第17ステージ
サンジェルベ・モンブラン〜クールシュヴェル 165.7km(山岳)


第17ステージ サンジェルベ・モンブラン〜クールシュヴェル 165.7km image:A.S.O.

7月19日(水)サンジェルベ・モンブラン〜クールシュヴェル image:A.S.O.
レース主催者は大会17日目に獲得標高差5,405mのクイーンステージ(最難関ステージ)を用意した。この日は第15ステージのフィニッシュ地点であったサンジェルベ・モンブランを出発し、2つの1級山岳(セジーとロゼラン)と1つの2級山岳をクリア。そして選手たちは全長28.1km/平均勾配6%の超級山岳ラ・ロズ峠(標高2,304m)を駆け上がる。

標高1,415mに位置するスキーリゾート地メリベルに向かう登りの前半は6〜8%の勾配を刻むものの、標高が1,800mを超え、頂上まで残り4kmを切ったところで姿を変える。ここからは山道を舗装しただけの「自転車専用道路」であることに加え、最大勾配が24%の激坂区間が登場。そしてフィニッシュ地点は約6kmのダウンヒルの後、クールシュヴェル山岳飛行場へと続く18%の急坂を再度登った先にある。

初登場となった2020年大会ではミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)が制したしたラ・ロズ峠。初登坂となるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)と、その時は先頭から30秒遅れでフィニッシュしたタデイ・ポガチャル(スロベニア)によるマイヨジョーヌ争いの行方はいかに。

フィニッシュ予定時刻:午前0時22分頃(日本時刻)



7月20日(木)第18ステージ
ムティエ〜ブールカン・ブレス 184.9km(平坦)


第18ステージ ムティエ〜ブールカン・ブレス 184.9km image:A.S.O.

7月20日(木)ムティエ〜ブールカン・ブレス image:A.S.O.
2日に及んだ熾烈なマイヨジョーヌ争いは一休み。この日は最終山岳決戦の地ヴォージュ山脈に向けた移動日のかつ、スプリンターたちにとって久々の出番となる。ロズ峠の麓ムティエを出発した選手一向は、第13ステージで登ったグラン・コロンビエールの近くなど、とにかく山岳を迂回しながらブールカン・ブレスの街を目指す。

コース中盤に2つの4級山岳を越えるものの、逃げ集団がリードを拡げることもできないであろう低難度。ここまで山岳に耐えたスプリンターにとってはチーム一丸で狙いに行くステージとなり、そのため逃げ切り決着の可能性は低い。ここまでの山岳を”生き残った”スプリンターたちが、ラスト1kmの最終ストレートになだれ込む白熱のスピードバトルが濃厚だ。

フィニッシュ予定時刻:午前0時42分頃(日本時刻)



7月21日(金)第19ステージ
モワラン・アン・モンターニュ〜ポリニー 172.8km(丘陵)


第19ステージ モワラン・アン・モンターニュ〜ポリニー 172.8km image:A.S.O.

7月21日(金)モワラン・アン・モンターニュ〜ポリニー image:A.S.O.
前日に引き続きツール19日目もヴォージュ山脈に向かう、移動日のようなステージ。この日も逃げ集団とスプリンターチームによる駆け引きが見所になりそうだが、レイアウトは前日と比べて逃げに有利か。172.8kmコースに設定されたカテゴリー山岳は4級と3級の2つで、特に残り30.4kmから登る3級山岳イヴォリ(距離2.3km/平均5.9%)は、集団の速度次第ではピュアスプリンターを退ける難易度だ。

その後は6.3kmを下り、ポリニーのフィニッシュ地点までは平坦路。特に残り8kmからは速度を上下するコーナーやラウンドアバウトのない完全な直線路のため、集団スプリントで決着するのならば各チームは隊列を整え、踏み続けるチーム力が求められる。

2日連続の集団スプリントか、あるいは逃げ屋が勝利を掻っさらうか。どちらにせよマイヨジョーヌを争う総合チームは翌日の最終決戦に向け、安全にフィニッシュを目指すことが命題となる。

フィニッシュ予定時刻:午前0時20分頃(日本時刻)



7月22日(土)第20ステージ
ベルフォール〜ル・マルクシュタイン 133.5km(山岳)


第20ステージ ベルフォール〜ル・マルクシュタイン 133.5km image:A.S.O.

7月22日(土)ベルフォール〜ル・マルクシュタイン image:A.S.O.
最終日前日の舞台は、ここまで巡ってきたフランス5大山脈の最後を飾るヴォージュ山脈。133.5kmという短い距離に6つのカテゴリー山岳が詰め込まれた、獲得標高差3,600mのタフなステージが用意された。ベルフォールを出発した選手たちは2級山岳バロン・ダルザス(距離11.5km/平均5.2%)で脚ならし。比較的序盤に設定された中間スプリントを通過し、2つの2級山岳と3級山岳シュルト峠を越えていく。

その後は18kmのダウンヒルを経て、一呼吸を置く間もなく1級山岳プチ・バロン(距離9.3km/平均8.1%)へ。フランス語でプチ(小さい)とついているものの登り口から10.2%と険しく、10kmの下りを挟み、いよいよ2023年ツール最後の1級山岳プラツァーヴァーゼル(距離7.1km/平均8.4%)に突入する。9%と6〜7%が交互に現れる登坂は頂上手前に10.4%の急斜面が登場。しかしフィニッシュはその頂上ではなく、そこから緩斜面と平坦路の8.2kmを進んだ先にある。

厳しい山岳ステージではあるものの登坂距離が10kmを超える山岳はないため、第17ステージでマイヨジョーヌを着た選手が有利にレースを運ぶはず。逃げに乗った選手が勝利を掴む可能性も高く、また表彰台や総合ジャンプアップを狙う選手たちは飛び出さざるを得ない。

フィニッシュ予定時刻:午前0時5分頃(日本時刻)




7月23日(日)第21ステージ
サンカンタン・アン・イヴリーヌ〜パリ・シャンゼリゼ 115.1km(平坦)


第21ステージ サンカンタン・アン・イヴリーヌ〜パリ・シャンゼリゼ 115.1km image:A.S.O.

7月23日(日)サンカンタン・アン・イヴリーヌ〜パリ・シャンゼリゼ image:A.S.O.
第110回ツール・ド・フランスは、パリ・シャンゼリゼにて48年連続の千秋楽を迎える。そのスタート地点は2024年パリ五輪の舞台でもあるヴェロドロームと、フランス自転車競技連盟の本部が置かれるサンカンタン・アン・イヴリーヌ。そこから選手たちはパリ市街を目指して37kmのパレード走行を楽しみ、凱旋門のやコンコルド広場、ルモニエトンネルを含むお馴染みの6.8kmコースを8周する。

逃げ切りの可能性は限りなく低く、集団スプリントが当然の予想。昨年はヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が勝利に涙し、一昨年はワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がこの「スプリンターの世界選手権」と呼ばれる戦いを制した。石畳で跳ねるバイクを押さえ込み、栄光のシャンゼリゼで両手を挙げるのは誰か。

ちなみに2024年はパリ五輪の影響で最終フィニッシュ地点が南仏のニースとなるため、次回の登場は2年後(2025年)となる。

フィニッシュ予定時刻:午前2時37分頃(日本時刻)

text:Sotaro.Arakawa
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