ツール・ド・スイス第6ステージは前日の落車により命を落とした、ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)に捧げるパレードランが執り行われた。



レース主催者であるセン・オリヴェル氏よりメーダーの死去が伝えられた photo:CorVos
ビルバオの肩を抱き慰めるエヴェネプール photo:CorVos


喪章を巻いたシルヴァン・ディリエ(スイス、アルペシン・ドゥクーニンク)ら選手たち photo:CorVos

ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)の訃報が選手やスタッフに伝えられた6月16日(金)、ツール・ド・スイスのレース主催者であるセン・オリヴェル氏から第6ステージのキャンセルを発表。代わりにメーダーを悼むパレードランが行われた。

当初は前日の最終山岳であるアルブラ峠を登り返し、オーバーヴィール・リーリに向かう215.3kmコースの予定だったが、序盤に登場する2級山岳ブリーエンツ・ブリンツァウルスで岩石なだれが発生。そのため麓のクールからスタートする予定だったものの、メーダーの死去によってレースはテュルラーからオーバーヴィール・リーリに向かう20kmのパレードランとなった。

メーダーを悼むパレードランが静かにスタート photo:CorVos

メーダーの名を掲げるファン photo:CorVos
沿道からの拍手のなか、選手たちは静かに走行した photo:CorVos


総合リーダージャージを着るマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)を含め腕に喪章を巻いた選手たちが静かにスタートを切り、沿道にはメーダーの名前を掲げたファンの姿も。そしてバーレーン・ヴィクトリアスのペリョ・ビルバオ(スペイン)とニキアス・アルント(ドイツ)、フィリプ・マチェユク(ポーランド)、フラン・ミホリェヴィッチ(クロアチア)、ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク)、アントニオ・ティベーリ(イタリア)が集団の先頭でフィニッシュラインを通過した。

レース主催者は第7、8ステージをどう進めるのかを協議し、遅くても翌日の朝に発表する予定だと伝え、オリヴェル氏は「今日はジーノを悼むだけの日。この出来事は我々全員に影響を与えること。だからチームや選手、我々を含めた全員の体調を鑑みて、レースを続けることができるよう努めたい」とコメントしている。

フィニッシュが近づき、集団の先頭で横並びになるバーレーン・ヴィクトリアスの選手たち photo:CorVos

今年3月にプロ選手組合(CPA)の会長に就任し、それ以来レースの安全性向上に取り組んでいるアダム・ハンセン氏はSNSでコメントを投稿。「このスポーツがいかに危険であるか、皆に理解してほしい。あなたたちのエンターテイメントのために、選手たちの命を危険にさらすべきではない」と語っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos