念願の日本王者ジャージを射止めた山本大喜(JCL TEAM UKYO)は「ようやく全日本を獲れた喜びはありますが、ここで満足していては世界とは戦えない。更に強くなってきます」と語った。優勝者のコメントからレースを振り返ります。



喜びを露わにする山本大喜(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

優勝者インタビュー

ここ数年間、本気で全日本選手権を獲ろうと準備してきて一昨年は4位、昨年は3位と悔しい思いをしていました。だから今年は何としても勝ってやろうと大会に臨みました。だから本当に嬉しいです。

レース前半の逃げに乗る予定はなく、岡だけが入る予定でした。でも兄(元喜)も飛び出したことで「逃げ切る可能性が高まった」と思い、僕も反応しました。いまここ(表彰台)にいる2人と、石上選手が本当に強かった。一歩間違えれば勝利を逃す可能性もあると思い、飛び出すタイミングを伺っていました。そして石上選手のアタックしたカウンターで「ここしかない」と思い、躊躇せず全力で踏み込みました。

それで仮に兄についてこられ、負けたとしてもそれはしょうがないなと。でも無事に千切ることができ、勝つことができました。全日本チャンピオンらしい勝ち方で勝ちたかった。だから最高の形となったので、最高に気持ちがいいです。

ガッツポーズと共にフィニッシュする山本大喜(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

自分が自転車を始めたきっかけはインターハイで日本一になっている兄の姿を見たこと。そして2018年に兄が全日本で優勝し、当時アンダー23だった自分は喜びよりも悔しさの方が大きかった。それから自分もエリートで勝ちたいという気持ちが強くなり、それ以来兄から刺激をもらって強くなってきた。兄がいたから自分は強くなれたし、超えることができたのだと思います。

レース中「自分が一番強い」と思いながら走っていたのですが、周りの選手も強く、怖さを感じることもありました。しかし多くの人が自分の名前を呼んでくださって、その応援が力となりました。本当にありがとうございました。

表彰式後インタビュー

ラストの3〜4周目でタイム差が2分に縮まり、ちょっと(逃げ切りは)怪しいかなと思いました。だけど自分は追いつかれたとしても(再度加速して)逃げ切れる自信があったので、焦ることなく皆で協力することができました。本当に良い逃げだったと思いました。

残り2周、コース最頂点への登りで山本大喜(JCL TEAM UKYO)がアタック photo:Satoru Kato

最後は(石上選手が)行ってくれて、脚にも余裕があったので良いタイミングだと思い、カウンターで飛び出しました。(2日前の)個人タイムトライアルでも調子の良さを感じており、10〜20秒の差をあけることができれば独走できると思っていました。ただ、アタックして下り切ったところで兄が5mほど後方にいたので、予想以上に走れているなと。だけど次の登りで踏んで、千切ることができた。その後は安心して走ることができましたね。

自分が強いという自信があり、また勝てるという自信もあった。もちろんレースなので展開は分からないのですが、力勝負になれば勝てると思っていました。やっと全日本選手権で勝てたと言う喜びはありますが、ここで満足していたら世界とは戦えない。だから今後は更に強くなりたいです。

家族と共に記念撮影する山本大喜(JCL TEAM UKYO) photo:Satoru Kato

text:Sotaro.Arakawa
photo:Satoru Kato