男子のツール・ド・フランス開幕の前日、イタリア最高峰の女子レース「ジロ・デ・イタリア・ドンネ」が開幕した。初日は4.4kmの個人タイムトライアルで争われたものの、豪雨により途中でレースキャンセルとなった。



全体の23番目に出走したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

2022年に始まったツール・ド・フランス・ファムに続き、今年大幅リニューアルされたラ・ブエルタ・フェメニーナにより3つのグランツール(ブエルタ、ジロ、ツール)が揃った女子ロードレース。その中でも今年で第34回目と歴史があり、イタリアでは女子レース最高の格式を誇るステージレースが「ジロ・デ・イタリア・ドンネ(正式名称はジロ・ディタリア・インテルナツィオナーレ・フェミニーレ)」だ。

過去にジロ・ローザという名で知られた本大会は、今年はイタリア中部のトスカーナ州で開幕し、エミリア・ロマーニャ州、ピエモンテ州、リグーリア州と北西へ進み、地中海に浮かぶサルデーニャ島サッサリで最終日を迎える。9日間のコースには初日の個人タイムトライアルをはじめ、平坦や丘陵ステージなどあらゆる選手に勝機のあるレイアウトが揃った。また総合優勝の証であるマリアローザを占うクイーンステージは5日目で、その序盤に登場する2級山岳ピアン・デル・ルーポ(距離9.4km/平均8.7%)がチーマコッピ(大会最高標高:1,407m)となる。

開幕地であるキアンチャーノ・テルメには15のワールドチームを含む全24チーム/全168名の選手たちが集った。ゼッケン1をつけるのは昨年自身3度目の総合優勝を果たし、近々のブエルタを制したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)。そのライバルであるデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)はツール・ファムに注力するため出場を見送ったものの、前年2位のマルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJ・スエズ)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)が揃い、日本からはナショナル王者ジャージを奪還したばかりの與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も出場した。

ジョージア・ベイカー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

強い雨の中を進むエリノア・バックステッド(イギリス、リドル・トレック) photo:CorVos
マビ・ガルシア(スペイン、リブレーシング・テックファインド)など多くの選手が落車した photo:CorVos


大会初日は4.4kmの個人タイムトライアルが行われ、東京五輪の金メダリストでオーストリアTT王者アンナ・キーセンホーファー(イスラエル・プレミアテック・ローランド)やマビ・ガルシア(スペイン、リブレーシング・テックファインド)らがスタートを切る。しかし視界を遮るほど強い雨が降り続け、更に水溜りにタイヤを取られてコーナーで落車する選手が続出する。

前半に出走したファンフルーテンとマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が5分42秒の同タイムでフィニッシュし、それをレティツィア・パテルノステル(イタリア、ジェイコ・アルウラー)がコンマ差で上回り、暫定トップタイムを叩き出す。しかし強い雨脚にレースは一時中断され、これ以上の出走は不可能と判断したレース主催者は中止を発表。約半分の選手が未出走のまま、この日の結果がすべて無効となった。

水溜りができるコーナーを丁寧にクリアするマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

ファンフルーテンはレース後「ジロ・ドンネがこのような形でスタートしてしまい、とても悲しい。私は第1ブロックで出走しなければならず、クレイジーなほど路面がスリッピーだった。直線路では後輪が滑るのを感じられるぐらい。落車した選手の無事を祈る。まるで運試しのようなレースで、キャンセルされてよかった」と、SNSに投稿している。

翌日の第2ステージはバーニョ・ア・リーポリを出発し、2級山岳コッラ峠(距離9.9km/平均5.8%)を越える102.1km。フィニッシュ地点がその頂上から17.6km先にあるため、いきなり総合争いが勃発する可能性もある。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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