兄弟対決を制したアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)は「嬉しいが、あくまでもエースはポガチャル」と語り、敗れたサイモンは「アダムと行けば勝つチャンスがあると思った」と振り返った。2023年ツールの初日を終えた選手たちの言葉を紹介します。



区間優勝&マイヨジョーヌ アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)

双子対決を制し、自身初となる区間優勝を飾ったアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

正直、感動で言葉が出ない。とても嬉しいし、ツール・ド・フランスで区間優勝することができ、誇りと喜びに満ち溢れている。(ピケ峠の)登りではタデイ(ポガチャル)のためにペースを作り、そして彼がアタックした。だが牽制があったことにより僕は先頭集団に復帰することができた。そして後方からアタックしたら僕の兄弟がついてきたんだ。

最初はこのまま2人でいっていいかどうかわからず、無線でチームカーに指示を仰いだら「そのまま行け」と言われた。サイモンの調子の良さは知っていた。毎日会話するし、仲も良いからね。彼と勝利を争うことができ、本当に嬉しい瞬間だった。サイモンの調子は良く、むしろ良すぎた。そのせいで危うく遅れるところだったよ。

マイヨジョーヌは2020年に(4日間に渡り)着用しており、その時と同じく特別な気持ちがする。だがこの結果に浮足立つことなく、あくまでもチームのボス(エース)はタデイ。彼は世界一の選手だし、それをこの3週間で証明するだろう。僕はエースではなくアシスト。明日からはタデイのために走り、レースを上手く進めて彼のリード拡大に務める。

区間2位 サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)

アダムを祝福するサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

(ピケ峠で)UAEがペースを上げた時、僕は観客に阻まれてついていくことができなかった。でも仕方ないのでそのまま登り続けたら、先頭のアタック合戦により遅れてきたアダムと合流したんだ。下りで先頭集団に追いつき、アダムがポガチャルに向かって頷いた。きっとアダムがポガチャルに「どんな状況だ?このまま行ってもいいか?」と聞いたのだろう。そのままアダムは飛び出し、それに僕がついていった。

僕が反応したことにより、アダムは難しい状況に立たされた。彼は無線で「どうすればいい?このままいっていいか?」と聞いていた。だから最初は牽引に協力してくれたなかったし、僕自身そういう難しい状況でチャンスを掴むしかないと思った。

あのようなレイアウトだと、僕はポガチャルやヴィンゲゴーのようなスプリントのある選手には敵わない。だからアダムとこのまま行けば、勝つチャンスはやってくると思ったんだ。あと少しだったものの、最後で脚を攣ってしまった。湿度も高く、残念ながらアダムの方が上回っていた。しかしこの後もまだまだ勝つチャンスはあるはずだ。

区間3位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

マイヨブランに袖を通したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今日のレースを5段階評価で表すのであれば5。大満足のステージとなった。僕自身の調子もよく、チームの走りも完璧だった。アダムが強さを発揮して勝利を掴み、マイヨジョーヌの手に入れたので、今日の3位はまるで優勝に等しいほど嬉しかった。

―あんな兄弟が欲しいと思うか?

いや、僕にも既に同じぐらい素晴らしい兄弟がいるよ。

区間9位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

集団内でチームメイトに守られながら進むヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:So Isobe

ハードワークをしてくれたチームメイトに感謝したい。もちろんステージ優勝できればよかったけれど、初日を問題なくフィニッシュすることも同じぐらい大事なことだ。ポガチャルが4秒のボーナスタイムを獲得したが、決定的なタイム差にはならないだろう。

区間11位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

あれ以上、僕たちは何もできなかった。同時に、マイヨジョーヌの掛かるステージでスプリントに持ち込むことができず残念だ。イェーツ兄弟を祝福したい。セップ(クス)とウィルコ(ケルデルマン)が先頭集団を追いかけていた時、彼らは既に先頭に追いついていた。UAEがマイヨジョーヌを得たことは戦略的に良いこと。だが、僕自身が獲得できれば最高だった。僕の調子はよく、その証拠に有力クライマーたちと共にフィニッシュすることができた。

マイヨアポワ(山岳賞)ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)

マイヨアポワを射止めたニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

幼い頃からの夢が叶った。ツール・ド・フランスで特別ジャージを着ることは、自転車選手が皆、夢に思うことだろう。これでプロ選手としての目標にまた一歩近づくことができた。このジャージを着るのがたとえ1日だけだとしても、とても特別に思うよ。もちろんステージ優勝も狙いたかったが、山岳賞ジャージ獲得に力を使いすぎてしまったようだ。その代償をその後(の登りで)払う羽目になってしまった。この後は回復に努め、明日も可能ならば狙いに行きたい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos

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