超級山岳を越え、フィニッシュ手前に2つの3級山岳が登場したジロ・ドンネ5日目。精鋭集団から飛び出した20歳のアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)が独走勝利を決め、2位のファンフルーテンはマリアローザを保持。落車したロンゴボルギーニは無事完走している。



チームプレゼンテーションの臨むマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

全9ステージで行われる第34回ジロ・デ・イタリア・ドンネ(UCIワールドツアー)は折返しの5日目を迎えた。ピエモンテ州サラッサからチェレスに向かう105.6kmには3つのカテゴリー山岳が登場。序盤の超級山岳ルポ峠(距離9.8km/平均8.6%)をクリアし、下りとカテゴリーのない山岳を経て、終盤に2つの3級山岳を越えるレイアウトだ。

山岳フィニッシュではないものの、大会唯一の超級山岳が登場するためクイーンステージと呼ばれたこの日は、そのルポ峠の麓からアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)自らペースを作った。マリアローザの登坂スピードに集団からは次々と選手が遅れていくなか、ラ・ブエルタ・フェメニーナでファンフルーテン相手に区間1勝を挙げ、総合3位に入ったガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)だけが唯一食らいついた。

マリアローザを着てプロトンを走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

前日勝者で総合2位(49秒遅れ)のエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)も遅れていき、ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)と共に追走集団を形成。その更に後方では総合上位につけるセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク)やクライマーのマルタ・カヴァッリ(イタリア、共にFDJ・スエズ)やシルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)などがペースで頂上を目指した。

大会最標高地点であるチーマ・コッピ(1,408m)の頂上をファンフルーテンが先頭で通過し、下りで先頭の2人にロンゴボルギーニとフィッシャーブラックが合流する。更に最後から2つ目の3級山岳を前にルドヴィグがジョインし、9名の先頭集団が出来上がった。

超級山岳の麓からペースを上げたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

下りで先頭にロンゴボルギーニらが追いつく photo:CorVos

9名となった先頭集団 photo:CorVos

しかし9名のローテーションが上手く回ることはなく、緩んだペースにファンフルーテンがアタック。これにより一時4名の先頭集団が形成されたものの再び集団はひと塊となり、そのカウンターでペルシコが飛び出し、ジュリエット・ラブー(フランス、DSM・フィルメニッヒ)が追従。そしてここまで集団で脚を溜めていたアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)が矢のようなスピードで飛び出した。

総合14位(2分18秒遅れ)のニーダーマイヤーによるアタックをファンフルーテンは静観し、フィッシャーブラックはそのスピードについて行けない。最終3級山岳に突入し、ファンフルーテンとロンゴボルギーニが追走に本腰を入れる。しかし、その下りでファンフルーテンがコースアウトし、続いてロンゴボルギーニはコーナーを曲がり切れず低い崖下に落ちてしまう。幸いロンゴボルギーニに大きな怪我はなく、再びバイクに戻り完走を果たしている。

3級山岳の頂上手前で飛び出したアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム) photo:CorVos

金星を挙げた弱冠20歳のアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム) photo:CorVos

そしてニーダーマイヤーは9秒まで差を詰めたファンフルーテンを振り切り、キャリアハイとなる勝利を掴み取った。

ニーダーマイヤーはキャニオン・スラムの下部チームから今年昇格した20歳。ドイツTT選手権のU20で優勝した若きオールラウンダーにとって、これがワールドツアー初勝利となった。「初めてのジロ・ドンネで勝利を掴み、これ以上ないほど嬉しい。最後まで全力で踏み込んだ結果。途中不安に襲われたものの、勝利を掴むことができ、素晴らしい気持ち」と、総合でも2位にジャンプアップしたニーダーマイヤーは喜んだ。

また、区間2位のファンフルーテンはマリアローザの保持に成功している。

9秒遅れの区間2位でフィニッシュし、マリアローザを保持したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
ジロ・デ・イタリア・ドンネ2023第5ステージ
1位 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム) 3:14:02
2位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) +0:09
3位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) +1:26
4位 ジュリエット・ラブー(フランス、DSM・フィルメニッヒ)
5位 ヴェロニカ・エワーズ(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)
6位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +1:32
7位 マビ・ガルシア(スペイン、リブレーシング・テックファインド) +2:01
8位 エリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ)
9位 フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +2:54
10位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)
19位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +7:33
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) 12:19:36
2位 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム) +2:07
3位 ヴェロニカ・エワーズ(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) +2:18
4位 ジュリエット・ラブー(フランス、DSM・フィルメニッヒ) +3:00
5位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +3:14
6位 マビ・ガルシア(スペイン、リブレーシング・テックファインド) +3:39
7位 エリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ)
8位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ) +4:29
9位 アネ・サンテステバン(スペイン、ジェイコ・アルウラー) +4:57
10位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) +5:03
その他の特別賞
ポイント賞 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
山岳賞 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
ヤングライダー賞 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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