集団スプリントに持ち込まれたジロ・ドンネ最終第9ステージ。昨年も最終日を制した地元イタリア出身のキアラ・コンソンニ(UAEチームADQ)が勝利し、ファンフルーテンが2年連続4度目の総合優勝に輝いた。



引退するマルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)のために道を作る選手たち photo:CorVos

イタリアのサルデーニャ島で迎えた第34回ジロ・デ・イタリア・ドンネ(UCIワールドツアー)最終ステージ。前日のフィニッシュ地点であるサッサリからオルビアまでの126.85kmコースで行われ、序盤と中盤に3級山岳が設定されているものの、スプリンターも十分耐えられるであろう難易度だ。

この日はスタート前に、今大会限りで現役を退くマルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)の引退セレモニーが行われた。2007年に弱冠20歳で世界選手権ロードを制し、2018年の欧州選手権や2019年のロンド・ファン・フラーンデレンで優勝するなど輝かしい実績を残したバスティアネッリ。36歳になった今年もその力は衰えておらず、女子ル・サミン(UCI1.1)をはじめ2つのレースで勝利を収めた。

現役ラストレースに臨んだ元世界王者のマルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

逃げを試みたアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、イスラエル・プレミアテック・ローランド) photo:CorVos

逃げが決まらぬままレース前半を過ぎ、後半戦に入りアイリス・モンティコロ(イタリア、トップガールズ・ファッサボルトロ)が逃げを打つ。遅れて東京五輪金メダリストのアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、イスラエル・プレミアテック・ローランド)がメイン集団から飛び出したものの、EFエデュケーション・TIBCO-SVBなどがコントロールするメイン集団が2人を引き戻し、ここから前日同様に無数のアタックが繰り広げられた。

総合ジャンプアップを目指すセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ)やリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)、前日勝者カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)らの仕掛けは不発に終わる。またトップガールズ・ファッサボルトロからアレッシア・ヴィギリア(イタリア)が勢い良く飛び出し、一時は最大16秒差を得た。

リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)のアタックも不発 photo:CorVos

マリアローザを纏いプロトンで走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

しかし、ノルウェー王者スザンヌ・アンデルセンでスプリントを狙うウノエックス・プロサイクリングチームらが強力牽引を披露してヴィギリアを引き戻す。そして勝負は集団スプリントに持ち込まれると、最終ストレートでラケーレ・バルビエーリ(イタリア、リブレーシング・テックファインド)が早いタイミングでスプリントを開始した。

その右側からクロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)が迫り、左側からキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)が追い抜く。先頭に立ったコンソンニの背後からは、ジロ通算33勝目を目指すマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がフィニッシュ手前で並んだものの、コンソンニがそれを抑え込んで勝利した。

集団スプリントで先頭に立ったキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

2年連続で大会最終日を制したキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

母国で勝利を飾ったキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

2022年大会の最終日でも勝利したコンソンニが、引退するバスティアネッリに捧ぐステージ勝利。「とても嬉しくて言葉がない。サポートしてくれたチームに感謝したい。とても厳しくストレスフルなスプリントだったが、チームメイトを信じていた。今大会はここまで勝負に絡むことができなかったものの、最後で勝利を掴むことができて本当に嬉しい。マルタ(バスティアネッリ)の最後のレースで勝利を分かち合うことができ、最高の気分だ」と、今年加入したチームに勝利をもたらしたコンソンニは喜んだ。

そして総合優勝の証であるマリアローザは、トップと同タイムでフィニッシュしたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)の手に。「総合優勝はチームで勝ち取る必要がある。だからモビスターというチームで獲得することができ、本当に嬉しい」と、ラ・ブエルタ・フェメニーナに続きグランツールで2つ目の総合優勝を獲得したファンフルーテンは喜んでいる。

無事最終日を終え、総合優勝を確定させたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア・ドンネ2023総合表彰台:2位ラブー、1位ファンフルーテン、3位レアリーニ photo:CorVos

総合2位にはジュリエット・ラブー(フランス、DSM・フィルメニッヒ)が入り、ヤングライダー賞を獲得したガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)が3位で総合表彰台へ。また、與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)は14分4秒遅れの114位でフィニッシュし、9日間のジロ・ドンネで完走を果たした。
ジロ・デ・イタリア・ドンネ2023第9ステージ
1位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) 3:19:33
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
3位 アリー・ウォラストン(ニュージーランド、AGインシュランス・スーダル・クイックステップ)
4位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)
5位 メーガン・ジャストラブ(アメリカ、DSM・フィルメニッヒ)
6位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、リブレーシング・テックファインド)
7位 スザンヌ・アンデルセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
8位 レティツィア・パテルノステル(イタリア、ジェイコ・アルウラー)
9位 グラディス・ヴェルフルスト(フランス、FDJ・スエズ)
10位 シルヴィア・ザナルディ(イタリア、ビーピンク)
114位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) +14:04
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) 24:26:25
2位 ジュリエット・ラブー(フランス、DSM・フィルメニッヒ) +3:56
3位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +4:23
4位 ヴェロニカ・エワーズ(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) +5:34
5位 エリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ) +5:35
6位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ) +6:16
7位 マビ・ガルシア(スペイン、リブレーシング・テックファインド) +6:25
8位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) +6:58
9位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ) +7:01
10位 アネ・サンテステバン(スペイン、ジェイコ・アルウラー) +9:12
その他の特別賞
ポイント賞 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
山岳賞 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
ヤングライダー賞 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 モビスター
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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