「総合優勝したチームで4度ツールを走り、ようやく勝利のチャンスを掴んだ」とツール第15ステージを制したワウト・プールスは語る。沿道の観客へ注意喚起するポガチャルやヴィンゲゴーなど、第2週目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)

自身初となるツール区間優勝を手に入れたワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

幼い頃からツール・ド・フランスで勝つことが夢だった。それにこの3週間、チームで起こったジーノ(メーダー)のことを考えれば感傷的にならざるを得ない。過去に優勝したモニュメント(リエージュ~バストーニュ~リエージュ)に続き、長年の夢だったツールでの勝利を達成できてとても嬉しいよ。

勝利を確信したのはラスト1km地点。それまでは全力で踏み続けなければならなかった。なぜならオランダ人として油断ならないファンアールトが後ろから迫ってきていたのだからね。それにこの勝利は彼(メーダー)も力を貸してくれたのだろう。

自身が「夢だった」と語る勝利を掴んだワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

ツールに向けた高地合宿で体調を崩し、直前のドーフィネを回避しなければならなかった。だが代わりに出場したツアー・オブ・スロベニアで良い走りができ、チームは僕を信じてツールメンバーに選んでくれた。そして監督であるロマン・クロイツィゲルが僕に「第3週目に向けて調子が上がっていくから大丈夫」と言ってくれ、その通りになった。

―クリス・フルームなど君はこれまで多くの選手を支えてきた。35歳での初勝利は、その走りへのご褒美のように感じているか?

チームスカイでもレースを楽しみ、合計4度も総合優勝するチームでツールを走ることができた。それも本当に素晴らしいことのなのだが、自らステージ優勝を掴みに行くチャンスはなかった。だから今日、それが叶って本当に嬉しいよ。

区間2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)ら3名が先頭に立つ photo:CorVos

今日は勝利への大きな期待をもって臨んだステージだった。だが最終山岳で最も強い選手が明らかとなった。本来ならばある程度のリードを得て最終山岳に入りたかったのだが、プールスに僕を上回る力があった。彼のアタックに反応することができず、自分のペースでプールスを追いかけた。脚に力は残っていなかったものの、諦めることなくフィニッシュを目指し踏み続けた。

今日は再び逃げに乗ることができて嬉しかった。今日のようなアグレッシブで魅力的なレースが好きなんだ。勝利への気持ちは高いままなので、目標に向かって頑張るよ。

マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

マイヨジョーヌをキープし、ツール第2週目を終えたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

今日も(ポガチャルとの)白熱した戦いが繰り広げられた。観客にとっても日に日に面白くなっているだろう。今日の結果に僕らは満足している。もちろん序盤に落車が発生し、怪我を負ったチームメイトやその他選手の無事を願っている。

今日はいつもに増して状況をコントロールすることができた。また、火曜日のタイムトライアルは総合優勝を左右する1つのステージになるだろう。

―マイヨジョーヌを着る君から、選手を代表して沿道で応援するファンにメッセージを送ってくれ。

行儀よく観戦して欲しい。コース上に出てはいけないし、選手を殴らないでくれ。また僕らにビールをかけたりもしないでくれ。もちろんレース観戦を楽しんで欲しいのだが、決して愚かなことはしないでくれ。

総合2位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のアタックに耐え、同タイムでフィニッシュしたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

今日も良い日となった。チームは狙い通りレース展開を厳しくしたのだが、ヨナス(ヴィンゲゴー)にとっては楽な登りだったので自ら仕掛けた。だが今日の彼は本当に調子が良さそうだったので差をつけることができなかった。第3週目でまたトライするよ。

―数名の無責任なファンに対してメッセージはあるか。

レース前にも語ったが、僕らは各国からやってくる沿道の応援に力を貰っている。だが少し気をつけて欲しい。空を飛ぶヘリコプターや手元のスマホではなく走っている選手を見てくれ。平坦区間や下りでは危険も多いので、観戦する際には十分に気をつけてほしい。

序盤に落車しながらも20位でフィニッシュしたセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

序盤の落車で右半身に怪我を負ったセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:So Isobe

最後の山岳は急勾配だったものの、昨日よりは楽なステージとなった。僕らは逃げを追う意思はなく、満足と言うことのできる結果に終わった。

―怪我(擦過傷)の具合はどうか?

自動車の修理工場に行って塗装してもらわないとね(笑)!

マイヨアポワ(山岳賞)ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)

山岳ポイントを荒稼ぎし、マイヨポワを射止めたジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

例えこれが1日限りだとしても、またパリまで着続けるとしても、権威あるこのジャージに袖を通すことができて本当に嬉しい。子どもの頃からの夢が叶い、僕はいま大きな感動の中にある。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, So Isobe