ポローニュ6日目は16.6km個人タイムトライアルで争われ、マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)がワールドツアー初勝利。ジョアン・アルメイダと総合で同タイムとなったマテイ・モホリッチが総合優勝に王手をかけた。



ポーランド南部のカトヴィツェ市街地を巡るツール・ド・ポローニュ6日目 photo:CorVos

ポーランド最大のステージレースである第80回ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)も残すところあと2日。第6ステージはカトヴィツェに設定された16.6kmの個人タイムトライアルで、翌日が平坦ステージのため実質的に総合優勝が決するステージとなった。

スタート地点からカトヴィツェ市街地を時計回りに巡るコースは平坦路。総合成績で最下位のシェーン・アーチボルド(ニュージーランド、ボーラ・ハンスグローエ)から順にスタートし、そのチームメイトであるライアン・マレン(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が19分55秒というタイムで基準を作った。

ステージ3位:ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

ステージ9位:トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

現アイルランドTT王者であるマレンのタイムはマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)に更新され、続いて21歳の若手オールラウンダーであるフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)が19分26秒の暫定トップタイムを叩き出した。

平均スピード51km/hを超える速度で駆け抜けたフィッシャーブラックだったが、TT世界選手権とブエルタ・ア・エスパーニャを控えるゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が2秒上回る。その後、現TT世界王者トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)は8秒遅れでフィニッシュし、ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)が迫ったもののトーマスには3秒届かない。

しかし143番目でスタートを切ったマティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が、トーマスのタイムを14秒も上回る19分10秒のトップタイムを叩き出す。平均スピード51.965km/hで駆け抜けたカッタネオのタイムを更新する選手は現れず、チームに今季37勝目をもたらした。

ステージ優勝:マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ステージ2位:ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ステージ11位:マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

総合上位勢ではミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が区間8位に入り、総合順位を3位に上げることに成功。そして注目された総合首位のマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)と総合で12秒遅れのジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)との戦いは、アルメイダがカッタネオに13秒差の区間2位でフィニッシュ。しかしモホリッチが25秒遅れでタイムをまとめたため、総合で同タイムながらモホリッチが総合首位キープに成功した。

2021年のツール・ド・ルクセンブルク以来となる勝利を手に入れた32歳のカッタネオ。「自分の走りに満足しており、いつだって勝利は嬉しいもの。また素晴らしい選手たちを下しての勝利は、喜びを更に増してくれる。今日のコースのラスト500mは、ファビオ・ヤコブセンが3年前に落車した場所だった。だから気持ちが入ったよ」と、カッタネオはワールドツアー初勝利をそう喜んだ。

ワールドツアー初勝利を飾ったマティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

総合リーダージャージを守ったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

総合で同タイムとなりながらもリーダージャージを守り、総合優勝をほぼ確定させたモホリッチは「今日はベストを尽くした。あれ以上1秒も早くフィニッシュすることはできなかった。明日はジョアン(アルメイダ)がボーナスタイムを得ることを阻止するよ」と、意気込みを語った。
ツール・ド・ポローニュ2023第6ステージ結果
1位 マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) 0:19:10
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:13
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:14
4位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) +0:16
5位 ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ) +0:17
6位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:18
7位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・サムシック)
8位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) +0:21
9位 トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)
10位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:24
11位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:25
個人総合成績
1位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) 22:49:07
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
3位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) +0:14
4位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:19
5位 マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) +0:38
6位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:39
7位 エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) +0:52
8位 ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) +0:55
9位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) +0:57
10位 オスカー・オンレー(イギリス、DSM・フィルメニッヒ) +1:04
その他の特別賞
ポイント賞 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
山岳賞 ジャコポ・モスカ(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos