ナイロ・キンタナが母国コロンビアで記者会見を行い、「チームを離れても僕の心はモビスターと共にあった」と語った。また2024年シーズンに向けては「エンリク・マスをサポートしたい」と言い、出場レースについては12月20日に明かされる。



コロンビアの首都ボゴタで記者会見を行ったナイロ・キンタナ photo:Movistar Team

モビスターへの復帰が発表されたナイロ・キンタナは10月31日、母国コロンビアの首都ボゴタで記者会見を行った。「(チーム復帰は)レースで勝つことと同じぐらいの喜びがある。UCIが何を考えているのかは分からないが、今の目標は新しい自転車選手としての一歩を最良の形で迎えることだ」と、キンタナはチーム復帰の喜びをそう語った。

2022年のツール・ド・フランスにてUCI(国際自転車競技連合)が使用禁止リストに指定している薬物が2度に渡り検出され、同大会の成績が剥奪されたキンタナ。直後にアルケア・サムシックを退団し、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に異議申し立てをしたものの、CASはそれを棄却。その後迎えた2023年シーズンは未所属のままヨーロッパでチーム探しとトレーニングに励んだ。

「僕とモビスターはお互いに意識していたけれど、最初の一歩を踏み出すことができなかった。だから僕からエウセビオ(ウンスエGM)に会い、長い話し合いの末に”戻ってきたらどうだ?”と言われ、そうしていま僕はここにいる。チームを離れてからモビスターが恋しくなったたため、僕はここに戻ってきた。僕の気持ちは常にチームと共にあり、退団した後も携帯電話の会社(モビスター)は変えることがなかったよ」と、キンタナは復帰した理由を説明した。

2019年ツールでは区間1勝を飾ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Makoto.AYANO

2019年のツールではアレハンドロ・バルベルデとミケル・ランダ(共にスペイン)と共にトリプルエースを担ったキンタナ。しかしその翌年にキンタナはランダと共にチームを離れ、バルベルデは2022年限りで引退。その後の総合エースはエンリク・マス(スペイン)が務め、ブエルタ・ア・エスパーニャでは2021年、22年と連続で総合2位に入るなど活躍した。

しかし今年のジロ・デ・イタリアでは明確な総合エースが不在のまま臨み、ツールではマスが初日リタイアという不運に見舞われたモビスター。ブエルタでもマスはユンボ・ヴィスマの牙城を崩すことはできず、総合6位に甘んじた。そのためジロとブエルタで総合優勝を飾り、ツールでも2度の総合2位に入った経験のあるキンタナの加入はモビスターにとって強力な補強となる。

2023年シーズンは2月のコロンビア選手権のみの出場となったキンタナは33歳。不安視されるのはレースを離れていたことによるコンディションだが、入団時のプレスリリースでは「雨の日も太陽が照りつける日も自転車に乗り続けた」とコメント。チーム内での役割については「モビスターには若く力強い選手が揃っている。だから共にエンリク・マスというエースを支えたい。(トレーニング合宿のある)12月20日に出場するレースが明らかになるだろう」と語り、記者会見を締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa

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