UCI(国際自転車競技連合)は今年10月のツアー・オブ・グワンシーで人種差別的なポーズを取りそれをSNSに投稿したアンテルマルシェ・サーカス・ワンティの2選手に対し、罰金と教育プログラム受講の懲戒処分を下したと報告した。該当選手は両目を指で細め、その写真をSNSに投稿。開幕前にレースから撤退した。



ミケルスと共に処分が下されたヘルベン・テイッセン(ベルギー) photo:CorVos

本件が起こったのはツアー・オブ・グワンシー(UCIワールドツアー)の開幕前日である2023年10月11日。アンテルマルシェ・サーカス・ワンティに所属するヘルベン・テイッセン(ベルギー)が、指で両目を細めるジェスチャーを取るマディス・ミケルス(エストニア)の姿をインスタグラムに投稿。翌日にチームは謝罪文を発表し、テイッセンとミケルスも自身らのSNSに連名で謝罪文を投稿。2人はスタート地点に立つことなく即時帰国した。

テイッセンとミケルスの行為はUCI(国際自転車競技連合)規則12.4.004で定める「(人種等で)人または人のグループを差別または誹謗するふるまい」に該当するとして、2人はレースから除外。そしてUCIはこの度、2人に罰金と差別に関する教育プログラムの受講を課した。

ミケルスはトレーニー(研修生)として2022年にチームに加入し、プロ1年目のシーズンを送っていたエストニア出身の20歳。春のクラシックシーズンはパリ〜ルーベなど数多くのワンデーレースに出場し、8月のドイツ・ツアー(UCI2.Pro)では強豪スプリンター相手に勝利を掴んだ。またテイッセンはベルギー出身の25歳で、ブレーデネ・コクサイデ・クラシック(UCI1.Pro)を含む今季6勝を挙げたスプリンターだ。なお11月17日現在、本処分に関するチームや2名によるコメントはない。

選手による人種差別的行為は過去にもあり、2017年のツール・ド・ロマンディでジャンニ・モスコン(イタリア、当時チームスカイ)がケヴィン・レザ(フランス、当時FDJ)に対して人種差別発言をした。しかしこの件に対してUCIの処分はなく、チームスカイがモスコンに対し6週間の活動自粛処分を与えている。

UCIはミケルスとテイッセンへの処分に関するリリースを「UCIはあらゆる形態の人種差別的、差別的行為を明確に非難し、UCI定款、UCI規則、およびそれらプログラムを通じて自転車競技における高潔性、多様性、包括性、公平性の確保に取り組んでいる」と結んだ。

text:Sotaro.Arakawa

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