本日3月16日、今年で第115回を数えるミラノ〜サンレモが開催される。これが今季初戦かつ2連覇目指すマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)に対するのは、ストラーデビアンケ覇者のポガチャル。留目夕陽など出場選手とともにコースをプレビューします。



リグーリア海岸を沿いサンレモを目指す288km photo:CorVos

イタリアに春の訪れを告げ、今年のモニュメント(5大クラシック)初戦であるミラノ〜サンレモが、本日3月16日(土)に行われる。初開催が1907年まで遡る別名「ラ・プリマヴェーラ(春)」は今年で115回目。今大会の勝負が決するのはチプレッサかポッジオか、はたまた2019年以来となる集団スプリントに持ち込まれるのか。

出発地点となるのは大会初登場となるイタリア北部のロンバルディア州、ミラノ近郊のパヴィーア。そこから南下してリグーリア海岸を沿い、サンレモを目指す総距離は288km。昨年より6km短縮されたもののパレード区間を含めると総距離は300kmに迫る。


ミラノ〜サンレモ2024 コースプロフィール image:RCS Sport

スタートしてからロンバルディア平原を駆ける前半部は平坦路で、残り149.7kmのトゥルキーノ峠を越えるとリグーリア海沿岸に出る。選手たちの緊張感が徐々に増していくのは残り51.6kmから登場する「トレ・カーピ(3つの岬)」と呼ばれるカーポ・メーレ、カーポ・チェルヴォ、カーポ・ベルタの丘。そして残り27.3km地点からレース最大の勝負どころであるチプレッサ(距離5.65km/平均4.1%/最大9%)、そしてポッジオ(距離3.7km/平均3.7%/最大8%)が残り9.3km地点から登場する。

昨年はポッジオの頂上手前でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が仕掛け、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)らライバルを置き去りにした。2022年はマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)がその下りで勝負を決め、また2019年は小集団のスプリントで決するなど、多岐に渡る勝利のパターンがレースの魅力となっている。



ポガチャルがチプレッサから仕掛けるか?

ストラーデビアンケで独走勝利を決め、ミラノ〜サンレモ初制覇に臨むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

本命に挙げられるのはいまだ優勝経験はおろか、表彰台すら上がったことのないタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。その理由は元々の実力はもちろん、今季初戦となったストラーデビアンケ(3月2日)で81kmの独走勝利を見せたから。またその後の2週間はレースに出ることなくトレーニングでコンディションを高め、これ以上ない準備で初制覇を狙う。

UAEの監督であるホセアントニオ・フェルナンデス氏はインタビューで「ポガチャルがチプレッサを9分以下で登ることが鍵となる。2年前は9分30秒で27名が、昨年は9分50秒で70名が残った。今年9分以下で登ることができるのは20名以下だろう」と予想。ストラーデビアンケでは、ポガチャル本人がレース前に言及した地点で実際に仕掛けたこともあり、チプレッサでのポガチャルの動きに注目が集まる。

レース前の記者会見に出席したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

それに対し、2連覇を目指すファンデルプールはこれが今季初のロードレースとなる。そのため「調子はとても良く、スペインでとても厳しい練習を積んだものの、トップレベル(コンディション)に達するにはいくつかのレースを走る必要がある」と弱気なコメント。また「このレースに戦術はそれほど重要ではなく、全ての動きはポッジオで起こる。その前のチプレッサでポガチャルが高速登坂を見せるだろう。作戦?僕はそれについていくだけだ」と語っている。

また今季好調のマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)も優勝候補の1人。昨年、一昨年と2年連続で6位のピーダスンは「(チプレッサとポッジオでのアタックに食らいつき)僕とチームメイトの2人が入った少人数に絞られるのが理想的なシナリオだ」とスプリント決着を願う。

共に集団スプリントからの勝利を目指すオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)とマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

昨年3位のファンアールトが不出場の一方で、イネオス・グレナディアーズの中心は昨年2位のフィリッポ・ガンナ(イタリア)。若手ではマキシム・ファンヒルス(ベルギー)がロット・デスティニーのエースを務め、スプリントになればビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)も有力だ。

また、EFエデュケーション・イージーポストは前哨戦ミラノ〜トリノで独走勝利を決めたアルベルト・ベッティオル(イタリア)がエース。更に留目夕陽が自身初となるモニュメントに臨む。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos