距離137.8kmに獲得標高差3,400mの山岳が詰め込まれたイツリア・バスクカントリー第6ステージ。終盤にアタックしたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が総合優勝を飾り、追従したカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)が区間優勝に輝いた。



バスク一周最終日に臨んだ新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

ツール・ド・フランスに参戦予定のヴィンゲゴーとエヴェネプールが、第4ステージの落車により骨折など大怪我を負ったイツリア・バスクカントリー(UCIワールドツアー)。また前日にもミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)が右の鎖骨と肋骨を骨折し、怪我人続出のレースは最終日である第6ステージを迎えた。

山頂フィニッシュではないものの、バスク州エイバルを囲む山岳地帯を巡るクイーン(最難関)ステージは137.8kmの短距離決戦。コースに満遍なく設定された7つのカテゴリー山岳は総獲得標高差を3,400mまで上げ、1級山岳が3箇所と最終日に相応しいタフなレイアウトとなった。

逃げに乗り、山岳賞を手に入れたセップ・クス(アメリカ) photo:CorVos

総合リーダーであるマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)に対し、総合10位のジョルダン・ジュガット(フランス、トタルエネルジー)でも30秒差と僅差のなか、激しい総合争いが予想されたレースは現地時間午後2時にスタート。序盤からステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)ら14名が飛び出し、そこに遅れてチームメイトのセップ・クス(アメリカ)やバウケ・モレマ(オランダ、リドル・トレック)が合流した。

クスが順調に山岳ポイントを加算しながら、先頭集団は順調のカテゴリー山岳を越えていく。しかしバスク特有の急坂に逃げ集団の人数は絞られていき、それを3分差で追うメイン集団からマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)が一人飛び出した。

そのアタックをプロトンのペースを作るリドル・トレックは止めることはできず、ソレルは8名となった先頭集団にジョイン。その後、山岳賞ジャージを射止めたクスなどが先頭から脱落し、代わりにスケルモースや総合3位(4秒遅れ)のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)らも合流し、6名の精鋭集団が形成された。

精鋭集団から飛び出したアユソに、唯一ロドリゲスが追従した photo:CorVos

そして最終3級山岳に入り、残り16km地点でアユソが仕掛ける。そのスピードにスケルモースが遅れるなか、唯一カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)が反応。共にスペイン期待の若手クライマーである2人はスケルモースたちから40秒のリードを得ると、そのまま最終ストレートに突入した。

最後は総合優勝が事実上決まったアユソが、協力してくれたロドリゲスに勝利を譲るようにフィニッシュ。区間優勝を飾り、総合で2位にジャンプアップした23歳のロドリゲスは「もちろん総合優勝がしたかったが、今日のような難しい終盤で強かったアユソこそ相応しい。僕を信じ、サポートしてくれたチームに感謝したい」と喜ぶ。

地元スペインで勝利を飾ったカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

そして総合優勝に輝いたアユソは「素晴らしい。ワールドツアーのステージレースで初の総合優勝だ。しかもそれをバスクで掴むことができた。トレックに対し僕らはプレッシャーを掛け、チーム全体で掴むことのできた結果だ」とコメント。またこの後に予定しているアムステルゴールドレースについて「初めて臨むアルデンヌ・クラシックに向けて勢いがついた」と意気込みを語った。

イツリア・バスクカントリー2024総合表彰台:2位ロドリゲス、1位アユソ、3位スケルモース photo:CorVos

イツリア・バスクカントリー2024第6ステージ結果
1位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) 3:37:13
2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
3位 マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) +0:41
4位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)
5位 オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
6位 バウケ・モレマ(オランダ、リドル・トレック) +1:31
7位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
8位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) 1:33
10位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ) 1:41
個人総合成績
1位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) 15:56:50
2位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) +0:42
3位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:43
4位 マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) +1:23
5位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +1:46
6位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:48
7位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ) +2:15
8位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケアB&Bホテルズ) +2:38
9位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) +3:06
10位 アレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) +3:07
その他の特別賞
ポイント賞 アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター)
山岳賞 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
ヤングライダー賞 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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