ツアー・オブ・ジ・アルプス2日目に岡篤志と小石祐馬がエスケープ。190kmの山岳コースで強力な3名が逃げ切り、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)が独走勝利を挙げた。



澄み渡る好天に恵まれたアルプス2日目 photo:Tour of the Alps

アルプス山脈のイタリア側を駆け巡るツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)2日目は、一路渓谷に沿って標高を上げ、3級山岳と2級山岳を一つずつ越えてフィニッシュする190kmコース。標高200mから1300mまで登るものの、山岳難易度はそこまで高くない「ザ・逃げ向け」レイアウトだ。

5時間に迫る長い1日はチャンスを見出したパンチャー勢によるアタック合戦で幕を開け、やがて6名がエスケープを決める。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)にパトリック・ガンパー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、シモン・ペロー(スイス、チューダープロサイクリング)、昨年限りでジェイコを退団してチームが見つからなかったルーカス・ペストルベルガー(オーストリアナショナルチーム)に加え、JCLチーム右京からは岡篤志と小石祐馬がこの動きに飛び乗った。

逃げグループに加わった岡篤志と小石祐馬 photo:Tour of the Alps

逃げを見送り、穏やかな1日を過ごしたトビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ) photo:Tour of the Alps
地元のパネッテリア前をレースが通過する photo:Tour of the Alps



ガンパー、デマルキ、ペローが逃げる photo:Tour of the Alps

「ひたすら北上していくルートで、全部向かい風。しかも煽られてフラつくレベルの爆風向かい風」と岡が振り返る、少数の逃げには辛い状況。リーダーチームのイネオス・グレナディアーズは3〜4分差でコントロールしたものの、逃げグループを吸収する意図はなかった。

13kmオーバーの3級山岳で岡はドロップし、5名となった先頭グループからはまずガンパーがアタック。しかしやがて引き戻され、小石も脱落したのちに「勇気と自信を持って走り続けた」と言うデマルキが急勾配区間で抜け出しを図る。37歳のベテランクライマーが刻むハイペースに誰もついていくことができなかった。

残り17km地点から独走を開始したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) photo:Tour of the Alps

久々の勝利を挙げたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) photo:Tour of the Alps

「今この年齢で挙げた勝利はとても大切なもの」と言うアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) photo:Tour of the Alps

18kmに及ぶ独走を決めたデマルキが、2021年以来となる勝利を決めた。「もうすぐ38歳になろうというタイミング、しかも何年も勝利から遠ざかっていた今勝てて本当に嬉しい。この年でも自転車競技で勝てるという意味は大きい」と心境を話している。

メイン集団は1分47秒差でフィニッシュし、トビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ)はリーダージャージをキープ。逃げた小石は増田成幸や山本大喜と同じ集団でフィニッシュ。岡は残り60kmで単独になったものの、残り20kmで最後尾グループに追いついてフィニッシュに漕ぎ着けたという(本人ブログより)。
ツアー・オブ・ジ・アルプス2024第2ステージ結果
1位 アレッサンドロ・デマルキ(チームジェイコ・アルウラー) 4:47:37
2位 パトリック・ガンパー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1:20
3位 シモン・ペロー(スイス、チューダープロサイクリング) +1:24
4位 グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、モビスター) +1:47
5位 フアン・ボウ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
個人総合成績
1位 トビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ) 8:06:20
2位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:04
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:06
4位 ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:10
5位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:13
その他の特別賞
ポイント賞 アレッサンドロ・デマルキ(チームジェイコ・アルウラー)
山岳賞 マッティア・バイス(イタリア、ポルティ・コメタ)
ヤングライダー賞 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 チームジェイコ・アルウラー
text:So Isobe
photo:CorVos