東北関東大震災により、お亡くなりになられた方々には心よりお悔やみを、今もなお不安な気持ちでお過ごしの被災者の皆様には、謹んでお見舞いを申し上げます。
被害の拡大が最小限に留まり、一刻も早い復旧ができますよう、心からお祈り申し上げます。

シクロワイアードの運営について

この度の大震災により、様々な混乱が生じています。ここではまずシクロワイアードを取り巻く状況をご説明いたします。
3月11日に最初の地震が発生して以来、現在(3月16日)に至るまで、編集部においては人的・物質的被害・損害はほとんど出ておりません。したがって、シクロワイアードは平常どおりの更新と運営を続けています。

しかし現在、関東圏で実施されている計画停電により、サイトが閲覧できない地域や時間帯が、今後ある程度生じる可能性があります。また、福島県原発の事故も予断を許さない状況です。読者の皆様におかれましては、どうぞこれらの状況をご理解いただき、予めご了承下さいますようお願いいたします。


被災地への思いを胸に

甚大な被害の出た東北地方は、自転車スポーツにとってもかけがえのない地域です。ツール・ド・東北、ツール・ド・北海道などのレースが開催されてきた地域、各市町村も、多く被害を受けました。

壊滅的な被害を受けた陸前高田市は、2005年までの10年間にわたって「南三陸サイクルロード・りくぜんたかた」が開催されてきた土地です。陸前高田市が主催し、市をあげての歓迎のもと全国からホビーレーサーを迎え、美しい広田湾、広田半島の一般公道を舞台に開催されたレースは、三陸ならではのサンマをはじめとした海産物や地元でつくられる日本酒を振舞ってくれる前夜祭のおもてなし、そしてレース中に大漁旗を振って応援してくれる沿道の方々の暖かなホスピタリティーなどで、市民レーサーから絶大な支持を受けた人気大会でした。このレースでロードレースの楽しさ、醍醐味を知ったという人も多いはずです。

被災地の皆様の今後のご無事と復興を祈願せずにはおられません。今一度改めまして、被災地の皆様にお悔やみ、お見舞いを、心より申し上げます。


自転車イベントの主催者の皆様へ 自転車界から元気の発信を

震災の影響で、開催の中止を決定した自転車イベントが相次いでいます。主催者の皆さんが苦悩の末に下された判断は十分理解できます。一方で、開催に踏み切った大会もあります。

この状況下のイベント開催に、「不謹慎だ」「自粛すべき」という声が出ることは容易に想像できます。福島県の原子力発電所の事故も予断を許さない状況で、今後のレースやイベント開催がますます危ぶまれることが予想されます。

被災地から遠く離れた地域においてのイベント開催の是非が再検討されているケースが増えています。しかし、開催を迷っておられる主催者の方々におかれましては、支障がないのであれば、ぜひ開催への努力を続けていただきたいと思います。

スポーツは人を元気にしてくれます。スポーツをする人、みる人に元気を与えてくれます。この状況下でスポーツや趣味を楽しむことへの「後ろめたさ」を感じる人もいるでしょう。しかし、被災地の人々を励ますにも、励ます側が元気で健康あることが必要です。今、非被災地の方ができることは、被災地への思いを胸に、日常生活における営みを、今以上に精いっぱい続けること。そして、活力ある生活を送っているからこそ可能になる支援を、被災地に適切に送ることです。気持ちを強く持って頑張りましょう。

我々一般の市民ができる適切な支援とは、今のところ、直接的な行動でなく、支援団体へ金銭的な寄付を行うことが、適切かつ効果的な方法のようです。

自転車レース大会や関連イベント主催者の方々におかれましては、支障なく大会が開催できる状況であるなら、ぜひ開催していただき、そのなかで出来ることを考えて欲しいと思います。すでに開催された大会で報告を受けた例においても、大会として義損金を募ったり、チャリティーオークションを併催するなどして、参加者たちの心をカタチとして被災地へと届ける一工夫を加えたりするのは一案です。

自転車スポーツやイベントを通じて、参加者たちが心をひとつにし、被災地への思いや支援を届けることができるなら、素晴らしいことだと思います。


ペダルを回すように経済を回そう

震災によって今後の日本経済も悪化することが懸念されています。自転車スポーツを取り巻く経済という観点でみた場合でも、それは同じことでしょう。とくにすべてが趣味に通じる自転車スポーツの場合、消費することや楽しむことを「慎むべき」という気持ちになりがちです。しかし、日常の営みを慎むのではなく、普段どうり精いっぱい送ることで「経済を回す」ことは、被災地への支援を継続的に送るためにも必要なことです。復興への道は間違いなく長いものになります。息切れしないためにも、長い目でみた活動、生活を続けましょう。


不慣れな自転車通勤者にできるサポートを

鉄道などの交通機関が麻痺することで、職場や学校まで自転車通勤をする人が増えています。普段自転車とは無縁の人々が、慣れない自転車に乗って走っていることへの危険性を危惧する声が聞こえています。サイクリストの皆さんにおかれましては、自転車に乗ることの上級者として、安全な走り方、ライトや反射板などの安全装備など、ソフト面とハード面について、教えてあげられることは多いはずです。職場で、学校で、不慣れな方のお手本となって、アドバイスとサポートをお願いします。
なお、有志によるtwitter上の自転車通勤に関するアドバイスをまとめたtogetterは、
こちら→( http://togetter.com/li/111471 )にあります。ご参考にしてください。


未曽有の震災という難しい状況下ではありますが、皆様におかれましては、どうぞご自身のご健康と安全に留意しつつ、被災者・被災地への思いを胸に抱きつつ、各自が出来ることを、精一杯に行っていきましょう。

3月16日 綾野 真 / シクロワイアード編集部