ミラノ〜サンレモに出場予定だったファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ所属のパトリック・シンケウィッツ(ドイツ)にドーピング容疑が浮上した。2月に行なわれたドーピング検査で、自転車競技界では新種となるヒト成長ホルモン(HGH)陽性が発覚。シンケウィッツは暫定的に出場停止状態に置かれている。

パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ) photo:Riccardo ScanferlaUCI(国際自転車競技連合)のプレスリリースによると、2月27日にスイスで開催されたGPルガーノでのドーピング検査で、シンケウィッツの血液サンプルからヒト成長ホルモンの陽性反応が検出された。検査を行なったのはスイス・ローザンヌにあるWADA(世界アンチドーピング機構)承認の検査機関。

ヒト成長ホルモンは一般に筋肉増強や回復力アップを目的に使用される。他のスポーツ競技ではすでに陽性者が出ているが、陽性が出た自転車選手はシンケウィッツが初めて。今回のヒト成長ホルモン陽性は、アンチドーピング運動における大きな一歩であるとUCIは強調している。

パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ) photo:Riccardo Scanferla2001年にマペイチームでプロデビューし、クイックステップ時代の2004年にジャパンカップ制覇を成し遂げているシンケウィッツ。しかしTモバイルに移籍後、2007年ツール・ド・フランス期間中のドーピング検査でテストステロンの陽性が発覚する。Bサンプルの陽性によりチームを解雇されたシンケウィッツは同年11月にEPO(エリスロポエチン)の使用と血液ドーピングを告白した。

1年間の出場停止期間を経て2009年にチェコのPSKウィールプールで復帰し、2010年からISD・ネーリ(現ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)に所属。昨年ジロ・デッラ・ロマーニャで優勝を飾っている。

シンケウィッツはBサンプルの再検査を要請する権利を有しており、今後ドイツ自転車競技連盟が聴聞会を開く予定。仮にBサンプルからも同様に陽性反応が検出された場合、シンケウィッツは恒久的な出場停止処分を受ける可能性が高い。

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla

最新ニュース(全ジャンル)