7月18日(土)から20日(月)の3日間、富士見パノラマで行われた第22回全日本マウンテンバイク選手権大会。男子XCは北京五輪出場の山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)が2位に7分の大差をつけて圧勝。女子も盤石のレースで片山梨絵(SPECIALIZED)が6連覇を果たした。4X、DHとあわせて3日間の戦いを振り返る。

平野星矢( BIKERANCH)平野星矢( BIKERANCH) photo:Akihiro.NAKAO18日のDHIは午前中の予選は雨、最悪のコースコンディションの中、井手川直樹(EVIL/SUNSPI.com)が唯一3分5秒台を切る3:02.442のタイムでトップ。後は向原健司(Team Ikuzawa)、永田隼也(FFC/INTENSE)、安達靖(Team Ikuzawa)、金子真吾(TRANSITION)と続く。午後の決勝は雨が上がったもののコースコンディションはさらに悪化した模様でタイムは伸びない。金子が暫定トップに立ち安達は大きく遅れ、向原がトップを奪い最後の井手川は3番手止まり。これにより向原が全日本初優勝を達成した。女子は海外を主戦場とする末政美緒(FUNFANCY/INTENSE)が10連覇を達成した。

2年ぶりに開催された4Xは19日午後から行われ、断続的に雨が降りとても滑り易いコンディション。優勝候補の栗瀬裕太(QUAMEN BIKES)が1/4Finalsで転倒して姿を消してしまう。永田隼也(FFC/INTENSE)も途中のトーナメントで転倒するものの挽回して勝ち残り、見事優勝。女子は末政美緒(FUNFANCY/INTENSE)が2冠を達成した。
片山梨絵(SPECIALIZED)片山梨絵(SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAO


20日のXCO男子の注目は、ここ10年間XCレースを牽引し、自身のブログで今回の全日本での引退を表明した竹谷賢二(SPECIALIZED)だ。今季Jシリーズでは上位をキープしており、引退を優勝で飾ると発言している。
対するは昨年の優勝者、北京五輪出場の山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)はフランスでの海外遠征から帰国したばかりで今季は初めての直接対決。同じく山本幸平と遠征し、一足先に帰国して竹谷と1勝1敗の辻浦圭一(チームブリヂストン アンカー)、久々にレース復帰して5月のJ1富士見で3位の武井亨介(FORZA・フォルツァ!)、今年からエリートの小野寺健(SUBARU GARYFISHER)。他に幸平の兄の山本和弘(キャノンデール・ファクトリーレーシング)、門田基志(TEAM GIANT)が注目どころ。
中込由香里(SY-Nak SPECIALIZED)中込由香里(SY-Nak SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAO

コースは4kmの周回を男子は6周、緩急のある傾斜を何回も登らされる設定で、下りのシングルトラックも難易度は高い。当日は晴れたものの2間日の雨で路面は粘土質の部分も多く選手を苦しめる。
定刻2時にスタート、いきなり山本幸平が後続を突き放しにかかる。それを小野寺、竹谷、辻浦が追う。コースの難所であるリフトの下の登りでも山本幸平はぐいぐい登り、1周目は15分を切って回る。その後もドロップオフを躊躇無く攻め3周目で後続を1分以上離す。あまりの速いペースに小野寺、竹谷、辻浦、武井、松本駿(TREK)、山本和弘、斉藤亮(Team corratec)、門田、江下健太郎(Teamモトクロス/Salsa)以外はついて来れず、エキスパートレベルの参加者から2周目で続々80%ルールの関門で降ろされてしまう。
スタートすぐに山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)を先頭にして登るスタートすぐに山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)を先頭にして登る photo:Akihiro.NAKAO

山本幸平のペースは衰えず周回を追う毎に1分近く差が開く。4周目に2番手の小野寺がパンクでリタイア。3番手の辻浦のペースが落ちて竹谷が前に出るものの挽回は不可能の差に。観客の興味は山本幸平はどれだけ差を開けるのか、完走者は何名かに絞られた。
山本幸平は最終周回に入ってもペースは落ちず、両手を広げ堂々とゴール。昨年に続き全日本2連覇を達成。山本幸平がカメラの砲列を浴びている内にやっと竹谷がコースの半分の地点のゲレンデ最上部に見えた。7分の差を開けて2位に竹谷、その後2分遅れで3位に辻浦をパスして武井が入った。
竹谷賢二(SPECIALIZED)竹谷賢二(SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAO
結局84名中完走9名しか残らず、世界を相手に戦う山本幸平の強さだけを印象づけた。竹谷は後の完走者を迎え、ファンから胴上げされレースを終えた。

表彰式での山本幸平は「優勝は必ずして、2位に5分以上の差をつけるのが目標でした。目標は達成できたので自分を少しだけ褒めて世界戦に向けて練習します。世界戦は20番以内を目指します。皆さんの応援よろしくお願いします」と語る。

表彰後は竹谷賢二(SPECIALIZED)の引退セレモニーが行われ、多くの人からコメントが寄せられた。最後は盛大にビールかけと胴上げて送り出した。
武井亨介(FORZA・フォルツァ!)武井亨介(FORZA・フォルツァ!) photo:Akihiro.NAKAO


女子XCOは4周回で行われ盤石のレースで片山梨絵(SPECIALIZED)が6連覇。2位中込由香里(SY-NakSPECIALIZED)、3位矢沢みつみ(Team corratec)、4位に96年アトランタ五輪MTB代表・MTBの女王と称された小林可奈子(MTBクラブ安曇野)が8年ぶりレースに登場して話題に。

U23は5周回で行われ平野星矢(BIKERANCH)が竹之内悠(TREK)を大きく離して初優勝。3位に合田啓祐(Teamクルーズ)入った。
中央ゲレンデを登る山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)中央ゲレンデを登る山本幸平(チームブリヂストン・アンカー) photo:Akihiro.NAKAO


結果
XCOシニアエリート男子
1位 山本 幸平(チームブリヂストン・アンカー)1:35:17.03
2位 竹谷 賢二(SPECIALIZED)+7:14.97
3位 武井 亨介(FORZA・フォルツァ! )+9:32.71
4位 辻浦 圭一(チームブリヂストン・アンカー)+10:57.03
5位 山本 和弘(キャノンデール・ファクトリーレーシング)+11:17.77
6位 斉藤 亮(Team corratec)+11:48.43
7位 門田 基志(TEAM GIANT)+12:54.91
8位 松本 駿(TREK)+13:20.97
9位 江下 健太郎(Teamモトクロス/Salsa)+15:22.16
10位 千田 尚孝(KHS JAPAN)-1 Lap
ゴール後ポーズをとって喜びをアピールする山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)ゴール後ポーズをとって喜びをアピールする山本幸平(チームブリヂストン・アンカー) photo:Akihiro.NAKAO

XCO女子
1位 片山梨絵(SPECIALIZED)1:21:46.84
2位 中込由香里(SY-Nak SPECIALIZED)+3:45.99
3位 矢沢みつみ(Team corratec)+9:50.62
4位 小林可奈子(MTBクラブ安曇野)+10:31.55
5位 田近郁美(GOD HILL)+11:23.39

XCOU-23
1位 平野星矢(BIKERANCH)1:24:18.40
2位 竹之内悠(TREK)+2:58.53
3位 合田啓祐(Teamクルーズ)+10:32.80
4位 鈴木禄徳(学習院大学・Can)+10:51.72
5位 伊澤優大(岩井商会レーシング)+11:18.35
竹谷賢二(SPECIALIZED)のセレモニーで最後はビールかけのサプライズ竹谷賢二(SPECIALIZED)のセレモニーで最後はビールかけのサプライズ photo:Akihiro.NAKAO

DHI男子
1位 向原健司(Team Ikuzawa)3:07.457
2位 金子真吾(TRANSITION)+0.698
3位 井手川直樹(EVIL/SUNSPI.com)+0.803
4位 青木卓也(TEAM GIANT)+1.133
5位 門脇祥(ARIGERRacingFact)+1.516

DHI女子
1位 末政実緒(FUNFANCY/INTENSE)3:31.357
2位 飯塚朋子(Team corratec)+23.383
3位 富田敬子(ZONE/nu style)+30.574
4位 中川ヒロカ(RINGOROARD/TRY-J)+32.540
5位 尾芦資子(風魔吉祥寺)+55.996

4X男子
1位 永田隼也(FFC/INTENSE)42.356
2位 増田直樹(un authorized products)44.408
3位 和田良平(RINGOROAD.com)45.595
4位 高松健二(INZIST BICYCLE)45.119

4X女子
1位 末政実緒(FUNFANCY/INTENSE)47.927
2位 飯塚朋子(Team corratec)49.768
3位 安達勅実(guavajelly)51.279


photo&text:中尾亮弘

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