アメリカのマキシスが送り出した、最高級レーシングチューブラータイヤ「Campione(カンピオーネ)」のインプレッションを行った。同社2作目というロード用チューブラーは、接着時の硬い印象を裏切るハイスペックぶりを味わわせてくれた。


マキシス Campioneマキシス Campione photo:So.Isobe
イタリア語で「勝者」という名を冠した、マキシス2作目のチューブラータイヤCampione(カンピオーネ)。高い真円度や上質な乗り味が実現可能なシームレスケーシング構造を前作「FORZA」より引き継ぎながら、トリプルコンパウンド化によってレーシング性能の向上を図ったことが特長だ。

「トリプルコンパウンド」が意味する通り、カンピオーネにはセンターに高弾性コンパウンドを、サイドに低弾性コンパウンドを配し、その間には中弾性コンパウンドを挟んだ「3Cシステム」が採用されている。これによって転がり抵抗の軽減とコーナリンググリップという相反する性能を同時に向上させ、かつ超寿命化にも成功しているという。トレッド面はセンターが微妙に突起のあるスリックで、サイド部分は杉目だ。

トリプルコンパウンドを表す「3C」ロゴトリプルコンパウンドを表す「3C」ロゴ ケーシングはシームレス構造を採用しているケーシングはシームレス構造を採用している


シームレス構造のケーシングは、各社のハイエンドモデルと比較すると低めの120TPIだ。柔軟性に優れるケブラー製耐パンクベルト「K2」をトレッドとの間に挿入することで、しなやかな乗り心地と耐久性を両立している。内包されるインナーチューブには空気の抜けが緩やかなブチルチューブを採用し、日常的な使用にも対応する。リムとの接着面にはコットンとポリウレタン、ナイロンの混紡素材を配し、リムセメントでの貼り付けもスムーズに行えるよう配慮されている。

今回のインプレッションでは、空気圧を7~10barの範囲で変更しながらテストを行った。組みつけ時の硬さ、120TPIという高くない繊維密度から大味な乗り心地を予想していたが、良い意味で予想を裏切られることになる。



—インプレッション

まずは貼り付け作業から。箱から取り出した際にはホイールよりも一回り小さく、エアを入れて放置するとある程度膨らんでくる。嵌め込みに苦労するほど硬く驚いたが、仮組して空転させるとケーシング精度や断面均一度がかなり高そうに見えた。この精度はクリンチャー並みだろうか。この高い製品精度を生かす為にもセンター出しはしっかりと慎重に行いたいところだ。

「しっかりしたコシがありながらも、しなやかさも息づいたレーシングタイヤ」「しっかりしたコシがありながらも、しなやかさも息づいたレーシングタイヤ」
まず特筆すべきは、転がり性能が抜群に良いことだろう。おそらくケーシングの製造精度の高さ(=形状のヨレが少ないこと)によるものだが、空気圧に関係無く路面抵抗は低い。空気圧のスイートスポットは狭いが、巧く見つけ出した時はタイヤの剛性感、グリップ感、乗り心地も含めて非常にバランス良く、かつレベルも高い。

ブラックサイドは引き締まった印象。ロゴも主張しすぎていないブラックサイドは引き締まった印象。ロゴも主張しすぎていない コンパウンド自体が路面を捉え、それをトレッドパターンが補っている印象を受けたコンパウンド自体が路面を捉え、それをトレッドパターンが補っている印象を受けた 空気圧を7bar~10barの間で1/2barずつ変更しながら試乗したが、空気圧によって印象がかなり異なる。個人的には(178cm,68kg)、グリップ感、転がり、乗り心地の最良のバランスポイントは7.5barという低め設定が最も心地良く感じた。手間こそ掛かるが、少しずつ空気圧を変更していけば「スイートスポット」が見つかるはず。空気圧を細かく管理することで存分のパフォーマンスを味わえるだろう。

乗り心地にはチューブラーならではのしなやかさが現れる。嵌め込み作業の硬さからコツコツするかと思いきや、振動吸収性能も素晴らしい。ヴィットリアのコルサCXを常用しているが、それとは違い、「ケーシング剛性が高くもしなやか」という印象だ。タイヤの外周部で振動を吸収し、内周部にはしっかりしたコシを感じる。

グリップ感にも不安を覚える事は無い。一般的なチューブラータイヤ独特のタイヤ全体の変形による安心感(しなやかさ)とは異なり、コンパウンド自体が路面を捉え、それをトレッドパターンが補っている印象を受けた。絶対的なグリップは高い一方で限界を伝える挙動は少なく、ブレイクした後の回復は難しいかもしれない。

コーナリングでは、一瞬オーバーステアに感じるほどフロントがスッと入る。立ち(タイヤが起き上がろうとする力)は強くも弱くもなく、とても素直でクリンチャーに近い。この操舵感はクリテリウムなどで武器となるはずだ。

他ブランドの最高級タイヤでは繊維密度300TPIを超えてくるが、このカンピオーネに関しては120TPIと低いことが当初の疑問だった。しかしこれは、しなやかさとコシという相反する要素を満たす上で、あえての選択だったのではないだろうか。センターとサイドではコンパウンドを変えてあるそうだが、この独特のグリップ感は、高いケーシング剛性に由来しているのだろう。

総合的な乗り味はチューブレスに近い。しっかりめのチューブラーもしくはしなやかなクリンチャーというあたりだろうか。マキシスのチューブラータイヤとしては2作目だというが、その完成度や、従来とは異なる性能へのアプローチに面白さを感じた。チューブラータイヤ独特のしなやかさ、フワフワした感じを苦手に感じる方(特に体重のある方だろうか?)には是非試して欲しいと思う。



マキシス Campione
サイズ: 28"×23c
コンパウンド:3Cトリプルコンパウンド
ケーシング:シームレス構造、120TPI
耐パンクベルト:K2(ケブラー製)
ビード:フォルダブル
重 量:285g
最高空気圧:170psi
価 格:13,650円(税込)

text:Kenji.Degawa
photo:So.Isobe


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