サイクルモード2日目の最後を締めくくるブース紹介第7弾は、アルゴン18の新作に注目集まるインターマックス、山岳軽量マシン785HUEZが存在感を放つルック、アイディアあふれるプロダクト目白押しの東京サンエス、そしてまさかの自家用風洞実験施設を開発した日本風洞製作所のレポートをお届けします。



インターマックス:アルゴン18にお洒落な末弟モデルが登場 スパカズの本格展開も開始

多くのブランドを扱うインターマックスブース多くのブランドを扱うインターマックスブース
クォータの2018年モデルが一堂に会するクォータの2018年モデルが一堂に会する デダチャイの新フレームも展示されたデダチャイの新フレームも展示された


クォータやアルゴン18といったバイクブランドに加え、スラムのロード用コンポーネント、METやカステリといったアパレルなど幅広いラインアップを取りそろえるインターマックス。多くのブランドを取り扱う中でもやはり最も目立っているのは、アスタナの活躍を支えるバイクブランド、アルゴン18だろう。

今年は、トップモデルである GALLIUM PROがフルモデルチェンジを果たし、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)の活躍を支えていたのは記憶に新しいところだろう。一方で、エントリーモデルに新たなバイクが追加されたことがこのサイクルモードで発表された。”GO”と名付けられたこのバイク、フルカーボンバイクでありながらフレームセットで118,000円とかなりリーズナブルな価格が魅力的な一台だ。

アルゴン18の新作GOアルゴン18の新作GO
メットの新作TRENTAメットの新作TRENTA TRENTAのインナーシェルの構造がよくわかる展示TRENTAのインナーシェルの構造がよくわかる展示


とはいえ、まったく粗さは感じさせず、ワールドチームをサポートするブランドらしい上質な仕上がりを見せている。トップチューブにはARGON18と遊び心のあるレターが入れられ、カラーリングもライトグリーンとブラックのツートンでお洒落にまとまる。さらに、ブランドアイデンティティーである3Dヘッドチューブも搭載しているので、ハンドルポジションを高めに取りたい初心者ライダーにとっては、この上なくもってこいな一台として完成している。

プロロゴではサドルフィッティングシステムの実演も行われ、自分にあったサドルをシステマチックに選んでもらうことも。新作のショートノーズサドル、ディメンションも実物がお披露目され、熱い視線を浴びていた。ヘルメットブランドのMETでは、最新型のオールラウンドヘルメットTrentaの展示も。インナーフレームに3Kカーボンを使用したハイエンドモデルのカットサンプルなども展示され、注目を集めていたようだ。

プロロゴのブースではサドルフィッティング体験もできるプロロゴのブースではサドルフィッティング体験もできる
ジップの各ホイールが並ぶジップの各ホイールが並ぶ カラフルにレイアウトされたスパカズカラフルにレイアウトされたスパカズ


新モデルを一気に発表したデダチャイストラーダや、チームスカイをサポートするカステリ、カラフルなバーテープやボトルケージを展開するスパカズ、エントリーグレードのフロントシングルコンポーネント・APEX1を発表したスラムなど、まだまだ注目プロダクトがたくさん集まっているインターマックスブース、ぜひ足を運んでみては?きっと新しい発見があるはずだ。



ルック:ヒルクライムマシン785Huezがずらり 新作ペダルの展示も

まばゆい光を放つルックブースまばゆい光を放つルックブース
モンドリアンカラーのジャージとフレーム 統一すればカッコよさ間違いなしモンドリアンカラーのジャージとフレーム 統一すればカッコよさ間違いなし モンドリアンカラーに塗られたゼッド3クランクモンドリアンカラーに塗られたゼッド3クランク


ローラン・ピションの785HuezRSが展示されたローラン・ピションの785HuezRSが展示された
カーボンフレームのパイオニアとしても知られるフレンチバイクブランド、ルック。今年の目玉はもちろん、夏に発表されたヒルクライム用軽量バイク、785Huezだろう。全面発光の壁面に囲まれたブースには、珠玉のルックバイクたちがぎっしり。ファンにとってはたまらない垂涎の空間となっている。

ブースにはローラン・ピション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)がツール・ド・フランスで駆った785HuezRSの実車も置かれ、プロバイクらしいオーラを全開に。785のほかにも、795や765、695といったロードバイクラインアップに加え、トラックフレームやMTBフレームなどなかなかお目にかかれないようなフレームも展示されている。

トラックやMTBフレームも展示されるトラックやMTBフレームも展示される
新しくなったKeo Blade CARBON新しくなったKeo Blade CARBON 新作のMTBペダル X-TRACK新作のMTBペダル X-TRACK


また、ルックといえばビンディングペダルのパイオニアでもある。ロードバイク用のKEOシリーズは、踏み面が広くなり、更なる安定感を増すアップデートが施されている。そして、新作となるオフロードモデルX-TRACKシリーズも登場。シマノSPDとクリートの互換性を持つこのシリーズは、最高の防水性能を実現するために設計されたという。

ベアリングをできるだけ奥に配置することで、浸水を防止する構造とし、耐久性を向上させているという。ボディおよびアクスルの素材ごとにグレードが分けられており、もっとも安価なアルミボディのX TRACKは6,500円とかなり手頃な価格。一味違うペダルを考えている方にはぴったりかも。



東京サンエス:ギュッとつまったブースにアイディア溢れる製品が盛りだくさん

ユニークなパーツがたくさん集まる東京サンエスユニークなパーツがたくさん集まる東京サンエス
試作中のスルーアクスルスチールモデルも展示されていた試作中のスルーアクスルスチールモデルも展示されていた グランジ・レンジャーバー 辻浦圭一氏プロデュースのMTB用ハンドルで13度のバックスウィープが自然な手首の角度を生み出す設計グランジ・レンジャーバー 辻浦圭一氏プロデュースのMTB用ハンドルで13度のバックスウィープが自然な手首の角度を生み出す設計


痒い所に手が届く、というパーツはたくさんあるだろうけど、知らなかった痒みに気付かせてくれるようなパーツをこれでもか!とばかりにリリースしているのがこの東京サンエス。自転車乗りならではの目線(相当ディープな)で開発された珠玉のパーツたちは世の中の自転車乗りたちを「あ、こんなパーツを自分は探していたんだ!」と納得させてくれるものばかり。

そんな東京サンエスだが今年もユニークな新製品が目白押しだ。大きなところから紹介すると、アルミ鍛造中空アームを採用したダイレクトマウント方式のクランク、ジェイ・クランクが新登場。同社がこれまでラインアップしてきたラ・クランクと同様に、Qファクターを最低限に抑えることで骨盤の小さなライダーでも踏みやすい設計となっている。インナーアウターが一体成型されたチェーンリングはアルミ削り出し。51×35T、49×33T、47×31Tという絶妙な歯数設定で、ツーリングやロングライドにもってこいのクランクに仕上がっている。

ダイレクトマウント式のクランク、ジェイクランクが登場ダイレクトマウント式のクランク、ジェイクランクが登場 ラ・クランクに追加された新サイズ130mm・34×24T 「限界に挑戦したかったんです」とは東京サンエスの開発担当・上司さんの言葉ラ・クランクに追加された新サイズ130mm・34×24T 「限界に挑戦したかったんです」とは東京サンエスの開発担当・上司さんの言葉

上がスーパーアグリー、下がグランモンローSLだ上がスーパーアグリー、下がグランモンローSLだ
また、得意とするコックピット周りにも新作がいくつも登場。ショートリーチハンドルブームの嚆矢ともいえるジェイカーボンシリーズにグランモンローSL、スーパーアグリーという二つの完全新作が投入された。グランモンローSLはその名の通り、グランモンローのアップデートバージョン。基本的な形状は受け継ぎつつ、軽量化を果たすと同時に、ドロップ部分の外側を削ぎ落としたようなデザインでグリップ感を高めている。

スーパーアグリーは辻浦圭一氏がプロデュースしたシャローハンドル。トラディショナルなカーブを持ちつつも、Fit Zoneテクノロジーによってブラケット下の空間を広げることで握りやすさを向上している。上ハンドルは4mmのバックスウィープを持ち、メリハリのあるポジションを可能としている他、東京サンエスが今季から投入する振動減衰テクノロジー「VDS」を搭載することで、快適な乗り味を実現しているという。

ドロップ部の外側が削ぎ落とされたかのようなグランモンローSLドロップ部の外側が削ぎ落とされたかのようなグランモンローSL 振動吸収機構「VDS」を搭載したパーツたち振動吸収機構「VDS」を搭載したパーツたち

VDSを搭載した印のシールが貼付されるVDSを搭載した印のシールが貼付される DHハンドルの突き出しを稼ぐために生まれたロングリーチハンドル、エストライバーDHハンドルの突き出しを稼ぐために生まれたロングリーチハンドル、エストライバー

自然にハンドルを下げることのできるスージーステムのカーボンモデルもお披露目された自然にハンドルを下げることのできるスージーステムのカーボンモデルもお披露目された しっかり座りつつ、太ももの摩擦が少ないエストライサドルしっかり座りつつ、太ももの摩擦が少ないエストライサドル


VDSとはカーボンシートの間に振動を抑制する効果のあるシートをインサートすることで振動の伝わる速度を落とし、負担を和らげるというもの。このテクノロジーを搭載したスーパーアグリーとネクストVDSの2つのハンドル、クロスベンドディスクフォークのスルーアクスルモデル、カーボンムンクVDSシートポストと4つのパーツを展開することも大きな動きだろう。

他にも、ハンドルを自然に下げることができるスージーステムのカーボンモデルが登場したり、ラ・クランクに130mm、34×24Tという極小サイズが追加されたり、辻善光氏のアイディアから生まれたトライアスロン用ロングリーチドロップバー”エストライバー”が発表されたり、新しいアルミディスクCXバイクのJFF♯805がアウトドアバイクデモにて試乗可能であったり、ここでは書き尽くせないほどの面白いパーツ、そしてエピソードが東京サンエスブースにあるので、明日の最終日、ぜひ足を運んで欲しい。



日本風洞製作所:世界初の自宅用風洞実験設備が登場 レンタルサービスの展開も

世界最小の風洞施設を作り出した日本風洞製作所世界最小の風洞施設を作り出した日本風洞製作所
今回のサイクルモードで最も異彩を放ち、かつ自転車ギークからの注目を集めていたのはこの日本風洞製作所で間違いないだろう。何せ、本格的な風洞施設をコンパクトにまとめ上げ、ちょっと広めの個人宅になら設置できそうな大きさのキットへと落とし込んだのだから。

真剣に購入を検討するような表情の来場者の姿も真剣に購入を検討するような表情の来場者の姿も もちろん、ただ風を起こすだけではなく、しっかりと空気抵抗の値を計測することができるように専用のセンサーが用意されている。ペダルを漕ぎながら空気抵抗を測定する動的乗車モード、ペダルをこがずにより高精度なデータを取得する静的乗車モード、機材単体で非常に高精度なデータを取得する非乗車モードの3つが用意され、用途に応じて使い分けることもできるのだとか。

開発者のローン・ジョシュアさんは、九州大学で風力発電の研究を続けてくる中で日常的に風洞と過ごしてきたことと、自身がサイクリストであることから、このアイディアを思いついたのだという。気になる価格は325万円だが、プロショップやトレーニングジム向けに基本無料のリースプログラムを始める予定もある。利用者に応じたロイヤリティが必要になるが、大体1時間で5千円程度になるだろう、とのこと。これまで一部のトップ選手やメーカーの特権であった風洞実験を自分も受けられるのであれば、圧倒的なバーゲンプライスだと感じる人も多いのではないだろうか。ぜひ今後の展開に注視していきたいブランドだ。

text&photo:Naoki.YASUOKA

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