契約期間半ばでのチームDSM退団が報道されていた2018年ストラーデ・ビアンケ覇者ティシュ・ベノート(ベルギー)が、ユンボ・ヴィスマに移籍することが発表された。ファンアールトを中心としたクラシックでの補強戦力として期待される。



今年は主要クラシックやツール・ド・フランスに出場したティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM)今年は主要クラシックやツール・ド・フランスに出場したティシュ・ベノート(ベルギー、チームDSM) (c)CorVos
「自分の能力が限界に達したとは思っていない。ここ数年ユンボ・ヴィスマに魅力を感じ、ここならばもう一段階成長できると思った。ユンボ・ヴィスマにいる何人かとは仲が良く、チームのやり方についても聞いていた。このチームが実行するプロフェッショナルな働き方に魅力を感じたんだ」と、べノートはユンボ・ヴィスマを選んだ理由について語った。

2018年のストラーデ・ビアンケを制したべノートは、2020年にチームDSM(当時サンウェブ)に加入。昨年8月にはチームと2022年末までの契約延長を発表したものの、双方での話し合い結果、契約途中での離脱となった。

チームDSMはべノートの退団について「彼が見せてくれた素晴らしい走りにチームDSMはとても感謝している」と労いながらも、「2021年シーズンを通してべノートが責任を果たせず、それがレース内外のパフォーマンスに反映されてしまった。そのため選手とスタッフの良好な関係を維持するためには、べノートとの契約を解除するのが最善であるという結論に至った」と説明。また、同チームからは21歳のイラン・ファンワイルダー(ベルギー)も契約期間中である11月18日付けでドゥクーニンク・クイックステップに移籍している。

ツールでは勝利こそなかったものの積極的な走りが目立っていたティシュ・ベノート (ベルギー、チームDSM)ツールでは勝利こそなかったものの積極的な走りが目立っていたティシュ・ベノート (ベルギー、チームDSM) photo:Kei Tsuji
昨年はステージレーサーへの転向も語っていた27歳のべノート。だがユンボ・ヴィスマでの役割はあくまでもクラシックだとメーリン・ゼーマン監督は語る。「ステージレースはもちろん、ティシュの加入はワウト・ファンアールトを中心としたクラシック組の強化に繋がる。彼は献身性と向上心のある選手で、新しいアイディアと革新にも寛容な選手だ。お互いに信頼関係を構築し、共に良い計画を立てていきたい」。

またゼーマン監督はべノート獲得について「彼についてはここ数年の間、ずっと補強リストに挙がっていた選手だ。選手としてだけではなく、彼の素晴らしい人間性が我がチームをあらゆる面でレベルアップさせてくれるだろう」とコメント。一方のべノートは「ビッグレースの決定的な場面でエースのために、そして機会があれば自分自身の結果のために役割を果たしたい」と、来年に向けた意欲を語った。

text:Sotaro.Arakawa