イネオス・グレナディアーズが2018年ツール・ド・フランス覇者ゲラント・トーマス(イギリス)との契約延長を発表。期間は2023年末までの2年間で、トーマスは「来季はアルデンヌクラシックとツールを走りたい」と語っている。



移籍が度々噂されるも残留を決断したゲラント・トーマス(イギリス)移籍が度々噂されるも残留を決断したゲラント・トーマス(イギリス) photo:CorVos
今年10月のインタビューでトーマス自身が「(契約更新は)ほぼ合意に達している」と答えていた通り、イネオス・グレナディアーズがトーマスとの契約更新を発表した。

「まだまだ厳しいレースとトレーニングをするモチベーションに溢れている。自分を追い込むことが好きだし、楽しんで自転車に乗れている。プロ選手としての終わりが見えてきたいま、一瞬一瞬を大切にして充実した毎日を送りたい」と、トーマスはチームが公開したインタビュー動画で話した。

「キャリア終盤に差し掛かった今後の数年間を、このチームで過ごすことにワクワクしている。ここが楽しんで走れる環境だということが(契約更新した)一番の理由だ。多くの人が気になっている僕の役割については、引き続き自分自身の勝利を目指しながらもチームの勝利のために、そして最高の仲間たちとレースを楽しみたい。もちろんその為には僕自身が最高の状態でなければらないけどね」。

今年クリテリウム・デュ・ドーフィネで3年振りのステージ勝利を飾ったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)今年クリテリウム・デュ・ドーフィネで3年振りのステージ勝利を飾ったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
今年4月のツール・ド・ロマンディでは総合優勝も果たした今年4月のツール・ド・ロマンディでは総合優勝も果たした (c)www.tourderomandie.chしかしツール第3ステージで落車し、その後は山岳アシストに回ったしかしツール第3ステージで落車し、その後は山岳アシストに回った (c)CorVos

チームスカイ(当時)の創設初年度である2010年から所属し、クリテリウム・デュ・ドーフィネやツールの総合優勝などチームに数々の栄冠をもたらしてきたトーマス。今年は2年振りのツールに総合エースとして挑んだが、第3ステージで落車し肩を脱臼。その後は山岳アシストとしてリチャル・カラパス(エクアドル)の総合3位に貢献したものの、不本意なシーズンだったと語る。「2021年は厳しいシーズンだった。しかしツールで落車するまでは過去最高のコンディションにあったので、(来年以降も)世界最大のレースを走るモチベーションは高い」。

来シーズンについては「フル参戦したことのないアルデンヌ(クラシック)を目指している」と、ベルギーとオランダで行われるワンデーレース(アムステルゴールドレース、フレッシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ)を目標に、「新たな挑戦にワクワクしているし、できればその後のツールで重要な役割を担いたい」とツール出場への意欲も語った。

長きに渡りチームのGMを務めていたデイブ・ブレイルスフォード氏がスポンサーであるイネオス社のスポーツ部門長に就任したことで、今年からチームのGMを任されたロッド・エリングワース氏。来年5月で36歳を迎えるトーマスの契約更新については、「チーム発足時から所属する彼はこれまでビックレースを勝ち、若い選手たちへの手本となり、このスポーツを代表する選手になった。しかし我々はもちろん、彼自身もまだまだ高みを目指せると思っている。彼はまだ最高峰で成功を掴むことにハングリーだからね」と、期待の言葉で締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa