「クフィアトコフスキの”今日は君の為に走る”という言葉が自信と勝利に繋がった」と、パリ〜ルーベ初制覇を果たしたディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)。序盤から混沌としたレースを駆けた選手たちのコメントを紹介します。



1位 ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)

両手を広げ勝利を喜ぶディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)両手を広げ勝利を喜ぶディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
信じられない。ヴェロドロームに突入してもなお、自分の勝利が信じられなかった。選手が誰か迫っているのじゃないかとバンクの反対側を見たが、誰も現れることなく、僕は1人きりだった。(最終盤に)セルファイスが乗ったチームカーが僕の隣にやってきてから勝てると思い始めたんだ。本当にクレイジーだよ。

モニュメントでの勝利を夢見ていた。ロンド・ファン・フラーンデレンで2位に入り、ルーベを制した。言葉が出ないよ。

(レース序盤の分断作戦は)計画していた作戦ではない。ただ追走する側にはまわりたくなかったので、理想通りの展開だった。そのため他の選手たちよりも脚を使わず、勝利のチャンスがあると思っていた。僕やガンナのパンクなど不運があったものの、皆何かしらのトラブルに見舞われていた。だからこそ何があっても落ち着いて対応することを心がけていたんだ。

石のトロフィーを手にしたディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)石のトロフィーを手にしたディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
2度目の補給地点の前に厳しいレース展開にしたかったんだ。その地点を通過後、クフィアトコフスキが「今日の君は強い。だから君のために走るよ」と言ってくれた。その言葉がどれだけ自信に繋がったか。チームには感謝してもしきれない。ここまで素晴らしい春のクラシックになっている。

僕らはここに来るまで努力を重ねてきた。ここ2年は多くの不運に見舞われきてたが、いまようやく皆が正しい方向を向いている。チーム全体が上昇気流に乗っている。本当に信じられないような時がやってきたんだ。

2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

追走届かず2位に終わったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)追走届かず2位に終わったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
良い意味で、2位という結果にショックを受けている。2位はこれまでの努力の成果だ。もちろん勝ちたかったが、ここ数週間の出来事(コロナ感染)を考えると喜びしかない。

チームから実力確かな4人が先頭集団に入っていたので、僕らはパニックに陥ったり、ペースを無理に上げたりする必要がなかった。冷静かつ完璧なポジションでレース終盤に入ることができた。

終盤で僕も何度かアタックを仕掛けたものの、ファンバーレは強く、彼が途中でペースが落ちるような選手ではないことも分かっていた。この場に立っていることすらも予想外なので、結果に落ち込む必要はない。自分がどこまで走れるのが、走りながら確認する必要があったため、特に役割などはなかった。そんな中でもスタートから感覚はとても良かった。

レースのダメージだ身体にどれだけ出るか。そこまで影響がなければ、来週日曜日のリエージュには出場するつもりだ。でもパリ〜ルーベで2位になったんだ。もう何の心配もないだろう。

3位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)

2位スプリントで惜しくも敗れたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)2位スプリントで惜しくも敗れたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) photo:CorVos
3位が今日僕が掴めた最大限の結果だろう。ディランは勝者に足る素晴らしいレースをした。ワウト相手にスプリントで敵うわけはなかったけれど、表彰台に上がることができて嬉しいよ。個人的に今春のクラシックは調子がよく、たとえ優勝じゃなくてもパリ〜ルーベでの表彰台は価値ある成果だ。

これまで結果が出せずともずっとパリ〜ルーベが好きだと言い続けてきた。そして今回ようやく自分の力を発揮することができた。この小さな石のトロフィーはリビングに飾るつもりだ。そしてこのトロフィーを見る度に「こいつには大きな兄弟(優勝トロフィー)が必要だ」と、思い続けるのだろう。

4位 トム・デヴリーント(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

表彰台を逃すものの、4位を喜んだトム・デヴリーント表彰台を逃すものの、4位を喜んだトム・デヴリーント photo:Intermarché - Wanty - Gobert Matériaux
人生の1ページに刻まれる日となった。先頭集団に入ることで落車のリスクを減らしたかったんだ。まさか4位に入ることができるとは思いもしなかったよ。

5位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)

レース後半から積極的な走りを見せたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)レース後半から積極的な走りを見せたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
アンラッキーだった、とは言えない。これはパリ〜ルーベなんだからね。ただ(終盤の)パンクは避けたかったね。そうすればより長い時間を先頭で走ることができただろうから。良いレースができたので、自分のためにも、チームのためにも表彰台に上がりたかった。だがヴェロドロームでスプリントできる脚とエネルギーは残っていなかった。

5位以上の結果は不可能だっただろう。1日を通してソンニ(コルブレッリ)の事を思っていた。彼のためにも勝利が欲しかった。来年もう一度、もしかすれば彼と一緒にまた挑戦したい。

7位 ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)

ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:CorVos
序盤は(横風分断が発生する)理想的な展開ではなく、先頭集団に入り込むことができなかった。幸運にも合流することができ、ルーベではいつ何が起こるか分からないから、どんな状況でも諦めてはいけないんだ。

その後は先頭集団で完璧な展開になったと思う。脚の調子もよく、たしかに疲れを感じていたが、それは僕だけじゃなかった。ワウトとキュングと一緒に追走したが、不幸にもパンクし、集団復帰に力を使わなければならなかった。

7位は満足できる順位ではあるものの、最悪のタイミングで発生したパンクがなければと思う。でもこれがパリ〜ルーベだ。実はルーベで初めてのパンクなんだ。最良の誕生日とはならなかったが、もっと最悪な結末になる可能性もあった。だからまあ、良い誕生日と言えるのじゃないかな。

8位 ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック)

ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック)ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック) photo:Team Arkéa Samsic
混沌とした1日だった。アランベールやカルフール・ド・ラルブルでの応援は凄まじかった。まるでサッカー場かと錯覚するほど観客が隙間なく詰めかけていた。沿道からは「ローラン頑張れ!」という声援が1日を通して僕の耳に入ってきた。

落車やパンクがなく、ラッキーな日だったと言える。アランベールを試走した際に、ここは先頭で入らないと駄目だと思った。スタート前日はまるでプロ1年目の選手みたいに緊張したよ。もし今朝誰かに「8位」という順位を伝えられても、僕は信じなかったと思う。1日を通して集中し、スプリントで全力を出すことができた。来年また挑戦したいね。

9位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)

精彩を欠き9位に沈んだマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)精彩を欠き9位に沈んだマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
苦しみ、望んでいたようなレースにはならなかった。ただ、本当に特別なレースだということは感じられた。チームの働きは素晴らしかった一方で、勝利に足る脚がなかった。

レース序盤で分断が起こった光景は、少し奇妙に見えた。なぜなら横風の中で先頭集団が全力で踏んでいるようには見えなかったから。でも分断が生まれ、いきなりレースが本格的に始まったんだ。でも必ずまた合流できると思い、パニックになることはなかった。

予想通り合流したものの、そこからは脚がなかった。アタックに何度か反応したが、それを続ける意思はなかった。そんな中でもよく戦ったと思っているよ。ロンド・ファン・フラーンデレンでの勝利をはじめ、この春の結果にはとても満足している。この後は数日間の休養を取るつもりだ。

10位 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)

観客と接触して落車するものの、10位でフィニッシュしたイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)観客と接触して落車するものの、10位でフィニッシュしたイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
完璧なレースだった。序盤から全力を出さなければならない過酷なレースだったが、ベストを尽くし、50km地点でできた先頭集団に入り込むことができた。そして好機と見るや、加速して先頭グループを形成したんだ。途中、このまま表彰台に上がる自分の姿を想像した。カルフール・ド・ラルブルで脚の限界を感じたものの、トップ3は確実だと、この手に掴み取ったと思っていた。

だが落車が起こり、なんとか体制を立て直そうと試みたが、そのまま地面に打ち付けられた。その後再びバイクに跨ったが、10位という結果に終わった。落車がなかったらと思うととても悔しいよ。

現役最後のパリ〜ルーベを走り終えたフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)

現役最後のパリ〜ルーベを30位で終えたフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)現役最後のパリ〜ルーベを30位で終えたフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Lotto Soudal
序盤にエシュロン(横風分断)が発生する信じられないパリ〜ルーベとなった。コース上で集団がバラけ、状況を把握するのがとても難しかった。追走集団からファンアールトがアタックした時、それについていく脚がなかった。最後は14位を争う大集団のスプリントに持ち込まれたが、脚は空っぽで30位に落ち着いた。

勝利に絡むことはできなかったものの、誇りと共にルーベ・ヴェロドロームにフィニッシュする瞬間は特別な気持ちだったよ。5回目かつ最後のパリ〜ルーベを、落車やパンクなく終えることができた。悪くない結果だろ?

ランパールの落車について語るパトリック・ルフェーブルGM(クイックステップ・アルファヴィニル)

あんなことが起こるのは最初で最後だ。映像には映っていないが、フロリアン・セネシャルも観客と接触して落車したんだ。選手たちは250kmに渡って苦しみの中戦っているんだ。何週間もこのレースのために準備してきたんだ。それがたった1人の愚か者のせいで台無しになる。彼(接触した観客)はよく眠ることができると思うが、イヴは違う。災害と言ってもいい出来事だ。

text:Sotaro.Arakawa

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