オン/オフロード問わずあらゆる道で活躍するマヴィックのグラベル用ホイール"ALLROAD"の650Bモデルをインプレッション。60mm幅のワイドタイヤにも対応し、より大きなエアボリュームを確保できるモデルだ。



マヴィックのALLROADシリーズには650Bのラインアップも用意されるマヴィックのALLROADシリーズには650Bのラインアップも用意される
オン/オフ問わず、あらゆる道を快適に走り抜けるため開発されたマヴィックの"ALLROAD"シリーズ。舗装路のみならずグラベルやトレイルといった未舗装路へも足を向けるアドベンチャー志向のライダーにぴったりなマルチパーパスホイールとして、マヴィックが注力している新カテゴリーだ。

マヴィックの力の入れ具合はそのラインアップからも推察される。カーボンリムのPRO CARBON SL、アルミリムのSLとS、そして無印の"ALLROAD"という4グレードが展開され、予算と用途に合わせて選択可能。さらに、SLと無印モデルには650B仕様が用意され、計7モデルが展開される充実ぶりだ。

マヴィック ALLROAD SL ROAD+ マヴィック ALLROAD SL ROAD+ 
リム内幅22mmの700Cモデルに対し、25mm幅の650Bモデルは対応タイヤ幅最大60mmと、2.35インチほどのMTBタイヤにすら対応するキャパシティを実現している。つまり、いわゆるグラベルバイクの想定するようなコースよりも更にハードなシチュエーションにも対応するポテンシャルを秘めたホイールといえるだろう。

リムメーカーとしての出自を持つマヴィックのノウハウが結集されたアルミリムは非常に堅牢でありながら軽量に仕上げられ、ガレたグラベルやちょっとしたドロップなどはものともしない信頼性と走破性を有している。

ニップルをリムに直接ねじ込むFOREテクノロジーを採用。ISM4Dリムは強度を確保しつつ軽量化にも寄与するニップルをリムに直接ねじ込むFOREテクノロジーを採用。ISM4Dリムは強度を確保しつつ軽量化にも寄与する
リムはU字型のプロファイルを持つリムはU字型のプロファイルを持つ フリーはインスタントドライブ360を採用フリーはインスタントドライブ360を採用


特に、上位モデルのSLグレードはニップルホールの間を3D切削する"ISM4D"リムとされており、オフロードライドに求められる強度と剛性をしっかり確保しつつ、可能な限り軽量化されている。更に、名作と名高いKSYRIUMシリーズにも採用される"FORE"テクノロジーを採用することで、リムベッドにニップルホールが存在せずチューブレステープ不要でTLタイヤを運用可能。USTリムデザインもアップデートが加えられ、更に作業性を向上させているという。

ハブには最新の「インフィニティハブプラットフォーム」を採用。交差するスポーク同士が接触しないフランジ設計によりライド中の異音発生を防ぐほか、フランジ径や幅を最適化することで前後左右全てのスポークが同じ長さになるよう設計されており、メンテナンス性も向上するシステムとなっている。

マヴィック ALLROAD 650Bマヴィック ALLROAD 650B
こちらはリムテープが必要となる。もちろんチューブレスには対応するこちらはリムテープが必要となる。もちろんチューブレスには対応する シンプルな形状で頑丈なリムを採用シンプルな形状で頑丈なリムを採用


フリーボディは40Tの面ラチェットが噛み合うことで優れた反応性と伝達効率を実現する"インスタントドライブ360"とされている。ペダリングを止めることも多いオフロードライドでは、特にその恩恵を受けやすいだろう。価格はALLROAD SL ROAD+が104,500円、ALLROAD 650B DISCが44,000円(共に税込)。それでは、インプレッションに移ろう。



−インプレッション

「オフロードの比率が高いライド、例えば王滝のグラベルクラスなどにはピッタリ」安藤光平(Bicicletta SHIDO)「オフロードの比率が高いライド、例えば王滝のグラベルクラスなどにはピッタリ」安藤光平(Bicicletta SHIDO)
650Bのホイールシステムは面白いですね。ホイール外径は700Cと同じままで、太いタイヤが使えるのは大きなメリットです。もちろんフレーム次第ですが、ホイールだけで見ればMTBに迫るほどのワイドタイヤを使用できるので、走り方自体が変わってきますよね。

エアボリュームが増加することで、走破性やグリップ、クッション性が向上しますから、よりアグレッシブにオフロードを走ることができます。もちろん、タイヤが太くなる分重量は増加しますが、それを補って余りあるメリットがあるでしょう。

「700Cホイールと同じ外径でより大きなエアボリュームを確保できる」安藤光平(Bicicletta SHIDO)「700Cホイールと同じ外径でより大きなエアボリュームを確保できる」安藤光平(Bicicletta SHIDO)
ですから、用途やコースによって700Cと650Bを使い分けるのも面白いと思います。例えば、軽快感や巡航性能に優れる700Cはフラットダートや短めのトレイルを舗装路で結んでいくようなライド向け、650Bはよりオフロードの比率が高いライド、例えば王滝のグラベルクラスのように、ずーっと砂利道が続くようなコースで真価を発揮できそうです。それに、下りも650Bのほうが楽しく走れるのではないでしょうか。

分かりやすく言い換えれば、自走派は700C、トランポ派は650Bというところでしょうか。グラベルを走ることをメインとする人にはぜひ試してみてほしいサイズですね。

肝心の走りですが、今回アセンブルされていたタイヤ(パナレーサー GRAVELKING SS)との組み合わせでは重く感じることは全くなかったですね。カーボンホイールに比べればもちろん軽快感では劣るものの、グラベルをメインで走るのであればアルミリムの安心感は譲れません。

マヴィック ALLROAD 650B(左)とALLROAD SL ROAD+(右)マヴィック ALLROAD 650B(左)とALLROAD SL ROAD+(右)
無印のALLROADはシンプルな形状のリムとなる無印のALLROADはシンプルな形状のリムとなる SL ROAD+は複雑な形状のISM 4Dリムを採用SL ROAD+は複雑な形状のISM 4Dリムを採用


今回は上位グレードのSLのみのテストとなりましたが、ベースモデルとなるALLROAD 650B DISCも魅力的ですね。リムにニップルホールが空いているという違いはありますが、チューブレスタイヤはどちらも対応していますし、ペアで44,000円という価格はフレームから組む時に予算を抑えたいという方には有力な選択肢となるでしょう。グラベルバイクでは重量差もあまり気にならないですから。

とにかくグラベルでの気持ちよさを求める人にこそ試してほしい1本ですね。SLグレードは完成車付属のホイールからのグレードアップにも良いですし、完成車付属の700Cホイールと使い分けることで走りの幅が広がります。走りの質という縦軸、走り方という横軸どちらも拡張してくれるのは650Bの上質なホイールならではでしょう。

また、身長が低い方にもおすすめしたいですね。700Cで太めのタイヤを履くと自転車の地上高が高く感じるという人もいると思いますが、そういう方には650Bを提案したいですね。目線を下げつつ太いタイヤを履けるので、安心でき扱いやすいバイクへと仕上げられそうです。

マヴィック ALLROAD SL 650B
リム:マクスタル
スポーク:エアロ、F/R24本
推奨タイヤサイズ:28~64 mm (1.1"~2.5")
リムハイト:22mm
リム内幅:25mm
ハブ:Infinity Hub
対応カセット:シマノ11S/ XDR12S /カンパニョーロ12S
重量:ペア 1,555g、フロント 723g、リア 832g
税込価格:ペア 104,500円、フロント 45,100円、リア 59,400円



インプレッションライダーのプロフィール

安藤光平(Bicicletta SHIDO)安藤光平(Bicicletta SHIDO) 安藤光平(Bicicletta SHIDO)

東京都狛江市に店舗を構えるBicicletta SHIDOの店長。強豪クラブチームを渡り歩き、Jプロツアーに10年間参戦した実力派ライダー。2012年には2days race in 木祖村でスプリント賞を獲得。店主としてのコンセプトは「店長と遊んでくれる仲間募集中」で、ロード、グラベル、シクロクロスを共に楽しみたいという。

Bicicletta SHIDO


text:NaokiYasuoka
photo:Makoto AYANO
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