歴史と伝統を持つCXシリーズ戦、テレネット・スーパープレスティージュが開幕。4年ぶりのベルギーレース参戦となる竹之内悠(Slash)が参加したレースで、エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が勝利している。



滑りやすいコンディションで開催されたSP開幕戦 photo:CorVos

ベルギー屈指のシクロクロスシリーズ戦「テレネット・スーパープレスティージュ」が、10月22日(日)に開幕。1982年に開幕し、UCIシクロクロスワールドカップ(1993年にスタート)よりも歴史ある伝統的なシリーズ戦であり、ベルギー国内においてそのプライオリティは非常に高い。

W杯初戦を制したティボー・ネイス(ベルギー、トレック・ライオンズ)の父にして、ベルギーの英雄スヴェン・ネイス(ベルギー)が過去最多の13回総合優勝を挙げているシリーズ戦は、ベルギーのフランダースにあるフラマンブラバント州の街オーベレルエイセで開幕。ワールドカップ初戦のアメリカラウンド参戦組と、欧州居残り組が対戦し、さらに2019年以来4年ぶりのベルギー転戦中の竹之内悠(Slash)や、引退を撤回したトム・メーウセン(ベルギー)も参戦を果たした。
テレネット・スーパープレスティージュ2023-2024スケジュール
第1戦 2023年10月23日(日) オーベレルエイセ(ベルギー)
第2戦 2023年10月28日(土) ルッデルフォールデ(ベルギー)
第3戦 2023年11月11日(土) ニール(ベルギー)
第4戦 2023年11月18日(土) メルクスプラス(ベルギー)
第5戦 2023年12月2日(土) ボーム(ベルギー)
第6戦 2023年12月27日(水) ヒュースデン・ゾルダー(ベルギー)
第7戦 2023年12月28日(木) ディーヘム(ベルギー)
第8戦 2024年2月10日(土) ミッデルケルケ(ベルギー)
女子エリート:世界女王ファンエンペルが1分リードで圧勝

他を寄せ付けない走りを披露したフェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

女子エリートレースは序盤こそルクセンブルク女王のマリー・シュライバー(SDワークス)が引っ張ったものの、すぐに世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がリードを奪う。ライバルのパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)とシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)不在のレースで、彼女の独走を止める選手は現れなかった。

元世界女王セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)は2位に photo:CorVos

圧勝したフェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が表彰台中央に photo:CorVos

ファンエンペルは、驚くほどの余裕ぶりでベルギーでの開幕戦、W杯開幕戦、そして今回と続く今季負けなしの3連勝を達成。圧倒的な走りに2位セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)は1分近く引き離された。「良いレースにしようと努めただけで、こんなにリードできるとは思わなかった。チームとは今後、身体のコンディションを確認しながらレーススケジュールを組んでいくことに合意している」と話している。

竹之内参戦の男子エリート:激しいチーム戦の末、イゼルビットが勝利

男子エリートレースはスローペースでスタートし、2周目にエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が仕掛け、背後のネイスが激しく転倒したことで展開が動き出す。15秒ほどのリードを得て独走体制に持ち込んだイゼルビットだったが、ネイスは25番手から2番手グループに追いつき、自ら引っ張って差を縮めていく。全8周回中の5周目には、その中から飛び出したラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がついにイゼルビットに合流。こうしてレースは振り出しに戻った。

ペースを上げるティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos

激しいインターバルに耐え、先頭グループを作ったのはトレックのネイスとファンデルハール、パウェルスサウゼンのイゼルビットとマイケル・ファントーレンハウト。ミスを誘発しやすいコンディションで、ここから最終盤まで2チームがアタックの応酬を繰り広げることとなる。

ラスト2周回目をまるまる逃げたファントーレンハウトはネイスの単独追走によって捕まったものの、ペースが緩むと今度はイゼルビットがカウンターで仕掛けた。アタックモードで逃げるイゼルビットのペースにネイスだけが辛うじてついていったものの、右に回り込むキャンバー下り区間でアグレッシブな追い抜きを仕掛けて落車してしまう。これが1時間に及ぶ力勝負の行方を分けた。

ファントーレンハウトと共にワンツー勝利を飾ったエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos

今季初勝利を挙げたエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos

失速したネイスを振り切ったイゼルビットが、ファントーレンハウトと共にワンツーフィニッシュ。「僅差の戦いだった。ネイスは別の場所で仕掛けてくると思ったけど、ほぼ追い抜き不可能な場所で攻撃してミス。幸い巻き込まれることなく勝つことができた」と、イゼルビットはネイスに敗れたW杯初戦の悔しさを晴らすことに成功した。

ネイスは優勝争いの末4位に甘んじたが、「アメリカから帰国して風邪を引いてしまい、さらに序盤のミス。それを考えればすごく良い走りができた。一人一人抜いていくのを楽しめたけど、最後にエリ(イゼルビット)は一瞬の隙も見せなかった。攻めすぎて落車したものの自分のレースに勝つことはできた。それが一番大事なことだと思う」と前向きなコメントを残している。

また、竹之内は最後尾からスタートし、41位。「遅いながらもポジティブに捉えられるポイントがあってよかった。来週くらいからはフルスロットルで走りたい」と話している。次戦は明日10月24日(火)にオランダで開催されるUCI2クラスのナイトレースの予定だという。
テレネット・スーパープレスティージュ2023-2024第1戦 女子エリート結果
1位 フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 43:00
2位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:54
3位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) +1:14
4位 アンマリー・ワースト(オランダ、シクロクロスレッズ) +1:20
5位 アニク・ファンアルフェン(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:37
6位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:48
7位 レオニー・ヴェントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:57
8位 エレーヌ・クラウツェル(フランス、ASバイクレーシング)
9位 アンナ・カイ(イギリス、シクロクロスレッズ) +2:07
10位 ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) +2:26
テレネット・スーパープレスティージュ2023-2024 第1戦 男子エリート結果
1位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 1:00:44
2位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:02
3位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:15
4位 ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:19
5位 キャメロン・メイソン(イギリス、シクロクロスレッズ) +0:33
6位 ヘルベン・クイペルス(ベルギー、サーカス・レウス・テックノルド) +0:39
7位 ケヴィン・クーン(スイス、サーカス・レウス・テックノルド) +1:01
8位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) +1:06
9位 ライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:10
10位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +1:16
text:So.Isobe

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