既にエリートで活躍する若手選手が集ったCX世界選女子U23レースで、ゾーイ・バックステッド(イギリス)が新たな世界タイトルを奪取。落車で遅れた渡部春雅(明治大学/Liv)はフルラップ完走にこぎつけた。



渡部春雅(明治大学/Liv)がスタート前に脚を回す Photo:Nobuhiko Tanabe

次代どころか、既にエリートカテゴリーで結果を残す女子選手たちがずらり揃うのがU23レースだ。昨年2位のリベンジを誓うゾーイ・バックステッド(イギリス)、昨年3位のクリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ)、W杯総合ランキング覇者のレオニー・ヴェントフェルド(オランダ)、ホールショットの名手マリー・シュライバー(ルクセンブルク)、そしてカナダのホルムグレン姉妹。2020年以来の世界選挑戦となる渡部春雅(明治大学/Liv)はスタートを決め、順位を上げて周回コースへと突入した。

しかし渡部は直後のフライオーバーでの転倒によって失速してしまう。「精神的にも厳しかったのですが、そこから気持ちを切り替えて一人ずつ追いかけようと切り替えました」と、ほぼ最後尾からポジションアップを目指して攻め続けた。

1周目からリードを築いたゾーイ・バックステッド(イギリス)。重たい泥コースは彼女の走りに味方した photo:CorVos

後方からの追い上げを強いられた渡部春雅(明治大学/Liv) Photo:Nobuhiko Tanabe

強者揃いの女子U23カテゴリーだが、その中でも頭一つ飛び抜けた走りを披露したのがバックステッドだった。スタート後5分を待たずに先頭を奪い、かつてパリ〜ルーベを制した父マニュス譲りのパワーで重馬場を突き進む。登りはもちろん下りですらペダリングが求められる粘着性の泥コースはバックステッドに大きく味方した。

ジュニア時代の2022年にロードとタイムトライアル、さらにシクロクロスで世界王者に輝き、U23に上がった2023年はヨーロッパ選手権の個人タイムトライアルでチャンピオンとなったバックステッドが、ターボルで再びアルカンシエルを手に入れた。ゼマノヴァは力強い走りで2位フィニッシュし、開催国チェコは2レース連続でメダルを獲得。ヴェントフェルドが3位銅メダルを掴んでいる。

圧倒的な走りで昨年2位のリベンジを達成したゾーイ・バックステッド(イギリス) photo:CorVos

開催国チェコのクリスティナ・ゼマノヴァが2位銀メダルを獲得 photo:CorVos

1位ゾーイ・バックステッド(イギリス)、2位クリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ)、3位レオニー・ヴェントフェルド(オランダ) photo:CorVos

優勝したバックステッドは「信じられない気分。実はスタート前はすごく緊張していて、今年は凄く良いシクロクロスシーズンを過ごせたので、その最後となる今日絶対勝ちたいと思っていた。実現できて本当に嬉しい。止まりそうになるくらい泥が重くて難しいレースだった。でも楽しむことができた」とコメント。今後は短い休息を挟みロードレースに注力していく予定だ。

完走の当落線上で苦しい戦いを強いられていた渡部は辛くもフルラップを走りきり、10分34秒遅れの26位フィニッシュ。「満足していないので今回の経験を次に活かしたい」とコメントしている。

渡部のコメントは別記事で紹介します。

シクロクロス世界選手権2023-2024 女子U23結果
1位 ゾーイ・バックステッド(イギリス) 48:24
2位 クリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ) +0:44
3位 レオニー・ヴェントフェルド(オランダ) +0:55
4位 イザベラ・ホルムグレン(カナダ) +1:08
5位 マリー・シュライバー(ルクセンブルク) +1:42
26位 渡部春雅(明治大学/Liv) +10:34
Text:So.Isobe
Photo:Nobuhiko.Tanabe, CorVos

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