序盤から横風分断が発生したUAEツー・ウィメン第2ステージ。この日も圧巻のチーム力を発揮したSDワークス・プロタイムがリードアウトを繋げ、ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)が2日連続勝利を飾った。



タイムトライアル用のようなPOCの新しいエアロヘルメットを着用するアリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・キャノンデール) photo:CorVos

第2回UAEツー・ウィメン(UCIワールドツアー)2日目は、アブダビから西にある砂漠地帯が舞台。高級ホテルが立ち並ぶアル・ミルファビーチから南の進む平坦ステージは、前日と同様に集団スプリントが予想された。

レースはスタート直後から吹き付ける風が緊張感を作り、逃げの形成を阻む。そして風が横向きになったところでDSMフィルメニッヒ・ポストNLがペースを上げた結果、15名程度の先頭グループが生まれる。その中には前日勝者のロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)がチームメイトで世界王者のロッテ・コペッキー(ベルギー)らと共に入った。

横風分断により、一時先頭に立ったロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)たち photo:CorVos

エシュロンのきっかけを作ったDSMは先頭に2名乗せた一方で、SDワークスは4名と有利な展開を作り出す。しかし遅れを取った前総合優勝者のエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)を擁するリドル・トレックの懸命な追走と、コペッキーのパンクで先頭集団がペースを落としたこともあり、残り70kmでプロトンは再び一つになった。

ボーナスタイム(1位-3秒、2位-2秒、3位-1秒)が与えれる中間スプリントでは、1つ目をダリア・ピクリク(ポーランド、ヒューマンパワードヘルス)が先頭通過する。そして残り27.6km地点に設定された2つ目はコペッキーがトップを取る。1つ目も3番手通過で-1秒を得ていた世界王者は合計で-4秒を加算し、ライバルたちに総合優勝への意欲を表明した。

集団は一つのままスプリント勝負に持ち込まれた photo:CorVos

横風の危険性をはらみつつも、結局集団は一つのまま集団フィニッシュ地点のマディナ・ザヤドに突入し、セラティツィット・WNTプロサイクリングやSDワークスが先頭でトレインを並べる。そんな中残り1km地点の手前で、4車線から3車線に切り替わる直前にタイヤを滑らせたメーガン・アルミテージ(アイルランド、EFエデュケーション・キャノンデール)が単独で落車。しかしアルミテージは「残り3km以内の落車はトップ集団と同タイムフィニッシュとなる」ルールに助けられ、大きな怪我もなくレースを終えている。

そして最終ストレートに入り主導権を握ったのは、前日4位のジョージア・ベイカー(オーストラリア)擁するリブ・アルウラー・ジェイコ。それに対しウィーベスを背後に控えたコペッキーが別ラインから猛スピードで番手を上げ、残り150mで先頭へ。そこから満を持して発射したウィーベスのスピードには、この日もキアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)やクララ・コッポニ(フランス、リドル・トレック)は届かなかった。

圧巻のリードアウトから2日連続勝利を果たしたロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

圧巻のチーム力と他チームのトレインを封じ込めるコペッキーのリードアウトから、2日連続の勝利を掴んだウィーベス。「私の近くで落車する音が聞こえ、(幅の広い)直線路の終盤はとても難しかった。スプリントではジェイコが右からスピードを上げるなか、チームメイトとコペッキーが素晴らしいリードアウトを見せてくれた」と、ウィーベスは勝利を振り返っている。
UAEツアー・ウィメン2024第2ステージ
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 2:28:08
2位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)
3位 クララ・コッポニ(フランス、リドル・トレック)
4位 ジョージア・ベイカー(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)
5位 マルティナ・フィダンツァ(イタリア、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
6位 ヴィットリア・グアジーニ(イタリア、FDJスエズ)
7位 マリア・コンファロニエーリ(イタリア、ウノエックス・モビリティ)
8位 アンニーナ・アフトサロ(フィンランド、ウノエックス・モビリティ)
9位 グラディス・ヴェルユルスト(フランス、FDJスエズ)
10位 ダリア・ピクリク(ポーランド、ヒューマンパワードヘルス)
個人総合成績
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 5:26:57
2位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) +0:12
3位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:16
4位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) +0:17
5位 クララ・コッポニ(フランス、リドル・トレック) +0:18
6位 ルース・アドヘースツ(オランダ、FDJスエズ)
7位 ダリア・ピクリク(ポーランド、ヒューマンパワードヘルス) +0:19
8位 ヤニナ・クスコバ(ウズベキスタン、タシュケントシティ・プロフェッショナルサイクリングチーム)
9位 アリス・パラッツィ(イタリア、トップガールズ・ファッサボルトロ)
10位 フローラ・パーキンス(イギリス、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:21
その他の特別賞
ポイント賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)
ヤングライダー賞 ヤニナ・クスコバ(ウズベキスタン、タシュケントシティ・プロフェッショナルサイクリングチーム)
チーム総合成績 FDJスエズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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