いよいよ12月13日(日)に全日本シクロクロス選手権大会が金沢市キゴ山で行われる。今年も磐石の走りで隙を見せない辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) が8連覇を目指す。女子は4連覇中の豊岡英子(パナソニックレディース)に、森田正美(チームブリヂストン・アンカー)が栄冠を取り戻すべく対決する。

会場は牧草地帯のアップダウンだ会場は牧草地帯のアップダウンだ photo:HIdeaki.TAKAGI会場は石川県金沢市郊外のキゴ山。牧草地帯を刈り取ったコースで、緩い勾配だが牧草と泥で非常に重い路面だ。当日の天気予報は曇り。
以前にもこのコースでの大会をレポートしたが、今回はコンディションが異なる。前日までに降った雨でぬかるんでいることが予想される。重い路面、特に泥との戦いになるだろう。
そしていつも以上に重要な位置を占めるのはピット体制だ。このようなコースにトラブルはつき物。ダメージをいかに最小限にとどめるかも見どころだ。

8連覇を目指す辻浦
男子エリートの優勝候補筆頭はもちろん辻浦だ。今年出たレースはすべて危なげなく優勝している。2位選手とのデッドヒートさえ、計算しながら走っているかのように見えるほど。辻浦の目標は全日本のその先、世界選手権にある。そこで25位以内が目標、と語る。


C1 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)C1 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) photo:Hideaki.TAKAGIその辻浦に挑むのは小坂正則(スワコレーシング)と丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)。2人とも安定して表彰台に立つ。小坂は今年46歳。ベテラン中のベテランだが、全日本表彰台の中央にはまだ立っていない。今年こそはの強い意志でスタートに立つ。
シクロクロスシーズンから新チームへ移籍したのが丸山。元チャンピオンの三船雅彦監督のもと、優勝を目指す。

さらに注目どころは山本聖吾(スワコレーシング)、平野星矢(BIKE・RANCH)、池本真也(和光機器タムラクラブ)、入江克典(シマノドリンキング)らだが、ここでは畑中勇介(シマノレーシング)を挙げよう。1週間前の由良川大会では堂々の2位だ。全日本で表彰台に上がるのは決して不可能なことではない。一番の注目選手だ。



CL1 豊岡英子(パナソニックレディース)CL1 豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Hideaki.TAKAGI5連覇を目指す豊岡VS元チャンピオン森田
女子の戦いこそが今年の全日本の一番の注目かもしれない。4連覇中の豊岡と、それ以前の2年連続チャンピオンの森田が女王の座をかけて戦う。
その2人に昨年2位の志村みち子(ラヴニールあづみの)がぴったりと張り付く。志村は昨年惜しい展開での2位、そして今年も安定した走りを見せる。3位は確実だが、その上の順位の可能性が大いにある。

今年に入ってからのレースでは森田が上だ。特にUCIレースともなったビワコマイアミ大会では、2位豊岡との差を測りながら走る様は余裕さえも感じさせるもの。
対する豊岡は徐々に調子を上げている。「優勝しか考えていない」と言い切り、連覇への強い意志を見せる。
豊岡と森田の戦いに、志村が割って入る戦いは注目度一番だ。

竹之内と小坂の戦いに注目
男子U23はエリートと同時出走だ。昨年のチャンピオンは竹之内悠(TREK)。今年は辻浦と優勝を争うなど積極的なレース展開をしており、昨年より確実に強くなっている。エリートとあわせての3位以内はもちろん、その上も狙える実力をつけている。


竹之内悠(TREK)竹之内悠(TREK) photo:Hideaki.TAKAGIその竹之内に霧が峰大会で勝利したのが小坂光(UTSUNOMIYA BLITZEN)だ。小坂も安定して上位で走る。ブリッツェン入りした今年からはロード選手のイメージがあるが、シクロクロス出身と言っていいほどの経歴を持つ。
2人に続く選手には小森亮平(TREK-LIVESTRONG U23チーム)を挙げよう。小森のシクロクロス歴は意外にも長い。パワーは十分、あとは泥に対応する力だ。
MTB、ロード、トラックもこなす天才竹之内と、不屈の闘志というDNAを受け継ぐ小坂の戦いに注目だ。


「レースでは何が起こるかわからない」とは、7連覇中の王者がいつも口にする言葉だ。アクシデントの機会は全員に均等に降りかかる。それを未然に防ぐ工夫、ダメージを最小限にする体制と力。特に今年は泥との戦いになるので総合力、経験がモノを言う。


観戦に行こう
数ある自転車レースの中で、最も選手との距離の近いのがシクロクロスだ。ぜひ見に行こう。
会場は金沢市中心部から車で30分ほどの山の上。当日は曇りの予報だが雨具は忘れずに。冬型になるのは数日後だが、念のためスタッドレスタイヤにしておこう。トイレはあるが、飲食料は市内で調達しておこう。

今年の全日本はピット体制が特に重要だ今年の全日本はピット体制が特に重要だ もちろん全日本選手権なので選手とスタッフは出走前は集中している。少し距離を置いて応援しよう。
観戦は牧草地帯のコースサイドまで入れるので、長靴やカッパなど泥対策を十分にしておこう。ピットエリアは入れないので注意。



泥を得意とする辻浦の走りは?
父は息子にその背中を見せつけてゴールするか?
畑中の順位は?
女王を賭けた戦いの行方は?

今年も見どころがたくさんだ。

text:高木秀彰
photo:高木秀彰&辻啓

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