来日・優勝経験を持ち、昨年9月のドーピング検査で陽性となったチェコのシクロクロス王者エミル・ヘケレが、同国サイクリング協会から4年間の出場停止処分を言い渡された。本人はドーピングを一貫して否定している。



宇都宮シクロクロスを走るエミル・ヘケレ(チェコ、Zekof Team)宇都宮シクロクロスを走るエミル・ヘケレ(チェコ、Zekof Team) photo:Makoto AYANO
43歳にしてチェコのシクロクロス王者に輝いたエミル・ヘケレのドーピング陽性が検出されたのは、2020年9月9日に行われたチェコ代表選手団のトレーニングキャンプ最終日での競技外検査において。禁止薬物であるアナボリック・ステロイド(オキサンドロロンとクレンブテロール:筋肉増強剤)が検出されたことで、チェコのサイクリング協会は1月6日、ヘケレに対して4年間の出場停止処分とナショナルタイトルの剥奪を言い渡した。

「チェコ共和国におけるスポーツにおけるドーピング管理と処罰に関する規則第10.2条に従い、エミル・ヘケレは4年間の活動禁止処分を受けました。現職のチェコチャンピオンにとって、この罰は彼の年齢(43歳)を考えると、恐らく彼のスポーツキャリアの終わりを意味します」と、チェコサイクリング協会の懲戒委員長は強い語調で語っている。

一方ヘケレは陽性検出後から一貫してドーピングを否定しており、チェコのニュースサイトiROZHLASのインタビューに対し(11月)、合宿中の食事から禁止物質が体内に混入したことをアピール。しかしナショナルチームのコーチは別紙に対し、他選手からは禁止物質が検出されていないと反論していた。

2017年の野辺山シクロクロス参戦、優勝&2位を皮切りに毎年来日し、UCIレースで勝利や上位入賞を繰り返すなど、日本でもおなじみの存在となっていたヘケレ。2019-2020シーズンは関西シクロクロスマキノと野辺山シクロクロス、そして宇都宮シクロクロスで合計4勝を挙げ、年明けの国内選手権で強豪選手を破り初優勝。自身初のチェコチャンピオンに輝いていた。

ヘケレは出場停止処分が下った直後にも、自身のFacebookページへのポストで「ドーピング管理がお粗末であり、あらゆる罰則は不公平である」とし、別の手段を取ることを検討しているとコメント。また、来日の際、筆者のインタビューの中でチェコサイクリング協会との不仲を吐露していた。

Text:So Isobe