イタリアで7日間に渡り開催されたティレーノ〜アドリアティコ。最終スプリントでフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)が勝利し、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2年連続で総合優勝を手にした。



前日の勝利で2年連続の総合優勝をほぼ手中に収めたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)前日の勝利で2年連続の総合優勝をほぼ手中に収めたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
前日に山岳決戦を終えたティレーノ〜アドリアティコの最終日は、スプリンターのための平坦レイアウト。アドリア海に面した港湾都市サン・ベネデット・デル・トロントを発着点に前半の山岳地帯を越え、レース後半は1度フィニッシュラインを通過してから市内を一周する159kmだ。

カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)など有力スプリンターが既にレースを去っているこの日、スタート直後に優勝候補のオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)を巻き込む落車が発生。コルトは再スタートしたものの鎖骨骨折により棄権している。

前日に35歳の誕生日を迎えたマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナカザフスタン)を含む3名によって構成された逃げグループは、メイン集団から2分45秒のリードを奪うことに成功。しかしステージ前半をグルパマ・エフデジとアルペシン・フェニックス、後半をユンボ・ヴィズマとチームDSMが牽引するプロトンは逃げを射程圏内に置き続けた。

アドリア海沿岸を南に進むプロトンアドリア海沿岸を南に進むプロトン photo:CorVosphoto:CorVos
風邪で体調を崩して以降、調子の上がらないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)はこの日も勝負に絡めなかった風邪で体調を崩して以降、調子の上がらないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)はこの日も勝負に絡めなかった photo:CorVos
スプリンターチームの牽引によって逃げグループとのタイム差は残り8km地点でゼロとなり、選手たちはハイスピードで細かく狭いコーナーの多いサン・ベネデット・デル・トロントの街中になだれ込んだ。

フラムルージュ(残り1km)から主導権を握ったのはジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)を擁するイスラエル・プレミアテック。狭くタイトなSコーナーを先頭で抜け、最終ストレートでアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が真っ先にスプリントを開始する。ニッツォーロはクリストフ追撃を試みたものの、リードアウトを終えたチームメイトのリック・ツァベル(ドイツ)に進路を阻まれた。

先頭に立つも伸び悩むクリストフを再加速したニッツォーロが追い抜いていく。しかし更にその後方から遅れて加速したフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭の選手たちをまとめてかわしてフィニッシュへ。勝利の雄叫びを上げた。

先頭の選手たちを抜き去ったフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)先頭の選手たちを抜き去ったフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
スプリントを制したフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)スプリントを制したフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
「チームとして素晴らしい一週間だった。残り1kmで単独となってしまったので、完璧なスプリントのタイミングを待っていた。僕にとってとても嬉しく価値の大きな勝利だ」とチームにワールドツアー初勝利をもたらしたバウハウスは喜んだ。

総合上位陣は同タイムの集団内でフィニッシュし、ポガチャルが総合リードを守り抜いた。「フィニッシュラインを越えるまで集中して走り、今日のステージを楽しむことができた。素晴らしい一週間になったよ。今大会で挙げた2つの勝利は美しく、2度目のティレーノ~アドリアティコ総合優勝は喜びに満ちあふれている」とコメント。「この後は数日の間休息し、次の目標であるミラノ〜サンレモに向けて調整したい」と、大会2連覇の喜びと同時に、次戦への意欲を語った。

総合2位には今大会もその実力を見せたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が入り、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が昨年同様の総合3位で表彰台に上がっている。ヴィンゲゴーは今シーズン同時期開催のパリ〜ニースで総合優勝を挙げたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)と共にツール・ド・フランスに標準を合わせ、ランダはジロ・デ・イタリアとツールのダブルツールを予定している。

最終ステージを制したフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)最終ステージを制したフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
表彰台:2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)、1位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、3位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)表彰台:2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)、1位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、3位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ティレーノ〜アドリアティコ2022第7ステージ結果
1位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:39:58
2位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
3位 カーデン・グローブス(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
4位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、コフィディス)
5位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
7位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)
8位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
9位 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
10位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 27:25:53
2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) 1:52
3位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 2:33
4位 リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 2:44
5位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) 3:05
6位 テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) 3:16
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:20
8位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 3:37
9位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:51
10位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 4:03
その他の特別賞
ポイント賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
山岳賞 クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)
ヤングライダー賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 バーレーン・ヴィクトリアス
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos