グロータックが取り扱いを開始したエクサー TPUチューブ。わずか36gとラテックスチューブやブチルチューブよりも軽量で、耐パンク性と転がり性能に優れつつ、1,650円と試しやすい価格に抑えられた注目のTPUチューブをCW編集部員がロードレースやトレーニングライドを通して実力を確かめた。



エクサー TPUチューブ

マージーンが展開するエクサーブランドから、近年のトレンドとなっているTPUを素材としたインナーチューブが登場している。TPUの魅力は軽量性に優れていることにあり、エクサーのTPUチューブも700cのチューブであるものの、重量は36gと軽量に作られている。TPU素材は非常に薄いことが軽量性に貢献していると同時に、チューブ自体の体積が従来のブチルチューブと比べて78%小さく、コンパクトに折りたためるためスペアチューブとしての携帯性にも優れている。

低い転がり抵抗を備えていることも特徴で、従来のブチルチューブと比較しても、転がり抵抗が20%低く、ラテックスチューブに近似しているという。多くのブランドがラインアップしている軽量レーシングクリンチャータイヤとの組み合わせが良さそうだ。

エクサー TPUチューブはオレンジ色
TPUチューブの接合部


バルブ長は60mmと75mmが展開される
バルブの音鳴り防止のシールが付属してくる


TPUはブチルゴムと比較しても優れた強靭性があり、高い耐パンク性を備える素材である。エクサーが実施した耐パンクテストでは、ブチルゴムの耐パンク性能は800N/mmで、TPUの耐パンク性能は1200N/mmという結果を示し、耐パンク性に優れることを証明した。

耐熱テストをクリアし、高い耐熱性も備えているため、リムブレーキのロードバイクでも使用可能であるという。エクサー TPUチューブの対応タイヤ幅は700×23~28C、バルブ長は60mmと75mmが展開される。価格は1,650円(税込)とリーズナブルな設定になっている。取り扱いはグロータックだ。



―編集部インプレッション

2つでもこのコンパクトさ

これまで多くのブランドのチューブラーやチューブレス、クリンチャータイヤの多種多様なタイヤを使用し、最近ではTPUチューブをテストする機会が多い編集部員の高木がグロータックが取り扱いを開始したエクサー TPUチューブのインプレッションを担当する。因みに身長は175cmと体重は60kgだ。

エクサー TPUチューブの重量は36gと、TPUを素材とする他ブランドのインナーチューブと比較しても軽量に仕上げられている。重量を削ぎ落としたレーシングクリンチャーと組み合わせたシステム重量は、チューブレスタイヤ+シーラントの重量と同等になるため、ロードレースやヒルクライムレースのタイヤ選択の幅が広がってきているように感じる。

カタログ値通り、実測値は36g

0.5barの空気を入れて装着していく

空気を入れる前はTPUチューブとしては、少々しっかりとした感触で、耐パンク性に優れていそうな印象。空気を入れるとしっかりとチューブが膨らみ、しなやかさも感じられる。

TPUチューブを扱う上での注意点としては、ブチルチューブやラテックスチューブと同じ感覚で、装着時に空気を入れると破裂させてしまうケースがある。TPUチューブをリムに収める前は0.5barの低空気圧で、細心の注意を払いながら作業を行うことが吉。一方でチューブがオレンジであるため、チューブがタイヤとリムの間に噛んでいないかも確認しやすく、クリンチャータイヤの組み付け時に発生しがちな噛み込みパンクを起こしにくいのは嬉しい。

チューブを運用する上で気になる空気の保持力は5barを入れて、1週間ほどで3.5barになった。空気の保持力はブチルチューブと同等という印象で、ラテックスチューブのように空気が抜けやすいということはないのも好印象だった。

チューブを噛んでいないか確認しやすい

最後にバルブの音鳴り防止のシールを貼れば装着完了

今回のテストではiRCのASPITE PRO S-LIGHT 25Cと組み合わせ、日本サイクルスポーツセンター(CSC)の8kmでのレース、日々のトレーニングなどで、その性能を確かめた。乗り出してからまず感じられたのは、ブチルチューブよりも乗り心地が良いこと。

日本CSCのレースでは速度50km/h以上で左右に切り返していくコーナーがあるが、タイヤのサイドまで目一杯使うほどバイクを倒しても、TPUチューブはチューブラーのようにタイヤ全体で衝撃を吸収してくれるしなやかさを発揮してくれるため、タイヤが弾かれるような心配はなかった。ブチルチューブよりも路面追従性は高いという印象を受けた。そして何よりもTPUチューブの特徴でもある重量が36gとブチルやラテックスの半分という軽量さのおかげでハンドリングの軽さも際立つ。

外周部が軽くなり、軽快に進んでくれる

また、起伏の激しいコースでもタイヤ/ホイールシステムの外周部が軽くなったことで、下りでのスピードの伸びも良く、登りもブチルチューブの時よりもより軽快に進んでくれる。ストップアンドゴーを繰り返すようなロードレースやクリテリウムではアドバンテージがありそうだ。

TPUチューブの懸念点はリムブレーキの制動で発生した熱がチューブに伝わることと言われてきた。ディスクブレーキの普及によって気にならなくなってきた所ではあるものの、今回はリムブレーキのロードバイクでもテストを行い耐熱性を試してみた。

レース中に76.3km/hをマークするダウンヒルもあり、ハイスピードからフルブレーキングでリムに熱が伝わるようなシーンでは問題なし。他にも10分以上ダウンヒルをする峠などで試したが異変が現れることはなかった。

クリンチャータイヤでありながらチューブラーのようなしなやかさを感じる

ロードレースやヒルクライムに出場するレーサーにお勧めしたいが、週末サイクリングやポタリングを楽しむサイクリストにも体感できるほどだ。価格も1,650円とラテックスチューブよりも安く、ブチルチューブよりも少し高いくらいの価格設定で導入しやすいのも特徴である。ブチルチューブよりも、アップデートを体感しやすいため、多くの方にお勧めしたいと思えるTPUチューブで試す価値があるだろう。(インプレッション:高木三千成)



エクサー TPUチューブ
重量:36g
対応ホイール径:700C
対応タイヤ幅:23-28C
バルブ:仏式
バルブ長:60mm、75mm
価格:1,650円(税込)
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