ユンボ・ヴィスマは9月20日、交通事故を起こして一時昏睡状態に陥っていたナータン・ファンホーイドンク(ベルギー)の引退を発表した。同選手はその後意識が戻り退院したものの、不整脈に備えるべく植込み型除細動器(ペースメーカー)を装着した。



2023年ツールの最終ステージでポガチャルをマークするファンホーイドンク photo:CorVos

自動車を運転中に体調を崩し、交通事故を起こすと共に一時は意識を失ったナータン・ファンホーイドンク(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)。その後アントワープ大学病院に搬送され、9月20日にチームがファンホーイドンクの退院を発表。しかし心筋に異常が発見されたため、皮下植込み型除細動器(ペースメーカー)を埋め込む手術を受け、現役引退が伝えられた。

チームの公式リリースでファンホーイドンクは「(命が助かり)とても幸運だったことを実感した。もし素早い救助がなければ違った結果になっていただろう。僕は無事だが、プロキャリアを終えるという現実に向き合わなければならない」と現役引退を明言。「僕を助けてくれた人たちや病院の医療スタッフ、また励ましのメッセージを送ってくれたファンに感謝している。いまは回復することに注力し、父になることに備えたい」と出産を控える妻と産まれてくる子に言及した。

ヴィンゲゴーと共にツール連覇を喜ぶナータン・ファンホーイドンク(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

オランダとの国境にほと近いベルギー・ウウストウェーゼル出身のファンホーイドンクは27歳。2017年にBMCレーシングの下部チームから昇格してプロデビューを果たすと、CCCと経て2021年よりユンボ・ヴィスマに加入した。今年は2年連続となるツール・ド・フランスに出場し、主に平坦区間でヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)の大会連覇をアシスト。その後はベルギー代表としてロード世界選手権に出場し、9月3〜10日に行われたツアー・オブ・ブリテンではワウト・ファンアールト(ベルギー)の総合優勝に尽力した。

心臓の疾患による引退といえば、2021年にパリ〜ルーベで優勝し、翌年3月のレース直後に一時心肺停止状態に陥ったソンニ・コルブレッリ(イタリア)が記憶に新しい。コルブレッリはその後回復したものの、ファンホーイドンクと同じく皮下植込み型除細動器を装着して現役を退いた。

コルブレッリはSNSにファンホーイドンクに向けたメッセージを投稿。「君の感じる痛みや、”なぜ僕が?”という気持ちが理解できる。また病院のベッドでこの事実を受け入れられない気持ちもだ。だがいまは心を強く持つことが大切。君は一人じゃない。君の新しい人生に幸運が訪れますように」と励ましの言葉を送った。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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