シクロクロス世界選手権2日目に参戦し、フルラップ完走を果たした日吉愛華(Teamまるいち)と鈴木来人(OnebyESU-ICV)、そして柚木伸元(日本大学)。3人のコメントと共にレースを振り返ります。



日吉愛華(Teamまるいち)「走りながらたくさんの気づきがあった」

ポジションを上げ続ける日吉愛華(Teamまるいち) photo:Nobuhiko Tanabe

「スタートで出遅れてしまい、1周目の前半のゴタゴタもあって、悲しい気持ちになっていました」と振り返るのは、女子ジュニアレースに一人参戦した日吉愛華(Teamまるいち)だ。全日本ジュニア2連覇という肩書きを持って乗り込んだ世界選手権は、スタートで出遅れ、さらに登坂区間の渋滞に捕まり最後尾からの追い上げを強いられた。

混雑を抜けた時点では出走53人中52位。しかしここから「周回を重ねるごとに自分の走りが戻ってきました」とコンスタントにポジションを回復し、最終的にトップのセリア・グレイ(フランス)から4分52秒遅れの37位で完走を果たした。2周目と3周目(全3周回)のラップタイムを見ると、30番台前半でのフィニッシュも可能だったように思える。

声援を送る竹之内悠・代表監督 photo:Nobuhiko Tanabe

「周回を重ねるごとに自分の走りが戻ってきた」 photo:Nobuhiko Tanabe

昨年8月のMTB世界選手権で初の海外遠征を経験し、10月のアジア選手権では優勝。着実に経験を積む日吉は「走りながら”自分にはここが足りない”とか、”ここはみんなと同じように走れるな”と気づきがあった。凄くいいレースになったのかなと思います」と、初のシクロクロス世界選手権で大きな収穫を掴んだようだ。



集団落車で変わった2人のレースシナリオ
柚木伸元(日本大学)「体力をつけてこの場所に戻りたい」


フェンスを掴んで急勾配をよじ登る photo:Nobuhiko Tanabe

エリートレースで実績を出すトップ選手が多数参戦した男子U23レースは、トップスピードで突っ込んだ第1コーナーで集団落車が起こるという波乱の幕開けに。そこで柚木伸元(日本大学)と鈴木来人(OnebyESU-ICV)のレースは大きく異なる筋書きになった。

鈴木が足止めを食らう一方、隙間を突いた柚木は一気に15番手まで位置を上げたが、「(周りが)良いペースすぎて、そこで体力を使いすぎてしまった」と、思いがけない好順位が逆に働いてしまったことを打ち明ける。続けざまに見舞われたチェーン落ちでポジションを落とし、「焦ってしまい、遅れてからは必死でした。申し訳ない気持ちも大きかった」とも。

「まだまだだが、収穫となった部分もあった」 photo:Nobuhiko Tanabe

もとよりパワーを求められるコースレイアウトで、なおかつ泥。柚木は「コースは昨年の世界選手権よりもハードでした」とレースコンディションを振り返る。「まだまだですが、最初だけは良い位置で走れたりと、良い経験になった部分もあります。これからロードシーズンでしっかりと体力をつけて、またここで来年しっかりと走れるように頑張りたいと思います」と、来年へのリベンジを誓っている。

鈴木来人(OnebyESU-ICV)「”僕らの戦い”を、しっかり走りぬくことができた」

最後尾からポジションを上げる鈴木来人(OnebyESU-ICV) photo:Nobuhiko Tanabe

1週間前のワールドカップ最終戦のみならず、鈴木は今季序盤に単身アメリカに渡り、ワールドカップ開幕戦を含めて数戦を走るなど、経験値を上げた上でこの世界選手権に繋げた。レースでは序盤の足止めにも動揺せず位置を上げ、一時遥か前にいた柚木を抜き、42位でフィニッシュ。柚木を待ち健闘を讃えあった。

「(インタビュー時では)順位は分かりませんが、自分としてはしっかりと最後まで走ることができました。過去の世界選手権や、10月のワールドカップと比べても良い位置を走れていました」と収穫があったことを認識する。

「得たものを日本に持ち帰って活かしたい」 photo:Nobuhiko Tanabe

健闘を讃えあう鈴木来人(OnebyESU-ICV)と柚木伸元(日本大学) photo:Nobuhiko Tanabe

「レースは、正直に言えば(自分は)勝てるレベルにありません。でも、僕らには僕らの戦いがあります。その”僕たちの戦い”をしっかりやりきるために準備してきました。今回得たものを日本に持ち帰って活かしたい」と締めくくっている。

text:So Isobe
photo:Nobuhiko Tanabe

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