UCI(国際自転車競技連合)は2月5日、フランク・ボナムール(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)の生体パスポートから異常値を確認したことを発表した。そのため同選手に暫定的な出場停止処分が下されている。



暫定的な出場停止処分が課されたフランク・ボナムール(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:CorVos

生体パスポート(バイオロジカルパスポート)とはドーピング違反の検出を目的に2008年に導入された、選手の血液成分などの情報を蓄積したデータのこと。その数値に異常が見られたとして、UCIはフランク・ボナムール(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)に暫定的な出場停止処分を科した。

UCIが本件を明らかにした直後、所属するデカトロンは声明を発表。「(異常値が検出された)検査はフランク・ボナムールが我々のチームに加入する2023年1月1日以前のもの。(中略)我々は厳格な倫理規則に従って自転車競技を行うことを主張する」と、ボナムールの異常値がチーム加入前の数値に基づいていることを強調した。

ボナムールはフランス北西部のブルターニュ、ラニオン出身の28歳。2016年にフォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト(現アルケアB&Bホテルズ)でプロデビューしてからはツール・ド・フランスに2度出場し、2021年大会では総合敢闘賞に輝いた。そしてB&Bホテルズ KTMから2023年にデカトロンに移籍し、今年1月のサントス・ツアー・ダウンアンダーでも得意の逃げを見せていた。

2021年ツールで総合敢闘賞を獲得したフランク・ボナムール(フランス、当時B&Bホテルズ・KTM) photo:Makoto AYANO

生体パスポートの異常値で思い出されるのが、2021年に現役を引退したロマン・クロイツィゲル(チェコ)。同氏は2011〜12年の数値に異常があったとして2014年は暫定的にメジャーレースへの出場ができない状態が続いたものの、チェコ五輪委員会がクロイツィゲルの無罪を裁定。それを不服とするUCIがCAS(スポーツ仲裁裁判所)に判断を委ね、2015年にクロイツィゲルの潔白が認められた。

その一方で、2022年にポルトガルのコンチネンタルチームであるW52 FCポルトにおいて、選手の生体パスポートの異常値から集団ドーピングが発覚するなど、その有用性も証明されている。

text:Sotaro.Arakawa

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